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きょうの聡太くん 2023/11/30

 聡太くんは人間大好きくんであるとともに、人間は自分の思う通りに動くものであるとも思っている。
 なので、普段は自分で勝手に開け閉めしているドアを、人間が開けてくれそうなときは、哀れっぽく「にゃーん……」と鳴いて開けてもらっている。
 人間がドアを開けてくれるのかそうでないのかをよくわかっている。子猫のときは開けられなくてジタバタしていたドアを、らくらくと開けられるようになったものの、やっぱりちょっと面倒なようだ。
 子猫のころは毎日ひとつずつできる悪さが増えて呆れたものだった。いまはすっかり大人になって、たいていの引き戸は開けることができる。ふすまだって開けてしまう。
 人間は自分に危害を加えない生き物だと思っているのは、言ってしまえばつけ上がっている、ということかもしれない。しかし人間には聡太くんに反撃する手段が何ひとつないのだ。だから聡太くんはどんどん増長している気がする。

「ぷろれす、たのしー!!」


 きのう、布団乾燥機がまだ動いているので、仕方なく茶の間で9時を過ぎるのを待っていたら、唐突にプロレスごっこが始まってしまった。
 これもまた「にんげんはぼくにはんげきしない」と思っているから発生する。ひたすら手をガリガリガジガジ噛まれる激痛のやつだ。
 気がついたら思いっきりわたしの手首から流血していた。もはや「ごっこ」の域を超えた凶器攻撃である。
 布団が温まったところで聡太くんを茶の間に入れてわたしも寝室に向かったのだが、どうしてこうも聡太くんは暴力猫なのだろう。これでは猫ヤクザだ。
 そういえばきのうは絵画教室だったわけだが、いままで2作品子猫時代を描いて、大人猫になったあとの聡太くんの写真を持っていったところ、「ワイルドな顔だねー!」と先生に感心されてしまった。頭の中を袖なしGジャンを着た人がよぎっていった。ワイルドである。
 思うに聡太くんは子猫のころきょうだい猫とプロレスごっこをして遊ばなかったのではなかろうか。きょうだいにかじられていたら「かじられたらいたい」と分かるはずだ。
 聡太くんの噛み癖は諦めるしかないかもしれない。

お昼寝に付き合ってくれたときのやつ。


 きのうは夕方くらいからかなり激しく雪が降った。夜もなんだかほの明るくて、起きてみたら見事な銀世界であった。
 聡太くんは屋根から落ちる雪を楽しそうに見ていて、どうやら白いふわふわが落ちてくるのは狩猟本能が駆り立てられることらしい。
 聡太くんが脱走したら「ちべてっ」と戻ってくるのか、はたまた「わーいゆきだー!」となるのか、そこはわからないが猫はストーブにあたってぬくぬくしているのが一番いいのではなかろうか。
 これから冬がくるなあ……と思う。まだ根雪にはならないだろうがきょうはたぶん一日雪が降るのだと思う。
 雪をきれいだなあと思う心がないわけではないのだが、あまりドカドカ降られると「よせよ」となる。でも聡太くんが楽しそうなのでよしとしてもいいかもしれない、と思う。
 明日から12月だ。1年が一瞬すぎてビックリする。でもどんなに早く時間が進んでも、「鎌倉殿の13人」の壇ノ浦回、2022年5月8日に聡太くんが我が家に来たことは忘れない気がする。

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