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きょうの聡太くんとヘドロ飼い主 2023/6/2

 聡太くんの名前の元ネタである藤井聡太先生が最年少名人、最年少七冠というとんでもない記録を作った。すげえなあと思う。だって20歳だよ、わたし20歳のころボーっと寝て過ごしてたよ……。
 それを知ってか知らずか、名前を拝借した聡太くんはきのうちょうど最年少名人誕生のニュースのころ、わたしの腕に爪を立ててド派手な切り傷をこさえていた。お前は記録を作らんでもいいのだ。
 これで藤井聡太先生のデビュー戦からの29連勝記録のときのような将棋ブームがまた起こるかもしれない。なぜならわたしは確か羽生先生の七冠のときに任天堂の折りたたみ将棋盤と駒を買ってもらったからだ。
 まあわたしが子供のころは教えてくれる上手い人がいないのでただ駒を動かして遊ぶだけではあったのだが、羽生先生が七冠になったとき世の中はちょっとした将棋ブームになっていたのを記憶している。あの感じである。
 そういえば聡太くんを盤の上に載せてみたいと思いつつ、気がついたら巨大化してしまって、ちょっと将棋盤には乗らない感じになってしまった。きのうから聡太くんは「名人」と呼ばれている。
 さて、そういう世の中ならさぞヘドロも将棋を指したくなったろう……と思われる向きもあるかもしれないが、残念なことに指し将棋へのモチベーションはあんまり湧いていない。
 公民館の将棋道場は1月に行ったきりで、どうもいく気が起きない。最近喉や鼻の調子がおかしいのもあるし、将棋道場は日曜なので、将棋を指してくると大河を見ていて具合を悪くすることもある。
 どうも興奮すると具合を悪くするので、なるべく日曜は心穏やかに過ごしたいというのが本音だ。

「あがぁ〜」(続く)


 さて、我が家の無敵の名人であるが、世の中の盛り上がりより食事と睡眠が重要らしい。
 なんでお昼寝をしているときは大人しくしているのにご飯が絡むと途端に凶暴化するのだろう。ケージに入れようとすると激しく暴れて、手や腕をこれでもかこれでもかと噛んだり引っかいたりキックしたりしてくる。それ以外のときはだいたい寝ている。とてもよく寝る生き物である。
 フェイスブックの謎の機能である動画を観ていたら、寝ぼけている猫の爪を切る動画があって、世のお猫様はこんなに簡単に爪を切らせてくれるのか、と地味にびっくりした。聡太くんは寝ている隙に爪を切ろうとすると目を覚まして猛獣になってしまう。
 やっぱり洗濯ネット作戦しかなさそうだ。スマホのケーブルが予想外の値段でスカンピンになってしまったので、爪切りをお願いしに獣医さんに連れていく余裕はちょっとない。
 ケーブル代に消えた5000円があれば中古のゲームソフトが買えるんだよなあ……とクソデカため息をついている。

 世の中は藤井聡太先生で盛り上がっているわけだが、渡辺明先生のことももうちょっと取り上げたらいいのに、と思う。渡辺明先生だってすごいひとなのだから。
 わたしが将棋に興味を持ったのは、藤井聡太先生のデビュー戦で対戦相手の加藤一二三先生がカマンベールチーズをおやつに食べているのを見たのがきっかけである。「な、なんだこの人?!?!」となったのだ。
 テレビでそれを見て、もうすっかり忘れていた将棋を勉強してみようとスマホに初心者向けのアプリをインストールしたのだ。そこから将棋フォーカスを見たり公民館に行ったりするようになった。
 どうやらわたしは藤井聡太先生そのものより、彼に照らされてあぶり出される他の棋士のありかた、みたいなものが好きなようだ。
 だから木村一基先生が好きだし羽生先生が好きだし、豊島先生はよいライバルだなあ、と思う。
 そういう思いがありながら猫に「聡太」と名前をつけたのは、強くて賢い子に育ってほしかったからだ。結果無敵にはなったがあんまり賢くはない。まあそれは仕方がない、個性だ。

(承前)「けふ……」


 聡太くんは最近、ケージの中に置いている猫トイレを力ずくでズリズリと動かすのが好きである。危ないからやめてほしい。
 生き物なのだから意志というものがあり、それを妨害することはできないわけで、元気いっぱいでよろしいと思うほかないのだろう。
 わたしは「ペット」という言葉が好きではない。かわいいかわいいと撫でまわすことを「ペット」と言うわけで、聡太くんにせよたまちゃんにせよ、気高い意志があって撫でまわされるままにはならない。
 互いの意志を尊重し合って暮らしている存在を、家族というのではないだろうか。

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