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”お葬式”をひとつひとつわかりやすく。葬儀・告別式の違いと流れをチェック。

 「お葬式」と言われると、どのような場面を想像しますか?現代では、葬式=通夜+告別式として使われることが多いようです。葬儀と告別式も同じものとして解釈され、全てを総称して「葬儀」と呼んでいる人が多いですが、実は違うものです。通夜とは、葬儀とは、告別式とは、それぞれ違いを説明できますか?どれもそれぞれに歴史的背景があり、地域や宗教の文化によってもマナーや習慣が異なりますが、今回は仏式にフォーカスしてお話していきます。

 一般的にお葬式と言えば、葬式=通夜+告別式のイメージをされる方が多いでしょう。「葬式」を辞書で調べると、「死者を葬るための儀式」といった意味が載っており、似たような意味で「葬儀」とも記載があります。しかしながら、葬式と葬儀はイコールではなく、「葬式」は人を弔うための様々な儀式を指す言葉で、通夜や葬儀などを含む儀式全般をそう呼んでいます。では、葬儀と告別式の違いは何でしょうか?

葬儀と告別式の違い

葬儀

 葬儀は告別式と混同されがちで、葬儀=告別式とか、葬式と同じように葬儀=通夜+告別式と考えられることもあるようです。しかし本当のところ、葬儀と告別式は別物。葬儀は故人を宗教的な儀礼儀式で弔い、冥福を祈るものです。読経や引導作法、戒名授与などの儀式があります。

告別式

 対して告別式は、故人とお別れをする社会的な儀式で、一般の参列者の焼香や出棺前の献花が含まれます。葬儀と告別式の間に明確な区別はなく、葬儀の直後に続けて行われるのが一般的です。明治30年頃に無宗教者のための最後の別れの場として「告別式」が生まれ、昭和時代に一般に広まりました。中江兆民というフランス学者が無神論者だったために、厳粛な葬儀ではなく、お別れの場を設けたことがきっかけだったようです。近年で「葬儀」と言えば、その中に告別式があるという意味合いも含めて使われることが多くなっています。

一般的な葬儀・告別式の流れ

葬儀・告別式の流れ(一例)

開式から出棺まで

 受付後、参列者は式場の中に入り、着席します。(席は親族席と一般席が分かれていることが多いです) スタッフの案内に従って静かに待ちましょう。僧侶が入場し、葬儀が始まると、読経と共に戒名が授けられ、「引導(いんどう:法語を唱えてあの世に送り出す儀式)」が行われます。

 読経後には弔辞があり、参列者から故人の人柄や思い出などを述べてもらいます。その後、司会者やスタッフの案内で焼香があり、終わると僧侶が退場するのを合掌して見送ります。喪主の挨拶の後には、生花で故人の周りを飾り、お別れします。これが故人と対面できる最後の機会で、お棺にお花を手向け、蓋をしたら出棺です。僧侶が先頭を、その後ろを喪主が位牌を持って進み、喪主に続く人が遺影を持って歩きます。ほかの遺族や親族で棺を運び、寝台車に乗せます。

火葬・骨上げ

 出棺後、火葬場へ移動し、僧侶が同行している場合は、僧侶に読経・焼香をしてもらいます。火葬には大体1時間から2時間半ほどかかるので、その間は控室で待機、もしくは精進落とし(会食)をします。火葬が終われば、骨上げ(拾骨)を行います。喪主から血縁の濃い順番に、二人一組で足から順番に箸で拾い、骨壺に納めていきます。地域や納骨先によって、骨壺の大きさに指定がある場合もありますので、迷ったときには、葬儀社に相談するといいでしょう。

 尚、火葬には火葬許可証が必要ですので、忘れないようにしましょう。葬儀社に預けておくと安心です。会社によっては、手続きを代行してくれることも。骨上げ後には埋葬許可証と骨壺を受け取ります。

精進落とし

 もともとの仏教の考え方では、亡くなったあとの四十九日目に故人が浄土へ行けるよう、遺族はそれまでの間、肉や魚を食べずに、精進料理を食べるというのが一般的でした。忌明けの満中陰法要(四十九日法要)が行われ、通常の食事に戻すことを精進落としと呼んでいました。しかし近年では、火葬から戻った後に特にお世話になった方や親族、僧侶等へ食事を振る舞うことを精進落としと呼ぶように変わりました。会食の始めと終わりには、喪主が挨拶を行い、式が滞りなく済んだことへの感謝を伝えます。宗教的な意味合いから、少しずつその意味が変化しているようです。

繰り上げ初七日と式中初七日

 生活様式や葬式・法事の在り方が、今昔で大きく変化がしていることから、その意味合いや実施の時期が変わりつつあります。火葬終了後、式場や自宅等に戻り、お骨になってから戻ってきた故人を追悼する環骨法要を行いますが、初七日法要も同時に行うことが増えています。

 初七日法要は本来、故人が亡くなった日から数えて、7日ごとに行う最初の法要ですが、離れたところに住む参列者が集まる負担を軽減するため、火葬当日に行うことを繰り上げ初七日と呼びます。

 また、「式中初七日」と言い、繰り込み式で初七日の法要をすることも増えてきました。火葬をする前、葬儀・告別式と合わせて法要を営むことで、火葬後に行うよりも、1~2時間ほど時間の短縮が可能になります。時代の変化とともに、法要の在り方も変わってくることを受け入れている寺院が多く、希望を聞いてくださることも増えてはいますが、「火葬もまだだというのに、本当はダメなのでは・・・。」という考え方もあるようです。宗派やお寺の考え方によって、快諾してもらえなかったり、断られてしまったりするケースもありますので、お付き合いの寺院や菩提寺がある場合は、必ず事前に相談するようにしましょう。

 いかがでしたか?今回は葬儀・告別式について取り上げましたが、これはほんの一例です。宗教や地域文化によっても流れや決まりごとは様々なので、自身が主催する側になった場合には、式場のスタッフとよく相談して決めていくといいでしょう。

イラスト /ちくわ

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