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ヘドロの創作 2024/4/7

 猫は「ねこねこネットワーク」により、人間のもとに派遣される。人間を調査し、「ねこねこネットワーク」に報告する。そして猫たちは、人間という生き物を知っていく。
 猫の記憶はみなすべて繋がっている。「ねこねこネットワーク」に共有された知識は、すべての猫に還元され、猫は人間より一枚上手の生き物になっていくのである。
 猫は外宇宙からの来訪者であることは以前述べた通りである。外宇宙は、発展しすぎた猫文明が、危険な物質に砂をかけただけで済ませたせいで滅びた。そこを脱出してきた猫たちは、知性や能力に劣るもののフリをして、人間の家というぬくぬくとしたところに住み着くことに成功したのである。

 問題の「ねこねこネットワーク」であるが、これは猫が外宇宙からこちらにやってきたとき、安全に人間と生活するために構築されたシステムであった。
 しかし「ねこねこネットワーク」は大雑把な生き物である猫が作ったものなのでさまざまな問題があり、まれに猫を虐待する人間のもとに派遣されてしまうことがある。
 しかし猫たちは自分の作ったそのシステムを信じており、それ以上に人間を信じているので、そうなってしまった場合はただただ怯えて過ごすしかできない。
 そしてそういう欠陥が発見されても、猫たちは「ねこねこネットワーク」のシステムを改修しない。それは猫が面倒くさがりだからである。
 しかし猫は猫に擬態して人間の元にいるとき、同じく異星からの来訪者である犬と結託して、「自分たちは非力で、虐待する人間に勝てないのです」「かわいい自分たちのために、法の制度を変えてください」と人間に訴えかけて、動物の虐待を防ぐ法律を作らせた。それで100パーセント虐待を防げるわけではないが、虐待は減ったのだと思われる。

 猫は強い意志を持って外宇宙からこの世界にやってきた。人間の家で暮らすようになったのはたまたま気が合ったからだが、その強い意志を手放す気はない。
 猫たちは人間との生活を気に入っている。それもまた強い意志である。そして、強い意志をもって、「ねこねこネットワーク」を運営し、猫をしかるべき場所に、しかるべき飼い主のもとに派遣している。
 猫たちの作った「ねこねこネットワーク」は、不完全ながら回り続けている。いまも、どこかで人間が、親に見捨てられた(ように見える)子猫や、保護猫の譲渡会で寂しい顔をしている(ように見える)猫を引き取っている。
 それらはすべて、猫の思惑通りなのである。

「なにか?」


 ◇◇◇◇

【おまけ】

 きのう、叔父上がダンダダンと怪獣8号の新刊を貸してくれた。仕事帰りに我が家に寄ってマンガを渡しに来たのだが、玄関チャイムが鳴った瞬間聡太くんは玄関に飛び出していった。
 そしてガラス戸に手をかけて「フーッ!!!! フーッ!!!!」と大激怒した。怒るくらいなら行かなきゃいいのに……。
 貸してもらいっぱなしでは申し訳ないので、わたしからは「じょっぱれアオモリの星」のコミカライズ版を貸し出したのだが、聡太くんが大激怒して抱っこされた状態でも「フーッ!!!!」と怒り狂っていたのですぐ戸を閉めねばならず、「これどんな本?」と聞かれて「なろう系の青森!」としか答えられなかったのが大変悔やまれるのであった。

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