「不登校」の僕


あの日から、僕は学校に行かなくなった

特に大きな問題があったわけでも

いじめにあっているわけでもない

友達だっている

成績だって優秀

運動だって完璧

そんな優等生だったけど

「少しの陰口」を言われてから

「学校を休む」に繫がった

ほんの些細なこと

はじめは「授業に遅れる」

という罪悪感のある気持ちで

でも学校に行かなくていいと思うと

何かが軽くなった気がした

だけど

当然親が何か言ってこないはずがなく

父親は

「成績が悪くなったらどうするんだ」

「学校にも行かない奴なんかは家に要らない」

そういわれるようになった

僕の通う中学校は私立

両親は医者

そんななかで、不登校だなんて許されるわけがない

おまけにうちに家系は政治家、医者、弁護士…

いわゆるエリートというやつだった

僕はそんな中生まれてきて

小さい頃から親の言いなりで

「自分の気持ち」をとことん踏みにじられて

否定されて

優しかった母親だって

あんな父親にうんざりしたのか

中学生に上がると同時に僕を置いて出て行った

それから3年

今は中学3年生

そんななか学校に行きたくない

行かない

そんなことを

きっと父はふざけるなと思ったと思う

でも

これが僕の気持ち

「否定」

そんな言葉で僕の家庭は埋め尽くされていた

「愛」なんて言葉はきっと幻

そんなものが無償でもらえると思うほうがおかしい

いつしか僕の思想はそう歪んできて

「自分」という色が

「期待」という色に

「家系」という色に

上書きされていって

いつしか色が混ざりすぎた「僕」の土台は

真っ黒に染まっていった

僕の顔立ちは

「中性的」というより

「女顔」らしい

クラスの女子より細い手足に

低い身長 高い声

周りには「かわいい」なんて言われるけど

こんな顔に こんな見た目に

生まれてよかったことなんて一つもない

名前も知らない女子に声をかけられて

僕のことが気に入らない人達に

散々言われて 勝手に失望される

そんな小学生時代

私立にいくと

みんな志が高くて 集団で一緒にいる人なんて

逆に浮いてしまうほどの少数

僕はその「少数」の中の一人だった

いつも友達と笑い合って

「素から明るくて優しい」 「素で友達想い」

昔から言われてきた

でも気を使ってやってることだったから

そんないつもと変わらない日常で教室に入ろうとしたとき

「なあ、宮古ってなんかうざいよな」

「分かるー、自分無いの?って感じー」

「宮古君で特徴的なの、あの見た目だけだよね」

「それな!もう女になっちゃえばいいのにw」

「あ!あれじゃない?いかにも僕は清楚です~て思わせたいんじゃない?」

「確かに、見た目とは裏腹に腹の内では何考えてるかわからないって言いますしね…」

そんな会話。

僕を抜いた、4人の会話。

そんなこと思われてたの…?

僕はいつも頑張ってたのに…

どうして?

周りに嫌われないために

だったら

もう嫌われてるなら

僕がいる必要はない

僕は要らない

そう思った

家でだってそう

嫌われたくないから

愛してもらいたかったから

父の決めたレールの上を歩んで

言うことを聞いて

何がしたかったの? なんのためにしてたことだったの?

意味のない行動。

自業自得。

そんな言葉が僕にはぴったりだった

「必要とされていない」

じゃあ何のために生きるの?

分からない。 もう何も。

自分がしてきた行動の意味も

「自分の気持ち」の伝え方すら

分からなくなってしまった

もう、僕は要らない。

そして

僕は家を出た


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