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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2024/6/28

 聡太くんはようやく玄関チャイムをわくわくタイムの合図だと思わなくなったようだ。
 いままで、玄関をピンポンされると「なんだ!? だれだ!?」と玄関にすっ飛んでいっては、しっぽをタヌキのごとくブワァと膨らませて、「こわい……」とやっていたのに、最近は玄関がピンポンされても玄関に飛び出さなくなったのだ。
 素晴らしい。思慮分別が育ってきたのだ。それでこそ猫である。少なくともたまちゃんは玄関チャイムが鳴らされるとテーブルの下に隠れていた。それが普通だと思っていたので、聡太くんが玄関にすっ飛んでいくのはなんでだろう、とずっと考えていた。
 仮説としては、人間が大好きなので知らない人間にも愛想を振りまきたいのではないか、と思っていたのだが、なんだかんだしっぽをブワァとさせていたので違う気がする。相手によってはシャー! と激怒したりもしていたので、愛想を振りまきたかった説は成り立たない。
 やはり好奇心の力だろうか。いまの聡太くんは好奇心より眠気のほうが強いのだ。いいぞいいぞと思う。

 聡太くんはほとんど人間の食べ物を食べたことがない。アジフライ泥棒をやらかしたりもしたが、人間から「ほら食べてごらん」と人間の食べ物を差し出されたことはないのだ。
 だから人間の食事に鶏肉や魚が並んでいても、すぐ強奪してしまおうとはしない。スンスンと匂いをよくかいで、「これはもしかしたらたべるとおいしいやつじゃないかな」みたいな顔で迫ってくる。
 きのうの夜、人間はスーパーのお惣菜コーナーで売られていた鶏の骨付き肉を煮たやつを食べていたのだが、聡太くんは「それ、もしかしておいしいやつ? たべていい?」と迫ってきてケージに入れられていた。たぶんほったらかしたらモグモグと口に入れていたのだろう。食べ終わって、骨はフタつきのゴミ箱に捨てた。聡太くんはずっと食べたそうな顔をしていたが、鶏肉なら毎日、パッサパサにゆでたものとはいえササミを食べているではないか。
 そもそもこのササミも、「人間の食べ物をかすめようとするんです」といつもの獣医さんに相談したら、「白身魚とか鶏のササミとかを茹でて食べさせてあげたら?」という意見をもらって始めたものだ。いつもの獣医さんは猫目線で考えてくれて嬉しいのであった。早く復活してほしい。

「おひさまぱわーじゅうてんちゅう……」


 聡太くんをつい「ちびたん」と呼んでしまう。本人は嫌ではないだろうか、と思う。
 わたしも知り合いに「ちゃん」付けで呼ばれるのがとにかく嫌なのだが、聡太くんも同じように、もうぜんぜんちびじゃないのに「ちびたん」と呼ばれるのを嫌だと思っているのではないだろうか、と考えてしまったのである。
 とりあえず嫌な顔はしないものの、それは怒らないほうが得だ、などと思っているだけではないだろうか。猫は賢いので損なことはしないような気がする。
 ちびたん、と呼ぶのが癖になってしまったわけだが、いろいろな呼び方で呼ばれても聡太くんは関係なくリアクションをする。「ちびたん、ごはんだよ」と言えば喜ぶ。「ちびたん、お医者さんに診てもらおうね」とキャリーを出してくれば逃亡しようとする。
 かわいいものには変なあだ名をつけたくなる。かの漫画家にしてエッセイスト・ヤマザキマリだって、ベレンという名前の猫を「マミちゃん」と呼んでいたのだから、まあどっこいどっこいであろう。
 変な名前で呼ばれても律儀に喜ぶ猫はかわいい。

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