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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん及びヘドロ飼い主 2022/8/21

 きょうも聡太くんは「たのしいプロレスごっこ」をやめてくれる気配がない。おもちゃを見せればいったんやめるものの取り上げるとまた人間を凶器攻撃してくる。
 そして暴れ疲れるとパッタリと寝る。変なポーズで、白目で寝る。かわいい。
 聡太くんに運動神経で勝てる人間は我が家にはいない。まあ猫に運動神経で勝とうというのがそもそも間違っているのだが、とにかく聡太くんは我が家の王様である。ただし父氏はそれなりに尊敬しているらしい。
 聡太くんが寝ている隙に爪を切ろうとしたら、1本か2本くらいぱちぱちしたところでむくっと起きてきた。そして思いっきり噛んできた。なんだお前は。眠いなら寝ていてくれ。

ばんじゃ〜い。


 チョッキンに向けた攻防だが、どうやら片玉収まっているようだというのはなんとなく分かった。
 まだ両玉揃って収まっているわけではなさそうなので、チョッキンはまだまだ先なのかもしれない。聡太くんは恐らく大器晩成型の巨大猫なのだろう。
 毎日、縦に伸びたり横に太ったりして、ちょっとずつゆっくりでっかくなっている。このまま巨大化してなんの生き物か分からないサイズになってほしい。
 というのも絵の先生のところの長老猫は、巨大すぎて「なんの生き物ですか?」とよく言われるらしいのだ。それくらいでっかくなってくれたら嬉しい。先代猫たまちゃんはとても小柄な猫だったので、もっとパワフルででっかい猫になってほしいのだ。
 もうすでに聡太くんはたまちゃんを体格で凌いでいる。でっかくなれでっかくなれ、と、カムカムエヴリバディのあんこのおまじないみたいなことを考えている。

「こうふん!! ねっきょう!! すごいおもちゃ!!」


 で。
 わたしはいままで、家族に依存しっぱなしの暮らしをしてきた。というか家族に依存しないと生きていけない。障害年金では一人暮らしはできないので当然実家暮らしだし、いわゆるところの「子供部屋おばさん」なのだ。
 この現状は変えねばならない。
 そこで家族に提案したのが、「聡太くんのチョッキンに関係する手続きをぜんぶ自分でやる」という、よその人が見たら「いやそりゃ当たり前でしょうよ」というようなことだった。
 わたしはいままで、フェイスブックを見ていて同級生がクレカを使った話や、ニュースを見ていて自分より若い人が幼児虐待で捕まっていることにビックリする、子供としか言いようのない認識で暮らしていた。
 そう、わたしの歳であればクレカを使うことも子供を産み育てることも当たり前なのだ。それをいちいち驚いていてはなんにもならない。
 クレカはなくても不便ではないし、結婚しないつもりで聡太くんと暮らしているから先ほど挙げたビックリの例はともかくとして、聡太くんのことくらい自分ひとりの力でこなしてやりたいと思うのだ。
 ただ、わたしは一生エンジンのついた乗り物を運転することはないだろうと思われるので、誰かに運転手をしてもらわないとチョッキンする獣医さんに行くことはできない。それが悔しい。
 本来なら人生のいちばんキラキラした時代だったろう10代後半から20代前半をぶっ壊し、自由な移動手段を奪った統合失調症には怒りしかない。もし統合失調症を患わなかったらちゃんと高校を卒業してしかるべき職についていたはずなのだ。それを完璧にぶっ壊されて、わたしはヘドロのような、あるいは石の裏の虫みたいな人生を送ってきた。
 それでも、自分が大人であることを証明したい。だから聡太くんのチョッキンをきっかけに、大人として責任を負うことに慣れたい。
 一人で遠くまで旅行したこともない。高校生のころには新撰組オタクの友達が一人で函館まで旅行に行っていた。それくらいのことをしたい。もちろんコロナが収まって聡太くんが大きくなってからだが。
 なにか、一人で成し遂げてみたいのだ。成長と自己実現である。
 できるかどうかは分からない、しかしきっとできるはずだしできなければ困る。自分が大人であるということを、今ひとつ信じられない現状を打破したいのである。
 とりあえず自分の名前をきれいな字で書けるようになりたい。わたしは字が死ぬほどヘタクソなのだ。

 聡太くんはご機嫌さんで寝ている。聡太くんを幸せにするための挑戦は続く。

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