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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2024/3/21

 聡太くんの目はとてもきれいだ。淡い黄色と緑色のグラデーションになっている。というかたいていの猫の瞳は宝石のようできれいだ。
 たまちゃんは拾ってきたとき、目やにでまぶたがくっついていて、「目が見えるようになるかは保証できないよ」といつもの獣医さんに言われた子で、見えるようにはなったが目薬を断固拒否した結果片目が濁ったまま一生を過ごした。それでも濁っていないほうの目はキラキラと金色に輝いていた。
 聡太くんは人間の家で生まれ育ったので、目はずっとぱっちりなのだが、最近面白いことに気づいた。
 夜、聡太くんに「ちゅーる食べるか?」とか「おやつ食べるか?」とか、そうやって声をかけると、瞳孔がぐーっと開くのだ。ロックオンしたということなのだろうか。「いまちゅーるっていいましたよね!?」という感じである。
 よほどちゅーるやササミはおいしいのだろう。目の輝きが違うというのはこういうことを言うのである。

 きのうはメジャーリーグの中継が地上波であったので、父氏が遅くまでお酒を飲んで、なんだかんだ人間はみな9時過ぎまで起きていた。
 なので聡太くんもなんとなくいつものナイトルーティーンを遊ぶ気持ちでなかったようで、ボールを投げてやってもあまり反応せず、わたしが勝手に心配になって「そうちゃんボールだよ!」としつこくボールを投げてやることになった。
 聡太くんは音の出るボールが好きだ。最初、音のしないボールを投げても反応しなかったので、なんとか音の出るボールを見つけて投げてやると、ちょっと面倒そうに少しだけ遊んでくれた。廊下に投げたらそれを口にくわえて茶の間に入っていったので、それでよしということなんだろうな、と戸を閉めて寝た。
 猫はルーティーンで生きていきたい生き物なのだということはよく知っている。だから金ローなんぞを観て深夜まで起きていると「もう、ねろ!」と言わんばかりに手をガリガリ噛まれるし、いつも決まった時間に「あの、おなかがすいたんですけど」という顔をする。
 だから本当ならいつもの時間にいつものルーティーンで遊びたかったのだろうし、人間がいつまでも起きているのはなんとなく嫌だったに違いない。

太陽の塔。なんだこれは!


 聡太くんが堂々と父氏の椅子を占領している。父氏はいま高校野球無限に観るマンになっているので、本当は自分の椅子に座って高校野球を観戦したいのだが、なぜか聡太くんに遠慮してソファに座っていた。さすがに横になるわけにいかなかったらしく、変な座り方をしていたのだが大丈夫だったのだろうか。
 父氏の椅子はわたしが生まれる前から我が家にある古い椅子で、クッションが弱ってきているので座布団を置いて使っているのだが、その座布団がなかなかいい仕事をする。オットマンを椅子にくっつけて座布団を持ち上げると、聡太くんは「しょうがないなあ」と椅子からどいてくれるのだ。
 父氏はよくそうやって椅子から聡太くんをどかしているのだが、何度もやるのは申し訳ないと思うらしく、時々途方に暮れた声で「そうくん……」と言っている。そりゃ途方に暮れるだろうなと思う。
 猫好きの知り合い曰く、父氏の椅子は「猫がぜったい好きな凹み方」だそうで、たまちゃんも若いころはよくすぽっと収まっていた。なぜかたまちゃんは歳をとってからオットマンで寝ていることが多かったが、まあ猫なりになにか考えていたのだろう。
 聡太くんは100パーセント飼い猫なので、人間に遠慮しないのだ。そういう図々しいところがなんとも猫らしくていいと思う。

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