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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2024/4/6

 きのう、うっかり聡太くんのボールを踏んづけてしまった。鈴の入ったプラスチックのボールに虎模様の布が貼ってあるやつだ。踏んで慌てて拾って確かめたが壊れてはいなかった。そして踏んだら自分がすごく痛かった。
 なんというか小さいお子さんが遊ぶレゴブロックは踏むと痛いというが、まさにそれじゃん……と思った。レゴブロックは頑丈で反発性があるから、踏むと体重が足の裏に跳ね返ってきて痛いのだという。聡太くんのボールも、投げるとある程度弾むので、そりゃあ踏むと痛いわけである。
 聡太くんはすぐボールをなくしてしまう。「どこにやったの?」と半ばキレながら聞いても猫なので教えてはくれない。勝手に見つけて勝手に持ち運び勝手に家具の隙間に押し込む。それが猫の正義であると言わんばかりだ。
 猫という生き物はみなウルトラ・カシコイ・ネコチャンなので、なにか宇宙と交信した結果こうやってボールが行方不明になっているのかもしれない。

 最近ずいぶん暖かくなった。もう冬じゃないんだなあ、と、庭に茂っている草花を見て思う。
 玄関が寒くないので聡太くんは人間が出かけるとき見送りにくる。去年あたりは少々寒くても見送りにきて、玄関を施錠すると「うううー」と鳴いて見送りの挨拶までしていたが、最近はどうも省エネでやっているような気がしてならない。
 帰ってきても同じ場所にいるのは、そこでずっと待っていたのか、はたまた「あ、そろそろかえってくるぞ」と出ていったのか。謎は深まるばかりである。でも待っていてくれたと思うとちょっと嬉しいのでその説を採用しようと思う。
 というか、人間が帰ってきたら隙をついて脱走してやろうと思っているのではなかろうか。玄関のドアに体をすり寄せて、開けたら出てやろうと画策しているように見える。ただ買い物袋で押し戻されるので、風除室に飛び出したことはいままでほとんどない。
 いまだに玄関には「ネコが逃げますので風除室のドアを閉めてください」の張り紙がしてある。聡太くんが脱走したら冒険の旅に出かけて戻ってこないかもしれない、と思うからだ。脱走だけはやめてほしい。

お口開いてるよ。


 去年のいまごろは、買い物から帰ってくると、仮に聡太くんが茶の間で寝ていても跳ね起きて廊下のドアのむこうで「おかえりー!!!!」と大絶叫するのがいつものパターンだった。
 だが最近ではすっかり省エネになってしまい、廊下のドアの向こうに聡太くんがいる場合は、家の中で手洗いや買い物の整頓をしているところに「あれ? かえってきたの?」と様子を見にくるのがせいぜいだ。とても寂しい。
 まあチョッキンすると運動量は落ちる、と動物病院の壁に貼られたポスターに書いてあった。仕方がないことだ。聡太くんも年相応の落ち着きを身につけたのだろう。
 でも聡太くんは人間が大好きだ。だから若いころは全力でお出迎えしていた。いまは全力で出迎えることこそないものの、それでも人間が揃っていると嬉しそうな顔をなさる。
 思えばたまちゃんは人間が帰ってくるのを廊下にうずくまって待っているヒトだった。猫というのはいちど人間を好きになるとずっと待っていてくれるのだなあと思う。
 人間が苦手な猫もたくさんいるだろう。触ろうとすると「シャー!」と怒る猫だっている。それでもキャットフードをおいしいおいしいと食べるということは、人間が悪いことをするとは思っていないということだとわたしは思う。
 猫、この素朴な生き物よ。

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