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創知堂の日常閑話:アイデアが生まれるときについての雑感

僕はTRIZという世界中の特許分析結果から得られた問題解決理論を使ってコンサルティングをしている。端的に言えば、製造業のアイデア創出のお手伝いである。

単に手法をレクチャーするだけではなく、実際のその企業のテーマの問題解決を目指してコンサルティングするので、毎回新しいひらめきの瞬間に立ち会えるという喜びは大きい。
もちろん産みの苦しみというかそういうものも同じくらい大きいのだけど。

アイデア発想の瞬間については、いろいろな話(説や逸話)が存在する。

アルキメデスが、王冠が本物かどうかを調べる方法を「お風呂に入っているとき」にひらめいた(ユーレカ!) は子供のころに誰でも一度は聞いたことがある逸話だし、ニュートンが「リンゴが木から落ちる」のを見て万有引力の法則を発見したというのも日常からひらめき(アイデア)が得られた興味深いエピソードである。

それぞれはあくまでも「逸話」であり、その史実を語るものではないと思うが…。

これらは「いつもと違うこと」をしているときに何らかのひらめきが生まれやすいという例を示しているといわれ、この事から「ぼーっとしているとき」、具体的には「ベッドの上」「乗り物に乗っているとき」「お風呂に入っているとき」などが良いアイデアが生まれる場所としてあげられる。

また、「リラックスする」ことで、脳のある分野が活性化しやすくなり、創造的な能力が発揮しやすくなるという研究結果はあるようである。
(僕はエビデンスを持っているわけではないので、あくまでも一つの話題としてご理解いただきたい。)

つまり「良いアイデアは寝て待て」ということなのか?

しかし、私たちコンサルタントは仕事でクライアント先に行くわけだから、そこで「良いアイデアが出るまで気長に待つことです」なんて言うことは口が裂けても言えない(言わない…多分…笑)。

求めるアイデアの性質(問題解決型なのか課題達成型なのか)や、これまで取り組んできた期間などで傾向があるようにも感じているが…。

また、そのテーマに対して先入観のない(=あまり知識や経験のない)人のほうが良いアイデアを出せるなどという「都市伝説」にしか思えない話もある。

僕は、アイデアとは「困ったときの知恵」だから、本当にそのテーマについて困っているかどうかがポイントだと思っている。

本当はそんなに困っていないのに、「お試しでやってみよう」とか、「役に立つかどうかみてやろう」というスタンスの場合は、あまりうまくないことが多い。

もちろん、こちらも仕事だからたくさんのアイデアを創出してもらうし、実際に多くのアイデアが生まれる。僕もアイデアを出したりして多少加勢をすることもある。

しかし、それが「良いアイデア」という果実になるには、もう一つ上の段階に上がる必要がると感じている。

その階段を一つ上がるためには「時間を置いて思考を熟成させる」というのもありだし、「さらに思考を追い詰めて考える」というのもありだと思う。

身もふたもないが、それはどちらでも構わない。

ただ、あえてその二つに順番をつけるとすれば、「一度は思考を追い詰めて考えつくす」ことが最初で、「思考を手放す」ことはその後である。

思考を手放した後、「お風呂」に入ったり「ベッド」で寝ているときとか、車での移動中とかの何らかの軽微な刺激が発火点になることはあると思う。(もちろんそれを積極的に期待してはいけない気もするが…(笑))

だから、僕は良いアイデアを出そうとすれば必死に考える。
なかなか長時間は難しい場合が多いので、積極的に時間と数で締め切りを決める。

そう考えると、作家や漫画家の方が締め切りに追われている方の作品が面白い場合が多いというのも納得できる。(個人的な感想です(汗))

良いアイデアを求めているのであれば、真剣にそのテーマ(問題や課題)に困ってみましょう。そして、真剣に困ったことを効率的に解決するためにいろいろな手法を使いましょう。

創知堂は、そういう問題解決や課題達成をサポートします。


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