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天国からのエアメール

20代後半の頃、
毎日同じ仕事をしてる自分に
嫌気がさして、何か新しい事に
挑戦したいと思い、一念発起!

大学を卒業してからずっと勤めてた
会社を辞め、ワーホリのビザを取得し、
カナダのバンクーバーへ渡った。

カナダに滞在していた期間は約1年半ほど。

給料でコツコツと貯めていたお金と、
現地での短期バイトでなんとか生計を立て、
新しい自分を探す日々、、

その間、いろんな世界が見たくて、
中古で買ったポンコツ車で、
カナダ国内やアメリカを貧乏旅行したり、
バンクーバーからヨーロッパに渡って
バックパッカーで放浪の旅もしてみた。

今考えてみると、結構無計画で、
行き当たりばったりな生活をしてたが、
人生の中で一番貴重な経験をしたんじゃ
ないかと思う。

そんな適当な日々を外国で送り、
日本の事などすっかり忘れていたある日、
実家から一通のエアメールが届いた。

中身は親父からの励ましの手紙。

慣れない英語で宛先を書き、
僕に手紙を送ってくれたのだ。

当時親父は、肝臓に腫瘍があって
入退院を繰り返していた。

病に侵されて、大変な時期にもかかわらず
彼は僕が外国に行く事に反対しなかった。

むしろ、今しか出来ない事をやれと言って、
この親不孝な自分を後押ししてくれたのだ。

今考えると、その時の親父は、
一人息子である自分が
外国に行くと言った時、
どんなに心細かった事だろう。。

きっと自分の寂しい気持ちを抑えて、
家を出る僕を見送ったに違いない。

あれから30年、
あっという間に月日が流れ、
今度は自分が子を持つ親になった。
そして今になってやっと、
あの頃の親父の気持ちが
分かるような気がした。

先日、部屋の断捨離中に、
忘れてしまうほど奥に突っ込んでいた
旅行用スーツケースを見つけた。

開けると、中にはその懐かしい
親父からのエアメールが。

おどろいた事に、30年も経っている
その封筒と手紙は今でも綺麗なまま。

まるでつい最近送られて来たかのよう。

当時は、気にも留めないで、
ただ目を通しただけだったが、
今、時を超えて、もう一度読み直してみる。

そこに書かれてあった僕への励ましの言葉、

「悔いのない人生を送れる様、頑張って下さい」

最後に書かれてあったその文を読んだ時、

涙が出た。

それは、今、天にいる親父からの
メッセージのような気がした。

この手紙は一生大事に取っておこう。

またいつか、自分の人生で、
何かの節目に読み返そうと思う。


親父が僕に書いて送ってくれた、
天国からのエアメール。

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