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きょうの聡太くん 2023/7/27

 きのうの昼、流水麺のうどんをすすったあと、しばしぐうたらして、ちょっと台所に向かったら、聡太くんはゴキブリと戦っていた。
 慌てて聡太くんを抱き上げて、しかし手が塞がっているのでゴキブリを倒すことができず、母氏を呼んで助けてもらった。ゴキブリは無事倒した。
 なんでゴキブリなんかと戦うのだろう。汚いではないか。まあ猫にはゴキブリが汚いということはわかるまい。動いていたからパンチしてみた、くらいの感じなのだと思う。
 聡太くんは血の気の多い猫なんだなあ、と思う。見ていればいつもなにかしらの虫と戦っている。最近あまり茶の間の窓を開けずにエアコンを回しているので、茶の間で虫を追いかけることはなかなかないが、それでもゴキブリは家の中から沸いてくるので防ぎようがない。
 その話を絵画教室の先生に言ったところ、「ゴキブリってやっつけた瞬間卵産んだりするから気持ち悪いよね」と言われた。ますます気持ち悪くなってしまったではないか。

「にんげん……なぜでかける……」


 というわけできのうは絵画教室に行ってきた。暴れん坊の新入りの白黒猫くんはチョッキンを施されたがぜんぜん大人しくならないそうだ。
 白黒猫くんはとにかくタマタマが巨大だったのだが、先生が獣医さんにチョッキンの済んだ白黒猫くんを迎えに行ったところ、獣医さんが「摘出したタマタマ見ます?」と言ってきたらしい。どれだけ巨大だったのだろう。先生は見ないで帰ったそうだ。もったいない。
 先生は市内でいちばん設備の整っている、行った感想が「とても丁寧だった」か「やたら金とられた」になる動物病院に行ったそうなのだが、チョッキンの費用はもろもろの検査込みで3万円だったそうだ。であれば聡太くんをチョッキンした、ヤブという噂を聞く動物病院とあまり変わらない。もうあのヤブという噂の動物病院にはいかないでおこうと思った。
 お留守番の聡太くんが暑かろうとエアコンを入れていったのだが、帰ってきたら聡太くんは玄関でぼーっと転がっていた。よその猫を吸うと鼻がズビズビになるので聡太くんを吸おうとしたら顔を蹴られた。解せない。

スヤ……。


 きのうの夜、突然聡太くんが猛獣になって腕に襲いかかってきた。爪やら牙やらで攻撃されて、腕にザックリと大きな切り傷をつけられてしまった。
 幸い血がにじむ程度だったのだが、キップパイロールを塗っても血がにじむので、茶たんすの頭痛薬とか爪切りとか体温計の入っているところを漁ってガーゼとテープを出して傷を覆った。こんな大きな傷をつくられるのは初めてだ。
 なのでいまわたしはまるで怪我人みたいに腕にガーゼを貼り付けている。いや事実結構な怪我だったのだが。
 飼い主を怪我させたあと、聡太くんは「あのー、おやつはまだですか?」と、おめめキラキラでわたしを見ていた。しょうがないので茹でササミをレンチンして割いて、手から食べさせた。大喜びで食べていた。
 聡太くんは人間が大好きだし人間によくなついた猫なのだが、ときどき凶暴な野生の顔を見せる。動くものには襲い掛かろうという強い攻撃性もある。
 要するに引っかかれる飼い主がマヌケなのである。我が家は家族全員運動音痴なのだが、父氏と母氏はスポーツ観戦が趣味だ。それくらいの運動への関心はある。
 対するわたしはスポーツというものにまるで関心がない。そりゃ金足農業が甲子園の決勝に出ただとかWBCだとかは楽しく観たのだが、正直プロ野球とかサッカーとかに関心がない。それくらいの運動音痴である。運動会の前の日は「学校が燃えますように」と祈る子供だった。
 どうもその「極度の運動音痴」が聡太くんにガリガリされる理由のような気がする。動きがとろいから痛い目に遭うのである。
 とりあえずガーゼを剥がさないことにはシャワーも浴びられないわけだが、ぜったいしみると思う。ガリガリされるとあとあとまで痛いし痕が残る。もうちょっと機敏に生きようと思う。
 なお聡太くんは全く悪くない。全て飼い主がマヌケだっただけの話だ。

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