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きょうの聡太くん 2024/3/19

 きのう、聡太くんは自力でエリカラを外してしまった。現場を見ていたわけではないのでなんとも言えないのだが、どうやら\スッポン/と外してしまったらしいのである。
 父氏が茶の間で無限に野球観るマンになっていて、聡太くんと母氏は2階にいるようだったので2階に行ってみたら、エリカラを見事に外した聡太くんがいた。あれ? となって母氏に話が聞いたら聡太くんの軟体ぶりが明らかになった、という次第だ。
 母氏は戸棚の古い書類や本や写真などを片付けていた。どうやら突如片付ける気が起きたらしい。聡太くんはその様子を「にんげんはいろいろやらなきゃいけないことがあってたいへんだねー」と言わんばかりのまったりモードで眺めていた。
 ちょうどわたしが行ったところで片付けが終わったようで、1階の茶の間に戻るよと言ったら聡太くんはスタタタターとついてきた。フリーダムである。
 そもそもエリカラをつけていない聡太くんというのはフリーダムな生き物なのだ。元気いっぱい暴れ回り、わたしの手をガリガリ噛み、高いところに登り、ボールを投げ返す。自由極まりない。錆喰いビスコで言うところの「自由の獣」というやつだ。
 そして今朝聡太くんは人間に薬とエリカラをつけられるのを嫌がり、ケージの中に隠れてしまった。ボールをホイと投げてやっても「ふーん……」という顔で無視された。どうやって出したものか、と思っていたら、「ふーん……」とやったくせになんだかんだボールが気になったらしく、不意打ちでシュババと飛び出したので、そこを捕まえて薬を塗りエリカラをつけたのだった。
 聡太くんはまだ自分が小さいと思っている。母氏にべたっと甘えているところを見るとマジで自分は子猫だと思っているんじゃないか、と思う。
 甘えん坊将軍だ。飼い猫は心が子猫のまま、というのはどうやらマジの話らしい。いまは高校野球を観ている父氏の膝にいる。父氏の膝は逆パカしないだろうか。
 聡太くんが我が家にやってきていちばんに甘えに行ったのが父氏だ。男の友情というやつなのだろうか。

中トロに埋もれる夢を見ている。


 母氏が戸棚を整理していたら古い写真がいろいろ出てきた。わたしが小学生のころの写真が主だ。祖母や曽祖母、いまはどこにいるのかすら知らない同級生、と懐かしい写真がドンドコ出てきた。
 そのなかでいちばん涙腺に来たのが、小学生のころ飼っていた白い犬「ラム」の写真だ。ラムネ、というのがフルネームなのだが家族のだれもそう呼ばないのでいつのまにかラムになっていた、というのも思い出深い犬である。
 わたしが小学生のころはスマホなどなかった。携帯電話にカメラがついたかつかないか、というころだ。だからラムの写真はとても少ない。もっとたくさん写真を撮ればよかったなあ、と思ってしまう。
 ラムは外飼いの犬だった。冬は寒かったろうし、夏は蚊に刺されてかゆかったろう。そんな環境でも人間が好きだったし、なによりドライブが大好きで車のエンジンがかかると「あたしものせて!!!!」と絶叫する犬だった。
 ドライブ大好きが祟って、親戚の家に行くのに乗せて行ったところ親戚の家に仕掛けてあった殺鼠剤を食べて死んでしまったというかなしい思い出もあるのだが、ラムと過ごした小学生時代は幸せだったなあと今でも思う。
 今の時代はスマホでカシャカシャ写真を撮る。だから聡太くんや晩年のたまちゃんの写真はいっぱいある。カメラ屋さんにフィルムを持っていかなくても見たまま撮ることができる。なんていい時代なんだろう。たくさん思い出をこしらえていこうと思う。

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