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きょうの聡太くん 2023/11/20

 きのう、母氏が用事があって遅く帰ってきたので、夕飯は簡単にスーパーのお惣菜コーナーで買ってきた。父氏のぶんはニシンの焼き魚である。父氏はニシンが好きなのだ。
 聡太くんにニシンを盗られないように、人間が食べている間は聡太くんをキャットケージに入れて、お惣菜なのでかかっていたラップもちゃんと捨てたつもりだった。
 父氏が寝て(まあ実際のところはスマホで麻雀かなにかを観ているのだが)、大河ドラマがもうすぐ始まるな、という時間になって、なにやら聡太くんが静かに台所でなにかをくちゃくちゃしているのが聞こえた。
 慌てて飛んでいくと、どこからどうやってほじくり出したのか、ニシンにかかっていたラップを引きずり出してうまいうまいと噛んでいた。「お前〜!!!!」事案である。
 母氏が言うには人間の子供が静かにしているときも、だいたいなにか深刻な悪さをしているときらしい。そこはよくわからないのだが、なんでそんな食べていない猫みたいなことをするのか。

でっかい。


 大谷翔平の犬が話題である。ハイタッチをしたりして楽しそうにしているのは大変可愛らしく、大谷翔平も犬を可愛がっているのが伝わってくる。
 その、大谷翔平の犬というのが、コーイケルホンディエとかいうなにやら聞き馴染みのない犬種で、日本では100頭くらいしかいないらしく、そのわずかな数の犬を飼っているブリーダーさんのところに電話が殺到しているとXで見た。
 なんで日本人はこうも単純なのだろう。アイフルのチワワとか101匹わんちゃんのダルメシアンとか動物のお医者さんのハスキーとかとなんにも変わらない。テレビで見たとかアニメに出てきたとかそういう理由で、どういう性質の犬種なのか、その犬を飼うにはどういうコストがかかるのか、そういうことを考えないで欲しがるのだ。
 それならば保護犬を譲渡してもらって「翔平」と名前をつけたほうが早いではないか。わざわざ希少な犬種を飼う必要はないのである。
 それから聞くところによると大谷翔平の犬と同じ犬種の犬は先天的に病気をかかえているのだそうだ。安易に欲しがるひとたちは病気の犬を介護する覚悟はおありなのだろうか。

「どうも、はんさむくんです」


 命を弄んではいけない、ということを、深く心に刻まねばならない。
 わたしも、たまちゃんに死なれてあまりに寂しくて、責任の大きさをろくに考えずに聡太くんをもらってきたわけであるが、いまはその責任の大きさを見上げて「ほえー……」となっているし、いままで聡太くんにかかった大きなお金はなるべく家族に頼らず払ってきた。
 そこだけだと命を弄んでいるように見えるかもしれないが、わたしは現在進行形で責任を全うすべく格闘しているし、なにがなんでも責任を全うするのだ、と堅く誓っている。
 ときおり、というかしょっちゅう、経済的不安が頭を掠める。それでもなんとかすると決めたのだ。飼い始めたのだから手放してはいけない。そもそもこんな噛み癖のひどい猫、よそさまに譲ることなど考えられない。
 最近は責任を全うすることばかり考えている。できるかなあじゃない、やるのである。
 そのために病気を治すべく頑張っている。フルタイムで労働することを目指さなくてはいけない。
 聡太くんは家族なのだ。ぜったいに守らねばならない、わたしより弱い家族なのだ。

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