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HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは


HSP/HSCというというワードを聞いたことがありますか?

HSPとはHighly Sensitive Personの略 (HSCはHighly Sensitive Child)で、生まれつき敏感で、周りからの刺激を過度に受けやすい人のことを指します。

仕事をしていて、あるいは日々暮らしていて「なんでこんなにしんどいの」と思った方がキーワードを検索してHSPというワードに出会われたり、発達障害の診断を受けて「でもうちの子それとはなんか違う・・・」と思われたり、不登校になる子の半分以上がこのタイプ?とスクールカウンセラーの先生がささやいていたり・・

最近ではネットニュースやTV番組で取り上げられることも増えました。
2019年にはロンドンブーツ1号2号の田村淳さんやベッキーさん、要潤さん、勝間和代さん、最上もがさんらが自身はHSPであるということを公表され、武田友紀さんの「繊細さんシリーズ」がたくさんの方にHSPの存在を知らせてくれました。

とはいっても、会社や学校といった生活圏、一般の方にとってはまだまだ知られていない言葉かもしれません。

1996年にアメリカのアーロン博士が発表した学説に基づくもので、5人に1人(15%から20%)がHSP だと言われています。 "ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ"(エレイン・アーロン著)は100万部以上売れていて、30数カ国の言語に翻訳されています。 ドキュメンタリー映画は現在アメリカでは、ハーバード大学からスタンフォード大学までの3000の大学が所蔵し、ハーバード大学の心理学教材ともなっています。(映画の日本公式リンクはこちらです。)


HSPの人は日頃から意味もなく疲れやすかったり、人の思いや感情に巻き込まれて苦しい思いをしたり、「そんなことまで考えるの?」「気にしすぎだよ」と言われ「考えすぎ感じすぎ、いつも疲れている自分は異常なんだろうか?」誰にもわかってもらえない思いを抱えて大人になる人も多いです。

それはHSP という『神経系の特徴』であることがわかってほんとうに安堵したというお話をとてもよく聞きます。


この記事ではなにかのいきさつでHSPのことを知り、「私ももしかしたらわたしはHSPなのかな?」「HSPの特徴や社会で生きていくための視点や考え方を知りたい」という方のため記事を作成しまとめてみました。


HSP=「感じ取る力がとても強い人」のこと


HSPとは、Highly Sensitive Personの略で、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が1996年に提唱した概念です。

この「HSP」は特性であり神経系の特徴であって治すべき疾病ではありません。例えばあなたは髪の色が黒なのね、と言うのと同じように神経系のタイプである、ということです。

アーロン博士は研究のために同じような内面的な特徴を持つ人たちの聞き取り調査を行いそれぞれに観察したところ、人種や性別・年齢などに関係なく、どの国の人でも一定の割合でこのような「とても敏感な人」がいることをつきとめました。

それは動物にも同じ割合だけいると言いうことが研究によってわかっています。敏感個体は100種類以上の種において認められています。

さらに、HSPは先天的な気質、つまり生まれ持った特性です。

後天的なもの、環境の影響は50%あるが、HSPとしての素質は神経系として生まれたときから備えている、ということです。

HSPは「生まれつき繊細・敏感で感受性が高い人」のこと。

HSP診断チェックリスト

HSPかどうかは自分の感覚でチェックリストを選んでいくことで診断します。下記2つのテストが信頼性のあるチェックリストとしてオススメできます。

①HSP理論創始者=エレイン・アーロン博士のチェックリストは以下です。

http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html

②2019年にアーロン博士とも親しい研究者であるマイケル・プルース博士が敏感さを高敏感(オーキッド・蘭)・中敏感(チューリップ)・低敏感(たんぽぽ)というグラデーションで測定する論文の裏付けのあるHSPチェックテストを開発しました。

こちらは1〜7の段階で自分の感覚に合うボタンを選んでいくと、最後にあなたは「○○です」という形の提示があります。英語サイトですがGoogleトランスレイトを拡張機能にいれると日本語ですべてのサイトが読めます。


HSPの人の4条件
アーロン博士はHSCの人の特徴を次の4つの面が全て当てはまる人、と規定しています。

①深く処理する
物事を徹底的に深く考えたりするのは、実際には無意識に行われることですが、深い質問をする、年齢の割に哲学者のような大人びたことを言う、あれこれ全ての可能性を考えてなかなか決断ができない、そういう特徴があります。外界からの刺激(アレルゲンや薬、痛みなど)も他の人より感じやすい傾向にあるとアーロン博士は言っています。

②過剰に刺激を受けやすい
自分の周りで起こっていることに人よりたくさん気がついて処理するので人より早く疲労を感じやすいです。刺激に圧倒されやすい、という意味です。楽しいイベントの後でも疲れてしまってぐったりしてしまったり、とても楽しかった飲み会の後ですら二次会に行くと言う人を横目に本心ではもう帰りたいと思っている。そういう事はありませんか。
暑い寒い、自分に合っていない靴、触れたりチクチクしたりする服、そういうものが小さい頃から苦手だったりします。

③感情反応が強く、共感力が高い。

人の気持ちがよくわかり、例えば小さい頃にクラスの中で先生が怒っているとそれが自分に向けられた怒りでなくても、たくさん感じ取り、必要以上に消耗してしまう。友達や家族、会社で会う人、どの人に対してもその人の不快感やストレスによく気づきます。ミラーニューロン(鏡のように人の行動や感情を写しとる神経)の働きが強いことを指摘する研究者もいます。

HSPさんのなかには「人の気持ちが理解できる、ではなくて、入ってくる」という表現をする人もとても多いです。

④ささいな刺激を察知する
小さな音、かすかな匂い、細かいことに気づく。変わった匂いがするとその場にいられない、遠くの鳥の声や飛行機のエンジン音の音が聞こえる、声のトーンの違い、嘲笑いや羨ましい感情、あるいはちょっとした励ましにも気がつきます。会社のHSPさんは文書のわずかなズレやフォントの違いを察知したり、プロジェクトの非効率さや、違和感も逃さずキャッチします。子どもの場合は物の置き場がかわったり、お母さんがネイルするとすぐに気づきます。

 

加えて、私皆川が強みを見るために捉えている特徴

上記のアーロン博士が規定する4つの特徴はもちろん学説の基本として押さえておくべき特徴です。こちらは神経学的なものの見方で、一般的にわかりづらいという声がありますので、その人の特徴を理解し、HSPの特性を強みとして使っていくために指針にすると分かりやすいと日々感じているのは、次の3つの分類です。(こちらはご自身で強みを見ていくためのツールとして提案するもので、論文に裏付けられたテストという意味ではありません)


①感覚(五感+第六感)の敏感力
匂い、味覚、視覚、聴覚、触覚が敏感でささいな違いを察知する。五感の鋭さに加えて子どもの場合特に直観力・第六感が強い子が多い。心理学者のなかには「見えないエネルギーを感知している子」と表現する人もいる。

②共感力    
人の気持ちがよくわかる。学校や会社などで、ストレスを感じている人がいるとすぐにわかる。相手がニコニコしていても「もしや帰りたい?」「もしかしてうらやましい?」「じゃなくて、悔しい?」など、人の気持ちの機微にとても敏感。人が悲しい気持ち、ネガティブなエネルギーをたたえている人がいるとなんとかその人の気持ちが上向くことを自動的に考えている。

③洞察力
小さいときから難しいことや、哲学者のようなことを言ったり、「ものの道理」「真実」「本質」「構造やヒエラルキー」に対してセンサーが高い。ユーモアがある人も多い。全体を見ているのでファシリテーションもうまい。「学校にはほんとうの自由はないよね、お母さん」(HSC)、大人になっては「コンセプトの大元を全員で共有して進みたいです」「このプロジェクトが進んでいくとこういう問題点がでている可能性があります」など深い考察を示し、時によって本質キラーだけど場をフリーズさせるよね、など言われる。

この3つの特徴は、全員が同じ割合で持っているわけではなく、①が特に強く出て暮らしにかなり不便や不快がある人、①はそんなにないが②(人の気持ちがわかりすぎる)で社会でうまくいかないと感じている人、③が強くて学校や社会で疎外感を感じる人、などタイプは様々です。


HSPの特徴

①人の気持ちの影響を受けやすい
これは人の気持ちと自分の気持ちのあいだに境界線をひくことができにくいことで起こります。

ということの背景には、人の気持ちも自分の気持ちと同じレベルで感じ取ることができる能力があるのですね。

まずこれを認識すると楽になります。他の人も同じようにまわりの人の気持ちを分かっていると思っていると「どうしてわからないの?」などという感覚とともに人との間に軋轢が生まれる言動となります。

心の境界線とは、自分のテリトリー、もしくは自分が自分であるためのバリアのようなものです。HSPの人は、この心の境界線が薄くてもろいため、いとも簡単に相手からの影響を受けてしまいます。

その性質は、人の気持ちを敏感に感じ取り、深く共感するというすばらしい一面がある一方、相手に対して過剰に同調してしまったり、相手の気分や考えに引きずられてどっちつかずになるなど、本音がわからずに自分を見失ってしまいがちです。


②感覚的に疲れやすい
HSPの人は感覚器(五感+第六感)が敏感であるがゆえ、いつも刺激を受けている状態で疲れやすいという特徴を持っています。町の匂い、乗り物の匂い、洋服のチクチクや窮屈さ、味覚が敏感で味噌や米や味の違いがすぐわかる、

町に色がありすぎて疲れる、音が気になりすぎて学校にいられない、またはすぐに気が散る、人のエネルギーに敏感なために人混みに行くとぐったりする、等々です。

そして疲れやすいのは「何かしている」時だけではありません。HSPの人は普段から無意識に周りの刺激を大きなパラボラアンテナのように拾い集めているため(非HSPに比べて100〜1000倍の情報量という心療内科の先生もいらっしゃいます)、目覚めている間じゅう感覚の消耗があるという脳構造になっています。


③小さいころからアウェイ感・疎外感がある
たくさんのことを感知しすぎてしまう、そして小さいころはそれを他の人も全員わかっていると思っています。
(人は自分が感知していることは他の人も感知していると思い込みがちです)

だから何気なく「どうして思ってないのにそんなこと言うの?」「あの子はやりたくないんだからそっとしておいたら?」などということをすぐに口に出して「え???」と怪訝な顔をされたり、

会社のプロジェクトなどで「それを話合うにはもっと大元のコンセプトを・・」「このまま進むとこんな不都合がでてくると思うんですよ」と見えてしまう確信に近いことを言うと「考えすぎ」「そんなことはいいからやって」と言われ、みんなのなかで浮いてしまったり、自分がいけないんだ、違うんだと思って、気づいても気づかないふりをしたりします。


④良心的である

HSPの人は概して良心的だと言われます。
この項目は戸惑う方が多いので、アーロン博士のサイトより注釈をそのまま転載させていただきます。以下転載。上部チェックリストサイトより。

※1アーロン博士サイト管理者から: 原文は "I am conscientious." conscientious とは、何かをするときに、誠実に、良心的に、注意深く、真心をこめて、行き届いた、きめ細かに、細心の注意を払って、きちんと、適切に、正確に行う、といった意味がある。

 この“私は良心的である”という項目にとまどい、どう回答したら良いのか迷う方はとても多いのではと思います。良心的な人ほどイエスと答えられないかもしれません。訳者も最初とまどいを感じた一人でしたが、以下のアーロン博士の文章を読んで、確かにこの項目はHSPの神経システムの特徴、特に“深く処理する”という特徴をよく表している設問なのではないかと思うようになりました。もしかしたら参考になるのではと思い、ご紹介しておきます。

“原因がもたらす結果にとても敏感なので、より良心的に行動しようとする。これはHSPが、このままにしておいたらどうなってしまうのか、あるいはこうしたらどんな結果が待ち受けているのか、ということについてよく考え、結果を予測し、それに基づいて行動しようとするからである。”

“私は、HSPの持つ誠実さ倫理観の高さは、他人が作った倫理規定を遵守しなければならないという気持ちよりも、この行動がどのような結果に結びつくのか、ということを非常にリフレクトする(何度も考える)結果として生じているように思える。”
(PSYCHOTHERAPY and the Highly Sensitive Person p.6, 25)


⑤一度に複数のこと(マルチタスク)が苦手
様々なことに敏感に反応するHSPは、一度にたくさんの業務の指示を受けたり、いっぺんに多くのことをやらなければならない状況になると、頭で感じている業務量がとんでもなくたくさんのことに感じます。

そういう状況では頭が混乱して、どこから手をつけたらいいのかわからなくなります。

物事を多面的にとらえ、直線的なものごととして感じていないため、その膨大さに圧倒されてしまうのです。

この状況にストレスを感じ、パニックになって手がとまってしまうということが起こります。

⑥大人数のなかで気後れする
HSSとの掛け合わせであるHSPなら、大人数や人前もある程度楽しむことができますが(HSSとの掛け合わせについては下記参照)、
内向型のHSPの場合たくさんの人に一気に注目されたり、知らない人たちの前でしゃべったり自分を表現したりすることはストレスとなります。身体の凍りつきを起こすという人も多いです。(いわゆるフリーズです)
その場に入っていくだけで、敏感な神経がさらに敏感にものごとに感じやすくなり、神経系はフル回転の状態になります。

⑦友達が狭い範囲に数人しかいない
これは全く悪いことではありませんが、HSPのなかの洞察系が強い方は、「本当に話が合う人」「自分の言っていること、自分のキャラクターを正確に受け取ってくれる人」と話をしたいという欲求が強いです。
ですので、話が全く噛み合わない人、上滑りな会話しかできない人(意見が合わない人とは違います。)と時間を過ごすことは非常に疲れることです。

人に過度に合わせることをやめ、自分軸で自然にいられる人とだけ友好関係をむすぶ、というのは数は少数になりますがかえって生きやすいことかもしれません。

⑧とにかく疲れやすい
感覚が敏感で繊細なために、刺激圧倒が強く、疲れやすいというのはHSP全員に言えることのようです。
そのために「いざというときに頑張れない」「無理がきかない」「ダウンタイムが必要」という人がほとんどです。

何かに対して特に感じようとか、感じ取ってみようとか思わなくても、どんどん情報が入ってきてしまうのがHSPの特徴です。目覚めている間(もしかしたら寝ていても)いつも大容量の感覚をオンにしているので、スイッチを切ること自体が難しい。「気にしなければいい」「感じすぎ・考えすぎだから」と言われても、感じてしまうものは感じてしまうので、それをなしにすればいいという意見は全く役にたちません。

ロングスリーパーが多いのもHSPの特徴ではないかと感じています。(科学的な立証はされていませんが、500名ほどの方に質問した結果、7割以上がロングスリーパーだと自分のことを感じていました)

番外:慎重で用心深いHSPでも刺激が好きな人がいる=HSS

HSPは概して内向的で慎重な人が多いです。(HSPのなかの70%)

けれどもそのなかに新しい出来事や味、コミュニティに対してそれほど臆することなく飛び込める人たちがいます。

HSSというのはHSPとは別の(心理学者マービン・ズッカーマンが提唱した)独立した概念ですが、アーロン博士が一定数の外向型のHSPを研究するうちに、このHSS(High Sensation Seeking=高い刺激追求型)との掛け合わせである人々がいることに気がつきました。

HSS×HSPはHSP全体の3割です。100人のうちだいたい20人がHSPで、その3割がこの掛け合わせです(約6名)。要するに全人口の6%はこのHSS×HSPの人だということです。

HSSは脳のアクセルシステム、HSPはブレーキシステムと言われていますので、この掛け合わせのひとたちは激しく新しいことや刺激を求める時と、自分ひとりで静かに過ごしたい時が、自分のなかに同居しています。

その両面のギャップについて自分で戸惑うことが多いのです。

HSSチェックリストはこちらです。


HSPの人が生きづらさを感じる理由

HSPの生きづらさは数の論理、多数決に起因するところが大きいということについてお伝えします。

HSPの人は人口全体の20%です。

社会は大多数の人に合わせるようにできています。

例えば日本では国産車は右ハンドルですから、駐車場では発券システムはだいたいが右側にあります。

外車の左ハンドルの人用も最近はでてきましたが、まだまだ数は少ないです。

 

そして日本では右利きの人が89%(左利きは11%)と言われています。

ハサミや、券売機や自動販売機、他水道の蛇口の位置、等々たくさんの道具や椅子の位置、コイン投入口の位置等、左利きの人はかなりの不便を感じることが多いと思います。

また日本は血液型がA型の人が一番多いです。
A型の方はきちんとしたこと几帳面に整っていることが大好きだと言われます。

それに対してアメリカではO型が一番多い。ものごとに対するきちんと加減は社会のなかでだいぶ違うようですね。

それと同じように、20%のHSP用にではなく、大多数である80%の非HSPの神経系の方に便利なように社会の常識が形成されています。要するにそこまで敏感にいろいろなことを感じすぎない人が心地よい社会として、この世界は設計されている部分がどうしてもあります。

ただ、例えば左利きの人は「左利きだ」、外車は左ハンドル、と目に見えてわかるので、券売機などでなぜ不便やストレスがあるのかを理解できますし、血液型も検査すれば明確にわかります。そのため周りからも理解してもらえること多い。けれどもHSPの場合は神経系の特徴であるので、それは心のこと・身体の内側の感覚のこととして外側からパッと見てわかりません。

なぜ行き違いが起こっているのか、なぜ不快な場面があるのか、非HSPの方から見て何が起こっているのかを理解しづらいという状況があります。

だから小さい頃からその差異を感じて「自分が間違っている」「自分だけ違うから直さなきゃ」「みんなができることを自分もできるようにならなくちゃ」と思い、非HSPの人と同じように同じことができることは、当然の心理かもしれません。大多数の親も子どもに「みんなと同じことができる」ことを望みます。

  

ありのままの自分を抑えて、蓋をし、社会で理想とされている架空の人物を生きようと努力する。

それはとても苦しいことですし、自分を削ります。

身体は心の声を拾って反映しますので、心が無理をしていたら身体にも無理がきて健康を損なうこともあるのは容易に想像がつきます。


HSP特有の生きづらさの対処法


このように、HSPの人はHSP特有の悩みに気づかないまま幼少期を送り、非HSPの考え方、ものの見方に合わせることを正しいとして「擬態」して生きていることが多く見られます。

ご自身の生きづらさにどのように対応していけばよいのでしょうか?

処方箋①:まずは自分はHSPだということを知る


上記にも書きましたが、自分の感じる不都合はまず全体の20%という少数派であることに起因しているということを知っているということが大事です。

「自分ができないことが悪い」「自分は変わりすぎているからなんとかそれを治さなければ」という誤った判断や、根拠のない劣等感によって自分の人生を断ずることを避け、

これまで傷ついてきたことは「自分が少数派に属すること」で起こっていたことが多いというのを知ることはのびのび・軽やかに人生を生きることにつながります。

そして感覚的な疲労感をどのように自分で対処していくか(これはどの感覚が強いかにもよりますので人によりますが)という現実的な自分トリセツを作っていくことに時間を使うのは実効性のあることと考えられます。

処方箋②:「いい子」から卒業しよう

小さい頃から共感性が強く人の気持ちが手に取るようにわかる、というのがスタンダードな世界のHSP。「自分と他人の気持ちに境界線が引きづらい」特性のうえに「良心的である」という特性が重なって、いつも人の気持ちに合わせて行動することが癖になっている人が多いです。親の望みを自分の気持ちの続きとして感じ取って、親の希望にかなうように人生をハンドルしてきた方もたくさんいます。

共感は、共鳴です。2本ならんだ音叉の一本をたたくと同じ周波数の音叉は手を触れていないのに音が鳴るという現象をご存知でしょうか。

参考資料:https://www.youtube.com/watch?v=cVhWB3IniBo  これが共鳴の状態。

 

相手に向けて「ああ、あなたはそうなんだね。わかる」と客観的に理解するのと、「自分も同じ気持ちだからあなたの望むように動く」というのは違います。相手とのあいだに境界線をもちましょう。

(自分のなかに相手が入り込んでしまうようなことを「過剰同調性」と言います。

エンパスという言葉を使っている方もいらっしゃるかもしれませんが、エンパスにはまだ科学的論文がないためアーロン博士はHSPの共感性と同じものだということは認めていません。)

処方箋③:人との境界を持つ練習
では人との境界はどうやって作ればいいのか。

HSPの人のなかで、多くの方が訴えるのが「人の気持ちがわかりすぎてしまうこと」への困難。

外回りから帰ってきて会社の人が「おかえり、遅かったね」と言ったその口調から「ああ、この人はなんだかわたしがわざと時間を費やしてきていると思っているのだな」「今日だけじゃなく、ずっとそれを思ってきたのだな」などがわかってしまう。(もちろんそれが独りよがりな早合点である可能性はあります)

「あなたの好きなようにしなさい」と言う親の気持ちの底に「本当はこの学校へ行って欲しい」「この会社へ行って欲しい」という願いが色濃く感じられすぎて、先回りしてその望みをかなえるように動いてきた。

クラスの友達からの羨ましいとか悔しいとかの感情をもろにわかってネガティブなものを受けてしまう。

そのような人は、相手のネガティブな感情に巻き込まれないように、境界を強く意識しましょう。

(アーロン博士は境界のためのイメージトレーニングを毎日5分することを勧めています。目をつぶり、自分のまわりに境界壁がめぐらされているところをイメージし、その存在が楽に感じられるようになるまで繰り返します。次第に境界壁は強く強固なものと感じられるようになり、人と対面しているときにも相手の感情に巻き込まれなくなります。)

処方箋④:癒されない重たさがあるときは、感情解放やトラウマ解放の具体的な手段(セッション)を利用する

HSPの人が、相手の感情に巻き込まれやすい特性であることは上記で述べました。

HSPかどうかというのは関係なく、人の発達段階のなかで親との健全な愛着関係を結ぶということは、人間の心が発達していく上でとても大切なことです。

けれども過保護だったり過干渉だったりネグレクト(育児放棄)などの問題で、小さいときに愛着が正しく形成されなかったひとはとても多いです。

心理学者や精神科医は、なんの問題でも根っこはみんな「親子関係」と語る方もいるほどです。

 

親との過去のことを反芻しつづけて自分を痛めつけることなく、その解放にむけて動くこともできます。

心が課題として持っているキズのようなもの。

具体的にその専門をしぼり、おのおののツールに委ねて心の解放をしたい方はぜひ聞いてください。

わたしの信頼する専門家をご紹介します。

処方箋⑤:自分トリセツを作る

こちらは①の実践編と言えます。自分を知ることをどういう視点で行うか、というのは人それぞれですが、

自分はどんな人なのか、知っておくということはとっても大切なことです。

大まかには感覚過敏があるのか➡︎神経過敏の対処法はどうするかダウンタイムはどうとるか

人の気持ちがわかりすぎる➡︎人とのあいだにどう境界線をひくのか、境界線を意識しなくても人を認めることと自分を確立することが共存できるようになれます。

洞察性➡︎ものごとの心理や本質に大きな興味があるということを、自分に許し、他の人がそうでなくてもがっかりしない。こんなにすごいことを聞いた!理解した!ということをシェアしても、人が聞いてくれないということに挫折感を感じるHSPは多いのですが、それはただ単に脳の成り立ちが違うだけなのです。

処方箋⑥:いつも外側の世界をサーチしているセンサーを自分の内部にもどす。
HSPの人は、いつもまわりの多くの情報を察知しています。クラスのなかであ、あそこはプリントが足りていない、部署のなかであの人とあの人はあまり相性がよくないな、AさんはBさんについてあまりいい感情をもっていないな、などすべて察知しているのです。他人の感情や意志についてもそうですし、音や匂いや手触りといった人間以外の無機質なものについてもセンサーがきいているという状態です。

そうやって取り入れたものについていちいち取捨選択をする余裕があればいいのですが、「知らないうちに」自分以外目線で暮らしていることがあります。

 

身体性からのアプローチで、自分の身体をしっかり感じる。

身体からの声をしっかりキャッチする。

これらのことは、「できていないこと自体がわかっていない」のが普通のわたしたちのスタート。身体を意識することは現代においてますます減っているのかもしれません。

それ、なんのこと?と思うあなたは、もしかしたら自律神経の土台がうまく育っていない可能性もあります。(いつからでも大丈夫です)

これらのことには瞑想や身体的アプローチのワークが有効です。

やり方はかなりたくさんの流派がありますので、ご自身にあったものの見つけ出すことを強くお勧めします。

・HSPは感知している情報が大きすぎる、その特性をどうするか

・HSPは外界を感知するセンサーを内側に戻すといい仕事ができる

・感受性の豊かな人は、他の人も自分と同じくらいの感受性を持っていると誤解している節がある

処方箋⑦:自分の環境を選ぶ=安心できる人やコミュニテイと接続している
「居場所」を選ぶ。HSP/HSCにとってこれほど重要なことがあるだろうか、というくらい、重要です。

「自分が間違っている」「もっとできるようにならなければ」「もっと生産性をあげなくちゃ」そんなふうに考えるのは終わりにしませんか。自分のなかのダブルスタンダードは苦しいですね。

居場所というのは「静かで素敵なマスターのいるカフェ」など具体的な場所であることもありますが、

自分が無理なく自然でいられるコミュニティがある、いやもっと踏み込むと「自分のことを理解してくれる人がひとりいる」というのも、「居場所」と言っていいと思います。

なんとなくワイワイする仲間がたくさんいるよりも、HSPは心からくつろげる友達やパートナーが少数いるほうが何倍も健康的になれるようです。

処方箋⑧さらに進んで、自分の人生と向き合うとすごいことが起こる・・・
上記のように今困っていることや自分が弱いところに対してその根っこを取り除いていくというのはひとつの方法です。

けれども、それを人生のなかでやりながらも、

自分を知り、

自分が持って生まれた才能や力(誰でも100以上持っています)を世界(社会)のなかで使ってひとの役にたっていく、ということほどHSPが充足感を感じることができることは他にありません。

自分の可能性を追求し、自分にしかない資質を使って社会のなかで役にたっていく。

5,000名のHSPさんと実際にお会いしてきて「HSPは可能性のかたまり」だとつくづく感じています。

処方箋⑨:強みを見つけ伸ばして、本来の自分で生きる
HSPはニッチな分野に興味を持ったり、独自の世界観を持っている人が多いです(それを自分に許すことができた人は全員持っていると言えます)

会社員として組織のなかで働くのも、個人事業やフリーランスとして働くのも自分のタイプに合っていれば、いいですね。

けれども少数派であるために組織のなかで理解されない確率はどうしても高くなる、というのと

刺激量を調節しやすいということで

ひとりで働く、またはひとりで会社を起こすひともいます。

がんがん大声をあげて人を統率する型のリーダーではなく共感をもってチームをひっぱっていく型のリーダーである人もいますし、その表現力を活かして自分の感性に人を引きつけていく人もいます。

週にいくつかの別の仕事をする、ハイブリッドHSPさんも出てきています。

処方箋⑩自分の膨大な世界を、社会にむけて表現していく
HSPは膨大な精神世界を持っています。仕事であるかないかにかかわらず、自分の思考や感性を表現していくことがHSPの人の幸せにつながることがとっても多いです。ブログで文章を書くもいいし、絵や歌やアートのようなものでもいいです。

表現というのは、何もアートに限りません。アイデアをだす、構成をする、事象を集める、と言ったことに関しても自分にそのエリアの強みがある場合はどんどんそれを表明したいきませんか。

そうやって見えない、内面の特色を出していくことで、価値観でつながれる人(仕事の場合はお客様)とつながることができます。

現代ではツイッターやfacebook、インスタグラム、ブログ、など便利なツールがたくさんあるのでHSPにとっての可能性はどんどん広がっています。

それをどんどん活用して、自分と近い価値観の人とであったり、イベントに出かけて仲間と話をしたり、オンラインの会に出てみたり、

どうぞ気の合う、タイプの合う人と出会っていきましょう。
好みのタイプの人と出会える確率は、はこれから先AIによってますます加速します。

お伝えしたいこと
いろいろな処方箋を書きましたが、最後にひとつお伝えしたいことがあります。

それは「HSPだからといって、その困難さのパターンが生涯続くということではない」ということです。

人生の痛みの部分を癒し、自分の強みと才能=可能性に対して開くことを成し遂げた人は

感覚過敏や共感性について「その神経系がかわったわけではないが、うまく扱うことができるようになる」という事例を今までにたくさん見てきました。人生の大きな転換期は短い人で3ヶ月、発達のなかでのトラウマが大きい方で数年単位です。


HSPの仕事について

HSPの人は、その敏感さ・繊細さ、そして少数派であるという理由から、仕事での悩みを抱える方が多いです。

けれどHSP×HSSの人と、

HSPであってHSSではない人では仕事に対する感性が全く異なるので、別に考えたほうがいいでしょう。

 

共通するHSP部分

マルチタスクが苦手、生産性を求められると苦手、音やエネルギーに敏感という特色があります。


HSP×HSS➡︎新規性を求める特性パターンなので、それとは逆の「ルーティンワーク」「永遠につづく継続性」を求められると全くできないという特性があります。

HSPであってHSSではない人の特性の方は、居場所を吟味し、自分の敏感性にとって優先度の高い条件はなにか、そこから仕事を考えていくという方法がひとつです。

理解者が存在したり、激しい競争やノルマがない、生産性だけで判断されない、そういった条件が必須でしょう。

ルーティンワーク(同じことを継続することに対して能力がある)が得意な人はそれをいかしましょう。

HSPの人に向いていない仕事条件

本質的な話、根本的な話し合いが全くできない場
競争やノルマを課せられる場
異動や転勤など、環境の変化が激しい仕事
人の痛み(身体も心も)に向き合い続ける仕事(HSPのなかの共感性が高すぎる人にとって)
HSPだからということではなく万人にとってパワハラ気味の上司がいるというのは厳しい環境ですが、HSPにとってはさらに神経をすり減らす、つらい職場になることはまちがいないでしょう。

HSPの人に向いている仕事
HSPだから向いている仕事はなにか、という分け方はあまりにも乱暴なものになりやすいです。

HSPという特性がネガティブな方向にでるのを避けることをできるようになったら、その人ごとの個別の強みや才能、そしてHSPの繊細さ敏感さを活かしていくのは、全人類共通のことで、職業名であげるとわかりやすいですが間違うこともあります。(営業は向いていない、 などの記述をよく見かけますが、わたしはHSPのトップセールスを何人も知っています)

具体的には

ささいな刺激や違いをキャッチできる仕事が科学方面に活かされる職種として科学者や研究者があげられますし

細やかな表現ができる ということでは画家や音楽家、詩人、小説家、写真家、俳優、舞台監督や映画監督などアーティスト分野の方も多いですし、クリエイティヴ分野=雑誌の編集者、コピーライター、デザイナーというひともいます。

人の本質的なことにセンサーが高いので、心理学者・カウンセラー・先生、会社のなかでは人事マネージャーがあります。企画制作の部署、企画営業のポスト、など感じ取る力や想像力が活かされる部署もあります。

理解者がいれば組織のなかで「システムの大元を作る人」「プロジェクトの基本コンセプトを取りまとめられる人」「人を束ねる・まとめることができる調整役」としても非常に大きな役割を果たすことができます。

フリーランスは自分のコンディションを自分で作れる分、仕事の進め方としてはとても向いていますが、かたや、いつも新規性や不安的さに挑戦し続けるという局面がでますので、組織のなかで働くのが向いている人ももちろんいます。

会社のなかであるといいなという条件は

・HSPの理解者がいる

・自分のペースで仕事を進められる融通性

・個性的な感受性やひらめきに蓋をせず、仕事に組み込んでいけるポジション



あなたの適職・天職はどこに?

ここまでHSPの人に向いている仕事・向いていない仕事条件についてお伝えしていきました。

HSPは内面的な特性ですので、おおまかな職業名だけで十把一絡げに適職を決めるのは危険です。

要するに、外面的な職業分けで考えるのではなくて(職業名からはいるとデメリットを排除するばかりの方向になりませんか?自分の強みも加味したいですね)

大雑把に職業名から決めるのではなくて
内面の自分の個性や強み・才能をまず見つけていくことがとても大切です。

そしてそれを表現していくことで、個人事業やフリーランスの場合はお客様とマッチングしていく仕事のやり方、

フリーランスや個人事業のやりかた、コミュニティビジネスの形はHSPの仕事にとても向いています。

そしてもちろん、組織や会社のなかの仕事のなかで、HSPの才能を活かしていくこともできます。


才能・強みというのは、誰か特別な天才が持っているものではなくて、誰もが100個以上持っています。

それはもちろん職業に使えるものから、人生をうまく渡っていくもの、幸せを感じることができるもの、等、多方面に渡っています。

そして何か技能を身につける、自分に新しく足していくものではなくて、小さい頃から自分が見ている、やっていること、自然にそうなってしまうことのなかに含まれている場合がとても多いです。

やっているというのは行動だけではなく、内面の心の動きも含みます。

たとえば、空想癖があってお話を作るのが好きだった➡︎編集者・コピーライター・広告業・企画・販売促進など

人のことばかり観察している➡︎コンサルタント、心理士、営業、先生にも向いているでしょう、他にも組織のなかでも調整役・交渉役にも向くでしょう

人が好きで顔が広い➡︎自然にそうなってしまう強みも仕事を考える上での大きな材料です。職業というよりは経営者やリーダーにも向くでしょうし、営業にももちろん向きますね。個人事業やフリーランスにもとてもいい資質です。

考えること自体が好き➡︎研究者や開発者はもちろん、なんの組織でも組織の根幹や企画の深部にいたる発言をできます。

現在は偏差値重視で職業を割っていくような傾向が見られますが(成績がよければ医者か弁護士を狙うべき、のような風潮)共感性が強い、人の気持ちがわかりすぎるタイプのHSPは、重症患者や大怪我の人と常に向き合い、極限の痛みを感じるような職場は不向きです。いくら境界線をひいても非HSPのようにはなれませんので精神的に追い詰められるまでがんばって疲弊してしまう例があります。

強みとともに、自分の資質も見ていく必要があります。


HSPというカテゴライズすることについて

HSPというカテゴライズは、カテゴライズすることが目的ではありません。

チェックリストでたくさんのチェックがついてHSPだろうなと予想がついたところで、それ自体は意味をもちません。

違いを強調して非HSPの人や既存のシステムに対して違和感を表明することが目的でもありません。

こういう神経系であるということを自分で理解するとたくさんの方が「なんだ、病気じゃなかったの」「自分が異常だと思ってこれまできた理由がわかった」とそれだけで楽な気持ちになれる人が多いです。

自分のルーツを理解できた!という気持ちになれると、問題が起こっていたとしても解決の糸口が見えますし、前むきに物事に対処していけます。

そしてHSPが多数派でない社会で暮らしていくための自分トリセツを作り、自分にちょうどいい居場所を探すこと、自分のHSPとしての才能部分に注目し、それを伸ばしながら生きていくこと。

そういうことは可能ですし、そうやって自分の可能性に開いた方はHSPの生きづらい感覚を「逆に長所として軽々と扱う」ことができるのだな、とたくさんの方を見ていて思います。

ご自身が真に生きやすい、ワクワクするような可能性を生きることができますように。

この記事のまとめ

・HSPとは、繊細で敏感な人という意味のHighly Sensitive Personの頭文字を取ったもの。
・HSPは環境や性格といった後天的なものに影響を受ける前に持って生まれた神経系の素質であるということ。
HSPは人種や性別、年齢に関係なく、全人口の15~20%、5人に1人の割合で存在する。
(動物にも同じ割合でいる)
HSPの人は、刺激に敏感なことで疲れやすく、心の境界線が弱いことがあるために生きづらさを抱える。
HSPの人が生きづらいのは、自分が刺激に敏感であるということを特性として認識せず、非HSPの人と同じようにふるまうことを目標としたときに起こる。
HSPはもれなく自分だけの才能・強みがある。(なぜなら非HSPも含め100%のひとが自分だけの強みを持っているから)
HSPの生きづらさの対処法は、HSPの特徴のうち自分の具体的な取説を作ることからはじまる
HSPの人の「適職」は自分の強みと才能にフォーカスすることでとんでもない可能性が開く
HSPの人の適職・天職を探すのにまず必要なことは「違和感のあることから離れること」と内面的な才能から逆算して職業を探す。職業に自分を当てはめて無理をしない。
いかがでしたでしょうか。

HSPを知ったことは、自分を活かして生きることの入り口です。
ご自身だけの持って生まれた個性を大切に、生き生きと自分を活かし社会のなかで人と繋がって生きていく仕事の場所を見つけていくということは誰にとっても可能です。

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