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きょうの聡太くん 2023/12/26

 きのうの人間の夕飯はジャガイモのチーズ焼きであった。ジャガイモとチーズだけでなく卵も入っている。人間がそれをつついていると、聡太くんは台所に行ってなにやら静かにしていた。
 静かにしているときがいちばん悪いことをしているときである。もしや、と台所の様子を伺うと、聡太くんはジャガイモのチーズ焼きを作ったフライパンを一心不乱になめていた。卵が入っているのでそれもあってなめていたらしい。
 最近人間の食べ物の味を覚えはじめた。猫にとって、人間の食べ物はさぞかしおいしく感じることだろう。この食いしん坊め。
 まあ人間の食べ物の味を覚えたといっても、去年のアジフライ事件のようにたくさん食べているわけではないし、とりあえずお腹を壊している様子もない。でもしょっぱいからあんまり食べちゃだめだよ、と思う。
 しかしこれではちゅーるをやめた意味がないではないか。ちゅーるは塩分が強そうだからやめたのだ。わたしがちゅーるをなめてみたらサラダにかけたい味だったのである。なのでどうか鶏のササミで我慢していただきたい。

人間は尻がしびれている。


 このあいだ親戚から花をもらった。持て余した仏花である。けっこう立派な、大きなユリなどが使われたものだ。
 そういうものをもらうと飾る場所に困る。家のなかにふつうに飾ると聡太くんが危ない。なので少し玄関の風除室に飾り、残りは風呂場に飾ることになった。
 聡太くんは花をいじっているのに激しく興味を示し、風呂場に入ろうと頑張った。しかし風呂場に入るとあんよがビチョビチョになってしまう。抱っこして止めたのであった。
 たまちゃんは風呂上がりに様子を見にくる子だったが、聡太くんはもっとアグレッシブに、お湯を入れている風呂場の様子を見にくる。風呂の蓋の上に乗ったりもする。いつかドボンするのではと不安で仕方がない。
 世の中にはお風呂が大好きな猫というのも存在するらしいが、聡太くんはたぶんお風呂を断固拒否するだろう。
 子猫のときはよく風呂上がりに「なにやってんの?」と来たものだが最近めっきりやらなくなった。きのう母氏がセルフで白髪染めしているのをドア越しに「なにやってんのかな」と見ていたが、結局突撃はしなかったように思う。

「にんげん……てれびじゃなくぼくをみなさい」


 聡太くんに「しりょふんべつ」というものが育ちはじめた。きのう叔父上が漫画を貸してくれることになり我が家に寄っていった(そして叔父上の貸してくれる漫画はどれも面白い)のだが、聡太くんは玄関チャイムが鳴って「わーい!」と廊下まで出たものの、廊下のドアを開けて叔父上がそこにいるのに気づいた瞬間しっぽをタヌキにして逃げ出した。これを思慮分別と言わずしてなんというのか。
 人間大好きくんの聡太くんも可愛かったが、猫らしく家族でないひとを怖がるのもまた可愛い。というか好奇心100パーセントで行動されるとこちらのメンタルが持たない。
 知らない人は怖い、でいいのだ。知っている人になったらそれはそれでいいし、知っているけど怖い人というのもいていいのだと思う。
 大昔に飼っていた犬は、近所の犬好きのおじさんからジャーキーをもらいたくて、でも犬好きのおじさんがすごいコワモテだったので、散歩に行くたび怯えながらジャーキーをもらっていた。ジャーキーは食べたい、しかしおじさんは怖い、という感じだ。
 叔父上は正月に来る。おそらく私のいとこの青年1号と一緒に来る。聡太くんは去年も叔父上や青年1号と顔を合わせているのだがどういう反応をするだろうか。いまから楽しみだ。

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