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【ラウェイ】LETHWEI × UNBEATABLE 1st 感想【ネタバレ】

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※選手敬称略 予めご了承いただきたい。

1.はじめに

ラウェイとはラ(裸拳)ウェイ(戦い)の意で、一般的な格闘技とは違い拳にバンテージを巻いただけの状態で戦うミャンマーの国技である。古代ムエタイ ビルマ拳法 バンテージボクシングとの別名もある。
ムエタイと同じ源流ではあるが、ミャンマーラウェイは地続きで受け継がれた。(古代ムエタイは一時的に伝統が喪失したが、海外に伝わったものが逆輸入されて賭けの対象となり近代ムエタイとして確立した。)
正式に認められたミャンマーの国技
また、ラウェイ日本大会はミャンマーから認められた正式なラウェイ興行

1-1.ラウェイルール

拳にバンテージ(グローブはつけない)のみ

有効:あらゆる拳の打撃 あらゆる足の打撃 肘 膝 投げ 頭突き 立ち関節

禁止:噛みつき 目潰し(悪質でなければスルーされる) 手のひらをつかった絞め技(正面から首を掴んで絞めるなど) 故意の頚椎への攻撃(悪質でなければスルーされる) 故意の脊椎への攻撃(悪質でなければスルーされる) 故意の金的(悪質でなければスルーされる) 過度な挑発行為 過度に相手を侮辱する行為
※張り手、掌底、流れの中での数発の鉄槌(パウンド)、はレフェリーによって認めたり認めなかったりする

3分5R インターバル2分(従来の格闘技は1分なことが多い) 3ノックダウン 累計4ダウンでKO負け 1カウント2秒

1試合に1回タイム(セコンドでも選手でも可)をとることが出来る(1ダウンにカウント)

判定は無く 決着がつかない場合は引き分けとなる

リングにあがって戦い抜くことをリスペクトし勇者と称える

原則として土足禁止 女性がリングの上にあがる事を禁止(女子選手は例外)

1-2.UNBEATABLE(アンビータブル)ルール

規定のオープンフィンガーグローブを着用

有効:頭突きは選手双方の合意があれば許可 基本的にラウェイと同じだが一部禁止がある(詳細は下記記載) また、一部禁止事項も選手間の合意があれば許可

禁止:首を支点とした関節技 首を支点とした投げ技(ただそこまで取り締まらない) 基本的にラウェイと同じ 従来の格闘技に比べるとバッティングをそこまで取り締まらない 選手の合意がなければ頭痛は禁止

5分2R インターバル2分

判定有り

2.UNBEATABLEルールの試合

正直オープンフィンガーグローブのキックボクシングってあんまりおもしろくない印象だった(個人的に好みではない)ので心配だったが、頭突きがあることによって・・・

第1試合 坂本優起 vs 鈴木槙吾  90kg契約

元シュートボクシング王者の坂本 元パンクラス王者の鈴木という実績十分の選手同士がいきなり第一試合で行われた。

試合序盤を有利に進めたのは元シュートボクシング王者の坂本。しかし鈴木もタックルやクリンチを有効に活用し坂本の好き勝手にはさせない。
風向きが変わってきたのは3分を過ぎた頃から、一般的なキックボクシングと違い1R5分なので坂本が露骨にバテはじめ鈴木の打撃も当たるようになっていく。また、ちょくちょく頭突きっぽいのがあった。
そして2R突入。インターバル2分なこともあり坂本が回復して1Rと似たような展開になる。ただ鈴木はそこまで回復出来ていない。
しかしUNBEATABLE特有の攻撃である頭突きを鈴木が行い、鈍い音と共に坂本がカットで流血。逆転の頭突きで鈴木が見事勝利を収めた。

本人は不甲斐ない形の決着と言っていたが、頭突き(有効打)によるTKO決着である。自信もって誇って欲しい。

なお、本来鈴木と対戦する予定だった選手がリングに上がり対戦アピールをした。ちょっとノリが合わなかった。というかこの選手試合前にも挨拶したしちょっとくどかった。

こけら落としとしてKO決着 それも頭突きという形。オープンフィンガーグローブでの立ち技に不安もあったがそれも拭われたという印象。
ただ頭突きはデフォルトにしないと微妙だった可能性もある。


第2試合 右乳 vs 伊藤風童  70㎏契約

右乳はラウェイと同様にバンテージのみ巻くベアナックルボクシング経験者。特徴的なリングネームと配信者としての人気もある。キックボクシングも2勝1敗。
伊藤はMMAイベントGLADIATORやオープンフィンガーグローブ着用のキックボクシングも経験。キャリア通算1勝6敗ではあるが、UNBEATABLEルールに近いオープンフィンガーグローブでのキックボクシング経験は大きなアドバンテージか。23歳と見た目から考えるとめっちゃ若い

試合はアグレッシブに出る右乳としっかり攻撃を返す伊藤の構図。ケージの試合でよく見るタイプの展開になっている。しかし右乳の攻撃は大ぶり・フルスイングが多く見切られまくっている。

終始この展開のままダメージ考慮で伊藤の判定勝利。ただポテンシャルや攻撃力は右乳のほうが良かったように見える。相手のグローブを触ったり、軽い蹴りをいれたり、膝蹴りする振りを見せたりすると強打が活かせるように思う。※素人目線


第3試合 大番高明 vs 半田勝也  無差別級

大番は遅めの格闘技デビューながらMMAイベントGLADIATORヘビー級王者。半田は地下格闘技イベント突破で二冠王者 益荒男と宴でも王者になっている。

両者無差別というか無搾りという体つき、UNBEATABLEルール出場者はちょっとなんというかもうちょっとなんとか出来たんじゃない?という印象もあるが・・・

そんな心配をよそに半田がいきなりラッシュをしかけてダウンを先取。その後もパンチをいれつつ組んだら頭突きもいれるとUNBEATABLE用に技術を習得している印象。
しかし2分経過したあたりで半田が失速、大番もラッシュを受けたことでスタミナを削られている。両者攻撃は続けているが手打ち気味で倒せるような攻撃になっていない。蹴れば良いんだが1R5分でグラウンドが無いと疲労回復が難しいか、3・4分経過したあたりで大番が蹴りを使いだした。

2R打撃を全般的に当てる大番と頭突きで応戦する半田の構図。頭突きから打撃をまとめてハイキックを命中させるが大番は倒れない。
しかし両者スタミナ切れで試合終了。1Rのダウンを奪った半田が判定勝利。そして半田声と喋り方が可愛くてちょっと笑った

UNBEATABLEルールは3分3Rがちょうど良いんじゃないだろうか・・・



3.ラウェイルールの試合

さぁ久しぶりのラウェイの試合。2試合しかないのが寂しいところだが、ラウェイジャパンのエースである渡慶次(とけし) そしてレギュラー参戦している東の両名が出場。
東はK-1グループに参戦した南雲と同じくらいの数のラウェイを経験。渡慶次はその倍以上のぶっちぎりの数を経験している。

第1試合 東修平 vs 高木亮 64kg契約 3分5R インターバル2分 判定なし

東(ひがし)は前述のようにかなりの数のラウェイを経験、またMMAでも20戦近く試合をし、シュートボクシングにも参戦した。タンクトップマスターってわりにあまりタンクトップを着てこないのはなぜなんだろう。
対する高木は亮AKBというリングネームで一部で話題になったMMAファイター、今回は本名での参戦となっている。なぜか競輪用語を多用している。そしてタンクトップ日焼け跡が残ってるのは意匠返しか

そして久々にヤイダンス(ラウェイの戦いの前に行う踊り、近年では本場ミャンマーでは行わず日本で行うようになっている。なんでや)。音が小さくて東が踊り出しをやりそこなった。※ちょっとしたらすぐ踊ってた
そして前3試合に比べて身体の絞り方が両者とも明らかに違う。

1R 両者蹴りで牽制しあう。オーソドックススタイルで距離をつめる東に、サウスポーで先制のダウンを奪う高木。しかしアドレナリンが出まくっているのかダウン直後にすぐに立ち上がるどころか前に出ようとしてレフェリーに制止させられる。
これで勢いにのった高木は続けざまにさらにダウンを奪う。しかし東はまたもすぐに立ち上がり前に出る所をレフェリーに制止される。テンションあがりすぎである。
もうダウン出来ない東だが、タイムをとらず(2ダウンのあとのタイムは累計のダウンにはカウントされるが、3ノックダウンにはならない)、かといって試合を流すわけでもなく戦い続ける。そしてそのまま1R終了。東が笑顔で高木に「お前やるなぁ!」って感じの声をかけ、高木も応える。
東は表情は変わらないが顔にはダメージが見える。一方高木は手応え有りで余裕が見える。
ラウェイおもれぇ

2R 東は久々のラウェイ はじめての日本人対決 対サウスポーというのに適応出来たのか被弾が明らかに減る。
一方で高木も東の前進にジャブを合わせ、さらにローキックを的確に命中させ、カーフも見せる。
東はところどころスイッチを見せて攻撃を命中させていく。また頭突きも見せる。以前の東にはなかった技術が多くあり、しっかりと修練を積んだ様子が見える。
面白い 楽しい ビールうまい

3R 東がいきなり距離を詰める。それをしっかり見切った高木が逆に押し返して打撃を当てる。さらに東のガードをしっかりと見てガードの隙間に打撃をいれる。蹴り足を掴んで打撃をいれたり、上下を散らしたりカウンターをいれたりと高木がペースを掴む。
後半20秒、東が肘をいれる。そしてラウンド終了後、高木が左手を気にし出す。
3Rでは優勢だったのは高木だが、拳を気にしたりセコンドになにか伝えたりで余裕が一気になくなっている。1R3R押されていたはずの東は姿勢良く笑顔でセコンドと会話。このあたりはラウェイ初参戦とラウェイの経験豊富なところに差があるか。
高木サイドは4R開始して早々にタイムをとるべきと思うが・・・

4R セコンドアウトの声の前に既に前にいる東。一方で手を気にしていて表情から余裕が一切消えれう高木。左が明らかに減り、攻撃が弱まってしまう。東はそんなのを見逃すはずもなく手数を増やし、高木が離れたところに遠くから頭突きで遅いかかり高木が腰を落としたところに東が追撃。
ここでタイム使え高木陣営と思うがそんな様子はなく、東がロングレンジの頭突きでさらに追い詰める。
そしてタイムを使わないまま4R終了。高木陣営もったいないぞ!
さらに4R(12分)経過した状態で東はすぐに座らず立ったままセコンドと会話。そのごもいつもどおり座って姿勢良くアイシングを受ける。
対する高木は痛めた手を気にしつつかなり消耗している。ただ目は死んでいない。
相変わらず前のめりの東。

5R 変わらず攻める東と、左を使えず思うように距離をとれない高木。東の頭突きに右を合わせるなどの技術も見せる。しかし東の右のパンチがついに高木を捉え、追撃の膝蹴りでダウンを奪う。
再開、打撃を何度も重ね高木が怯んだところに頭突きで追撃、ゴツっと鈍い音が鳴り高木ダウン。そしてファイティングポーズをとれずKO。

東久々のラウェイ 久々の勝利 いやぁお見事。というか頭突きもこんなに上手じゃなかったと思う、めっちゃ強くなった気がする。

繰り返しになるが高木(と陣営)は拳に違和感を覚えたあたりでタイムをとって、拳を冷やすなどしてリセットしておけばまだ違った展開があったかもしれない。
そして今回の試合の一番の違いはやっぱりラウェイのキャリア差だろうか

やっぱラウェイっておもしれぇ


メインイベント 渡慶次幸平 vs ジョナタン・バイエス 75kg契約 3分5R インターバル2分 判定なし

名実共にラウェイジャパンのエースとなった渡慶次。ラウェイが開催されていない間はキックボクシングで試合を重ねていたが思うような結果は出ず(というか出たらいけないと思う)。日本人としてはかなりラウェイをこなしている東、南雲のくらいの試合を出ていてラウェイキャリアのほとんどがミャンマー人相手。今回珍しくミャンマー人じゃない選手が相手。
対するジョナタンは修斗に参戦しているMMAファイター。ご時世的な問題で思うように試合が出来なかったが今回のためにかなり準備はしていたらしい。というか顔こっわ

渡慶次は75kgにしては上背が高くなく(170cmくらい)、ジョナタンは高め(190cmくらい?)で15cm~20cmくらい身長差がある。

ちなみにラウェイジャパンではミャンマー人が赤コーナー 対戦相手が青コーナーなことが多く 渡慶次が赤コーナーで赤い布を巻くの初めて見た。

ヤイダンスもしっかり決まっている渡慶次。

1R 身長差が著しいが渡慶次はそこまで苦にしている様子はない。渡慶次は冷静にローキック、カーフキック、前進してきたところにパンチを合わせるなど攻撃を散らす。
しかしジョナタンも長身。リーチを活かし打ち下ろしの打撃、フィジカルにまかせた突撃など油断は出来ない。
ところで両方のセコンドにピンクのズボンがいる

2R 渡慶次のローキックとカーフキックがジョナタンに襲いかかる。そしてジョナタンがバランスを崩して追撃しようとしたところにジョナタンの攻撃が直撃し渡慶次の腰が落ちる。なおも打ち合いでジョナタンがダウン気味に崩れるがすぐに立ち上がる(フラッシュダウンをあんまりとらない)。
そして畳み掛けようとする渡慶次だがジョナタンのパンチが命中して渡慶次またも腰が落ちる。武侠映画を見てるようなすごい形相を見せる両者。
しかし、ジョナタンの顔すっげーこわい

3R 渡慶次が前に出る瞬間にパンチを合わせるジョナタン。そしてジョナタンさらに攻勢をかける。しかしジョナタン飛び膝のタイミングに渡慶次がパンチを合わせてジョナタンダウン!
セコンドはすかさずタイムを要求。
だが、やはりダメージは回復しきらずレフェリーストップ。
渡慶次1年9ヶ月ぶりにラウェイで勝利(ミャンマー大会で2連敗してた)。

ラウェイジャパンのエース渡慶次幸平 今大会もきっちりKOで興行を〆た。

渡慶次のえげつない蹴り 狙いすました拳 より洗練された印象がある。

ちなみに渡慶次には後援会も存在する。筆者も入っている。


4.最後に

次回10月 なんとかワクチン接種済ませて行きたいなぁ・・・


いやぁやっぱりラウェイって面白い。そしてラウェイは筆者の生き甲斐だと改めて再認識した。
アンビータブルも悪くはなかったが、1Rは3分にしたり、頭突きはデフォルトにしたりと改善点はあると思う。

そしてラウェイの試合を増やせないかなぁと、やっぱりルールが過酷だからやりたがる人少ないんだろうなぁ。

かつての浜本キャットのように通過点・踏み台でいいので名乗り出て欲しい

面接時に「遊ぶ金欲しさに」と言いたい人生だった。