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「茶室」って何だろう。工夫が詰まった不思議な空間

お茶をやっています、とお話しすると、茶室は小さな入口があってそこからはいるのだよね?と聞かれることがあります。
客を招くのにあんな狭いところから出入りしてもらうなんて、と思いませんか?
それでは今回のテーマ『「茶室」って何だろう。工夫が詰まった不思議な空間』について説明します。

茶室の小さな入口「躙口」はなぜあるのか?

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茶室はもともと、秀吉の時代に千利休が考案した接待の空間です。
千利休が大成させた侘び茶では、四畳半以下の小さな茶室が好まれて使われています。
小さな建物(四畳半以下の広さの建物)をつくり、約65cm四方の引き戸を扉として付けお客様が出入りする口にしています。これを「躙口(にじりぐち)」と呼びます。膝でにじって入るからそう呼ばれています。

お客様は、頭を低くしてかがんで入らないといけません。茶室に入るときは誰も平等なので客人も頭をもたげて、入室するためにこういう小さな入口だと言われています。

招く側もお客様も平等に対峙して、もてなし、もてなされることができる空間ということです。媚びへつらう接待ではなく、自律した者同士の関係だからできる“もてなし”です。

茶室にだれを招いたのか?安全・安心なもてなし

秀吉の時代の映画やドラマで見受けるように、秀吉が家康を招いたり、千利休が秀吉を招いたり、秀吉が僧侶を招いたりと、V.I.P.の密談の場になっていたようです。今でいうところの銀座のクラブで政治家が何やら談話しているようなものでしょうか。

どんな方も「躙口」から、かがんで入ってもらうということは、60cmあまりの入口から入るとなると刀がひっかかってしまいます。なので戦国武将も刀をとって茶室に入っていただいていました。

忍びの者が天井裏に隠れて暗殺の機会を狙っていたら?
心配無用。茶室には、天井裏がない作りになっています。
もてなしの空間なので、お客様の安全も守ります。ご安心ください。といった発想でしょう。

もてなし空間の演出

接待の空間、V.I.P.密談の場などと味気ない単語で説明していましたが、茶室は、手入れの行き届いた庭があったり、床の間があったりと落ち着いた設えがされたもてなしの空間です。

お客様の好みや季節に合わせた、掛け軸や花が飾られ、香もたかれます。お茶だけでなくおいしい食事(懐石料理)やお酒もだされます。天窓や障子からの光、ライティングもお客様をもてなす演出になっています。

利休の美的感覚は、大変優れており演出のセンスが秀吉にも気に入られたと言われています。

余談ですが、利休が決めた、床の間に花を飾る釘は、床から天井を黄金比(1:1.168)で分けた位置だそうです。利休が美しいと思う位置が、ミロのヴィーナスのお臍で分けた上下バランスやパルテノン宮殿の縦横比と同じ比率とは、興味深いです。

さいごに

茶室についてまとめてみましたが、今のビジネスシーンでの接待ゴルフに似ていると思いました。
互いに平等な立場で、時に密談、時にリラックスした親睦をしています。そしてセキュリティも万全なゴルフ場を選びますよね。コースが魅力的で景色が良ければさらにもてなしには相応しいです。

いかがでしたでしょうか?私は茶道を通じて学んだことが、ビジネスをする上で活かせることが多かったので、今回このように考えてみました。
接待ゴルフをイメージしながら、茶室でお茶を召し上がってみてください。ビジネスに応用できる新たな気づきがあるかもしれません。

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