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Let's 経営学 #9

 さて、これまで書いてきたような内容を「行動経済学」と呼びます。行動経済学は、心理学と社会学と経済学を掛け合わせたような学問分野です。
 例えば、コンビニの照明は面している通りと平行に配置するとか、売りたい商品を目線の高さに置くとか、ちょっとした違いで差別化を図るとか、松竹梅の価格設定で、真ん中を買うように仕向けるなどの有名な話も行動経済学の成果を取り入れたものです。
 今までに紹介した事例は行動経済学では「プロスペクト理論」と呼ばれています。ポイントのほとんどが有効期限付きなのも、「返品OKだから最悪でも損はしませんよ」という売り文句もプロスペクト理論を応用したものです。
 私たちは心地よくだまされながら消費しています。
 例えばわずか2分のアトラクションに乗るために夜明け前に家を出て、夏は炎天下、冬は寒風ふきすさぶなか90分も120分も並び、帰りは渋滞や混雑した電車に揺られ、それでも
「買い物を楽しんだ。お得だった」
「楽しかった。また行こうね」
と家族や友達と言い合うのは、冷静に考えれば実に非合理的なことですが、私たちはそれを当たり前のこととして受け入れています。もしかすると私たちは本当に楽しんでいるわけではなく、そこに行ったという事実を手にするために高いお金と窮屈な時間を消費しているのかもしれませんね。
 同じことは商品でも言えます。例えばG-SHOCK。海兵隊でもなければあそこまで頑丈で多機能でなくても日常生活に全く支障をきたすことはありません。
 またスポーツカーや高級車。公道を走るのにで3400cc、280馬力のスペックを引き出す機会は絶対にありません。
 ブランド品のバッグなども同じです。10万も20万も、場合によっては数百万円も出して購入しますが、例えばブランド品のバッグなどは人件費等も含めた一個あたりの原価は数万円だと言われています。
 それでも私たちはそれらの物を欲しがります。なぜでしょうか?

つづく

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