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「センス」が高い人ほど、「アドバイス」が参考にならなくなりやすい?/「センス」で確かめる最短距離

本稿について

・本稿は自著「センスを狂わせる無責任な“アドバイス”」(URL:https://kakuyomu.jp/works/16816700425991795443)を、具体例と共に更に掘り下げていくものです。
・世の中にありがちな問題や、自らの実力を伸ばすための方法論などを「センス」論を用いて自分なりに解説していきます。
・各項で一応解説はしますが、上記の創作論も合わせてお読みいただくことを推奨いたします。

更新について

・不定期です。
・月曜日の6時に公開予定です。

本文

 おはようございます。自分にしては大変珍しく朝の更新となっている本稿ですが、月曜日のちょっとした暇つぶしになってもらえればなと思っております。

 そして、そんな月曜日のお昼ごろに更新される、自分が割と気にしている占いがあります。

 それは「しいたけ.占い」。

 この文字列をそのままコピーして調べれば週間のものが出てくるのではないかと思いますが、自分はそれを割かし見ていて、気にしてたりします。

 そんなしいたけ.さんの新刊に「しいたけ.の小さな開運BOOK」というものがあります。

 これは人の持っている性質を色で分け(オーラリーディングあたりと関連しているのだと思います)、それぞれに開運のアドバイスをしている、というものです。興味があったら是非探してみてください。

 で、今回はその色分け部分ではない、ちょっとした開運アドバイスみたいな項目の中にある「ピンチはチャンスの本当の意味」というのがあります。内容に関しては全て解説すると長くなるので割愛して、一文だけ抜粋します。


 今度、「ある特定の道を究めたプロ」の知り合いに聞いてみたいと思っていることがあります。それは、
 「自分だけの道を歩もうとしたときに、技術の習得などにおいて、周りの全てが参考にならなくなってしまう時期がありませんでしたか?」
 ということです。(後略)


 詳しい内容は本文を読んでもらうしかないのですが、要は「特定ジャンルにおいて、あらゆる人の考え方が役に立たないものに見えるようになる」ということを言っていて、なんらかのプロフェッショナルになる人は、その人特有の試練みたいなものを持っている、という内容で説明をしています。

 もちろん、そういう可能性もあるとは思います。そのあたりの、「意味」みたいなものは分かりません。

 ただ、この「周りが参考にならなくなる」という現象と「プロフェッショナルとして道を究める人」は、「センス」論において凄く深いつながりを持っていると思うのです。どういうことか。

 既に前作で説明をしたとおり、「センス」というのは後天的に一番伸ばしにくいです。だからこそそれに関する「アドバイス」とか「技術論」が一番需要も供給もあります。

 そして、「センス」が元からある人間は、その「センス」で無意識にこなしている部分を言葉で指摘されると、混乱してしまう可能性がある、というのは既に述べた通りです。

 更にその混乱は「センス」の高い人間ほど起きやすいのです。

 なんでかといえば答えは簡単で、彼ら彼女らは「元から無意識にやれることが多い」から。それを言葉で説明されて、意識してしまうと、かえって要らない力が加わってしまったりするのです。

 これらを組み合わせたときに見えてくるのは「周りの全てが参考にならなくなる」という経験は、「半センス(回数の積み重ねなど)」や「非センス(知識のようなもの)」がついてきたことによって「センス」が存分に発揮され、その結果「センスを言語化したアドバイス」が役に立たなくなってきた、という事なのではないかと思うのです。要はそこから先は「自分で探すしかない」という部分。

 世の中にあふれている「センスを言語化したアドバイス」というのは言ってしまえば「センス」が平均的な数字しかない人間が、そこを伸ばすために培ってきたものを言葉にしているという場合が多い。

 つまり、「プロになるようなセンスの人間」は元から持っていることが多いのです。だから参考にならない。

 そして、その「参考にならない」状態からもう一段の積み重ねが出来た人間が「プロフェッショナル」として結果を出す。要はそういう事なのではないかと思うんです。

 ここに、一つの仮説が生まれます。「半センス」のような回数の積み重ねや「非センス」のような知識を入れるといった行為が十分に行われている分野で、それ以外のアドバイスが全く響かなかった場合、伸びていく可能性があるのではないか、ということです。

 要は「センスを言語化したアドバイス」に違和感を覚えるタイミングの速さは「センス」の高低に直結しているのではないか、ということです。

 具体例を挙げておきましょう。例えば絵を描こうと思った時に、様々なアドバイスがあります。

 どういう風に補助線を引いたら綺麗に描けるか、といった技術論はいくらでも転がっています。

 そういったものを見る前に、まず「構造的にどうなっているか」という事実確認だけをして、自分流に描いてみて欲しいのです。

 もちろん、位置関係を確認するために、例えば顔を書く場合は十字線を真ん中に入れるといった行為は必要かもしれません。

 しかし、それ以外の部分。例えばどこから描いたらうまくいくといった「センス」のアドバイスに関してはいったん無視して描いてみてください。

 その上で、ある程度の「半センス」──つまりは「数を描いたという経験」を携えて、それらのアドバイスを見てみてください。

 恐らく「センス」のある人間はそれらが「参考にならないな」と思うはずなのです。だって、それらは言語化するまでもなく既に「センス」として持っているから。

 それをわざわざ言語化し、体系化したものには違和感を覚えるはずなのです。そして、その違和感を覚えるのが早いジャンルほど「伸びしろがある」という事になると思うのです。


 と、まあ、今回は「伸びしろ」を「しいたけ.の小さな開運BOOK」の一項目を例に確認してみました。

 割と綺麗に切れているとは思うのですが、凄く分かりにくい話ですね。ごめんなさい。自分がこの方法で絵を上達させればいいんですよね。やります。多分。

関連作品

参考

・しいたけ. 『しいたけ.の小さな開運BOOK』,2021,マガジンハウス
・蒼風,センスを狂わせる無責任な“アドバイス”,2021

リンク

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