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【RIZIN】総合格闘技は好きだが、MMAはそんなに好きじゃない話【UFC】

1.PRIDEとK-1に捧げた前半生

筆者の格闘技ファン歴は97年のK-1に遡る。初めて覚えたファイターはアンディ・フグ。次に覚えたファイターはピーター・アーツ。時々VHSで当時の映像を見るが、映像が粗いのはもちろん、技術とかもスマートになってなくて ボクシングに蹴りが追加されてるような感じ。

だが、でかい男が削り合う姿に子供心に惹かれたのを覚えている。捻くれたガキだったせいか、特撮や映画の戦闘シーンには冷めた目を向けていたのも覚えている。プロレスなんかは眼中になかった(弟と父は好きだったので一緒に見てはいたが)。


そしてクソガキだった筆者は深夜にもう1つ格闘技を発見する。PRIDEだ。(K-1も初期はわりと深夜だったはずだが、どこで見たんだろうか・・・)

プロレスラーやプロレスラーっぽい選手が苦戦してる中で一人なんかそこまで大きくないのに凄いのがいた。桜庭和志だ(実は日本人ファイターで考えると十分デカイのだが)。どの試合を初めて見たかは不明だが、多分ビクトー・ベウフォート戦クイントン・ランペイジ・ジャクソン戦だと思う。ホイス・グレイシー戦は再放送か何かで見た。

クソみたいなレフェリング、ドーピング検査もガバガバで不自然な肉体、階級お構いなしの契約体重、死人がでそうな攻撃の数々。子供心・無知、というか死ぬかも知れないという緊張感すらスパイスになっていたと思う。

当時は当時なりのテクニックは当然あったと思う。K-1は基本的にワンデートーナメントPRIDEは1R10分2R5分(場合によっては1R10分2R5分3R5分)という戦略性もへったくれもない時間設定。魔の4分 魔の7分 魔の2R3分なんていう言葉もあったくらいだ。スタミナ切れで後半グダグダになったり、疲労でKO負け 疲労で1本負けもある。

かといって温存しようものなら序盤にラッシュで畳み掛けられたりする。

今ラウェイや新生K-1にリソースをいれてるのはこの頃の熱に近いものがあるからかもしれない。

2.今の格闘技は格闘技というよりスポーツ化競技化してる感じがする

今のグローバル・スタンダードは5分3R。サッカーボールキックや寝技状態での膝蹴りや踏みつけは禁止。 

ペース配分、判定勝利を意識した戦略・戦術。金網際のテクニック、ここ10年くらいで一気に飛躍したグラップリングテクニングやレスリング技術。それらを前提としたスタンドやスタンドとグラウンドの合間の打撃や組技。

この技術攻防や戦略・戦術を好む人もいるし、野蛮ということでPRIDEや旧K-1を下に見る人も少なくない。

また契約体重や試合当日に合わせた減量、トレーニングキャンプ、スパーリングパートナーやトレーナーを用意。ネット環境やPPVなどによる試合映像の研究。本人の強さ以外の要素も必須となる。

これはアメリカ4大スポーツや日本のプロ野球やJリーグ、欧州のサッカーやテニスなどでは当たり前となっている。ボクシングなんかは競技としての歴史はものすごく長い。

今しか知らなければ、これはこれで十分楽しめたと思うし、これはこれで楽しんでいるがMMA界隈とはかなり距離を置いているのは否めない。


3.今のMMAは若く勢いのある選手には不利

RIZINほかUFCでさえもやや苦戦している要素として、技術ではなく勢いで魅せる若手ファイターが活躍が難しい環境がある。

UFC王者
ヘビー級:スティーペ・ミオシッチ(38歳)
Lヘビー級:ジョン・ジョーンズ(33歳)※今現在は空位
ミドル級:イスラエル・アデサンヤ(31歳)
ウェルター級:カマル・ウスマン(33歳)
ライト級:ジャスティン・ゲイジー(31歳)
フェザー級:アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(31歳)
バンタム級:ピョートル・ヤン(27歳)
フライ級:デイブソン・フィゲイレード(32歳)

RIZIN王者
無差別級:ミルコ・クロコップ(40歳)※当時
ヘビー級:キング・モー(34歳)※当時
Lヘビー級:イリー・プロハースカ(27歳)※現在は空位
ライト級:トフィック・ムサエフ(30歳)
フェザー級:朝倉未来(28歳)※厳密には王者ではない
バンタム級:朝倉海(26歳)
女子スーパーアトム級:ハム・ソヒ(33歳)

MMAとして最高峰のヘビー級現役王者が王者の中で最年長。RIZINでも当時40歳のミルコ・クロコップが無差別級優勝。となっている。

この背景として、MMAは覚えること、やること、そしてかかる費用、人脈などが非常に多く身体能力や勢いよりも、経験・技術にとても比重がある。

そのため、おっ良い新人出てきたやんけってなっても キャリアを積んでいくことで、独自色が薄れていき、マニアにしかわからないように埋もれていく。もしくは非メジャー団体でキャリアを積んでRIZINやUFCに適応したスタイルになって個性が潰れるという状態になる。

これが一般層には響かない。団体ファン、競技ファンにもどこか物足りなさを感じさせる一因となっている。

そして今MMAファイターでRIZINを見据えるならプロデビューから少なく見積もっても5年。UFC王者を目指そうとなった場合はプロデビューから10年を見据えることがほぼ必須となっているだろう。

ちなみにUFC最年少王者はジョン・ジョーンズがもつ23歳8ヶ月(プロデビュー3年目)だが、彼は16歳からレスリングをはじめており事実上の格闘技キャリアとしては7年目となる。しかもこれは2011年の頃であり、すでに9年前のことである。そして最年少王者記録のトップ6の中でも最も近い時期の記録である。
逆に最年長記録は1位こそ12年前の記録だが、2位は2019年であり3位と4位もここ5年以内にできた記録である。MMAという競技がいかに技術・戦術・戦略の上で成り立っているかがわかる記録だろう。


4.キックボクシングは?

幼少期から空手をやっている選手は数多くいるものの、ローキックの対策、グローブを使った打撃、そして打撃センス、身体能力やフィジカルなどがあれば意外と通用する。

もはや昔と感じるような時期だが、ボブ・サップ チェ・ホンマンといったキックボクシング素人がそれなり以上に通用しているあたりで感覚的にわかると思う。

ほかに、MMAファイターが参戦しキックボクサーを倒していったり、キックボクシングのバックボーンがあるがMMAがメインの選手が王者になった例もある

なんだよキックボクシングってしょぼいし簡単じゃねーか。って思うかも知れない。だが、興行としてはこのほうがいい

競技としてのセオリーが1年そこらじゃどうしようもなくなったMMAよりも、本人のセンスやスタイル次第で一気にトップに駆け抜けることができるほうがやる側としてのハードルは低いし、見る側としてもマンネリ化しない

ただこれは王者になるための障害や一定以上の活躍がMMAよりもハードルが低いというだけであって、実際にやる上でどっちがきついかは別問題である。

プロの試合で採用されている10オンスグローブや8オンスグローブは、MMAで採用されているオープンフィンガーグローブよりも重いのは当たり前。そして現在のキックボクシングルールはクリンチや首相撲といった掴みを制限していることが多く、試合中に一呼吸置くというのが難しく、かつてほどMMAファイターがそのまま活躍するというのは少なくなっている。

筆者は一切格闘技はやらないのだが、なんとなくボクシンググローブとオープンフィンガーグローブとバンテージを購入した。オープンフィンガーグローブは24時間つけても大丈夫だった。ただボクシンググローブは1時間が限界だった。
翌日、さらに1時間の装着なのに猛烈な肩痛と肘痛と手首痛に襲われたし、元々首と腰にヘルニアを抱えて、股関節や膝もよくないのでこっちもやばかった。フィットネスでキックボクシングやボクシングを考えてる人はトレーナーとよく相談しよう。



5.ミャンマーラウェイ

上でもちょっと名前を出したが、筆者が今ガッツリハマっている。というか生きる理由の2つの内の1つであるのがミャンマーラウェイ。古代ムエタイ、バンテージボクシングとも呼ばれる。
グローブではなくバンテージを巻いて試合をする。パンチ 肘 蹴り 膝 頭突き 投げ 流れの中での関節技が認められ、フラッシュダウンはあまりダウンをとられず、明らかなダウンでもすぐ立てばダウンをとられない。悪質でなければ金的も見逃される。タイムもある。といった感じの地上最も過酷な格闘技と呼ばれている。

ちなみにラウェイを直訳すると 戦い であり、かつてはバーリトゥードのごとくなんでもあり(寝技の攻防はあんまり男らしくないってことでブレイクされたり流行らなかったようだが)で縄だったり裸拳だったりで行われていた。

昔に比べるとこれでもわりと競技化されている方だが、この過酷な様子はどこかPRIDEを彷彿とさせ、グダグダな試合展開だった時であっても熱を感じどっぷりとハマった。


実際、客層としては普通の格闘技を見ない人 かつてPRIDEや旧K-1を見ていた人 そして巌流島(格闘技イベント)を見てた人など、他の格闘技イベントとは違う客層が目立った。※筆者は巌流島でラウェイの存在を知り、近い時期にAbemaTVでやっていたのをみて現地観戦を決意し、現地観戦してドハマリした。

一応海外ではちらほらラウェイ興行が行われているようだが、日本での開催は予定されていない。

ちなみにラウェイ67kg王者の金子選手がK-1グループで大苦戦をし、ラウェイ55kg王者のキャット選手が天心選手にKO負けしたりとあまり良い姿を見せられなかったが、ラウェイジャパンで勝利をあげられなかった蓮實選手がタイトルマッチ手前まできてたり、競技の相性を感じノスタルジックな気持ちになった。

ラウェイやめちゃくちゃ応援してる選手については、いずれ語りたいなと思う。

面接時に「遊ぶ金欲しさに」と言いたい人生だった。