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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2023/8/29

 きのう書いたとおり、きのうは午後からピアノの調律師さんが来た。この調律師さんというのが動物大好きというか動物タラシのひとで、たまちゃんはお見送りをするくらいこのひとを気に入っていた。
 もちろんピンポーンと玄関チャイムが鳴った瞬間、聡太くんは「だれかな?!」と飛び出そうとしたわけだが、よく知らないおじさんが来たのを見てめずらしくビビっていて、テーブルの下に隠れてしまった。初手から早逃げだ。調律師さんは「どうしたー?」と聡太くんにチョッカイをかけてから作業に取り掛かった。
 わたしは邪魔になるといけないので見ていなかったのだが、しかし聡太くんはそのあと恐る恐る調律器具の匂いを嗅ぎにいったらしい。なんだかんだ気になるのだろう。聡太くんが調律師さんの邪魔をしないか心配したのだが、調律をしている間はお利口さんにしていたらしい。
 終わったあとお茶を飲みながら、よそだと調律そっちのけで遊びたがるワンちゃんがいるのだ、と調律師さんは言っていた。しかもそのワンちゃんは帰ろうとすると「かえるな! もっとあそんでください!」と騒ぐのだとか。
 たいていの猫は、知らない人が来てピアノを鳴らすのにビックリして逃げ出すのだそうだ。聡太くんは調律が終わってから恐る恐る調律師さんに近づいていき、調律師さんが「ほれほれ」と伸ばした手に猫パンチをしていた。
 やはり聡太くんも大人になって思慮分別というものを身につけたのだ、とそのときは思った。

あざとポーズ。


 そのあと、母氏が伯母(父氏の兄の妻)に電話をかけた。伯母はピアノと歌の先生である。いまは家のリフォームをしていて、家にある立派なグランドピアノは楽器店に預かってもらっているそうだ。母氏が「調律したので弾きにきませんか」と連絡したらマジで来た。楽譜をいっぱい持って、である。
 伯母は楽しそうに、このピアノからこんなでっかい音出るの?! というプロの音量でピアノを弾いた。ミスタッチしても無視してガシガシ弾く。なるほど音楽は間違っても止めちゃいけないのだ。
 聡太くんは伯母のカバンによじ登ったり匂いをかいだりして、しっかり見るのは初めてである伯母をいたく気に入ったようだった。鼻をちょんと腕につけて、猫をよく知らない伯母は「なめられた!」とビックリしていたので、それは鼻をつけただけです、と言っておいた。
 聡太くんは伯母をたいそう気に入ったようだが、この伯母というひとは動物がそんなに得意でない。伯父も、その子供たち(つまりわたしのいとこたち)も、あまり動物が好きではない。なんで動物という素晴らしいものが苦手なのか理解に苦しむわけだが、まあそういう人もいるのだろう。
 伯母はでっかい声で楽しそうにずっと一人で喋っている人だ。とにかく明るいのだ。伯母は連弾の楽譜を「これ課題曲ね」と母氏に渡して帰っていったのだった。
 聡太くんは自分を好きな人にビビり苦手な人に懐くあまのじゃくだ。それを鑑みるに、どううやら思慮分別を身につけたわけではなかったようだ。

「うふふ、べつじんみたいにでっかくなりました」


 伯母がでっかい音でピアノを鳴らすので、聡太くんは目をまん丸にして、「あのくろいはこ、こんなでっかいおとでるの?」という顔をしていた。
 このピアノは母氏が子供のころダダをこねて買ってもらったものだそうだ。最初我が家に来たときはわたしの部屋になった部屋の本棚の前にドスンと置かれていたのだが、家をリフォームしたときに茶の間の隣の部屋に移動した。
 なんせ古いのでタケモトピアノに売ってもお金にならない、と母氏はよく言っているし、母氏は実際に弾くのでずっとあったほうがいいものなのかもしれない。
 なおわたしは小学生のときにピアノを少し習ったが練習しないのでさっぱり上手くならないまま飽きてしまった。
 聡太くんはきのう、部屋が広くて嬉しくて走りまわり、知らない人が2連発で来て、とても興奮したようだった。それで疲れたらしく、夜にはぐっすり眠っていたし、きょうもさっきまで自分の布団で眠っていた。眠気の刃無限睡眠編である。
 わたしもきのうは異様に疲れて、具合を悪くする寸前で頓服を飲んでなんとか助かった。夜9時半くらいには眠くなって寝てしまった。起きたら6時半を過ぎていて「やべえ!」となった。どれだけ眠れば気が済むのか。

 きょうはとてもいい天気だ。太陽ギラギラの猛暑日予報である。洗濯もすぐ乾くだろう。聡太くんもさすがに今日は暑いようでエアコンの効いた茶の間にいる。
 引き戸の戸車がなにかに引っかかって開きづらくなり、聡太くんは戸の向こうで哀れっぽく鳴く、という技術を習得した。困ったやつだ。

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