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きょうの聡太くんとヘドロ飼い主 2023/4/24

 きょうは美容院に行ってきた。わたしはやたらしゃべるタイプのコミュ障なので、美容師さんとは雑談したい派なのだが、どうにも静かな印象の美容師さんだったので、恐る恐る聡太くんのことを話したら、意外なほど食いついてきた。美容師さんは子供のころから犬やら猫やら鶏やらを飼っているところで育ったそうで、家のドアには猫ドアがついているらしい。大正解優勝である。
 どうも飼っている犬猫の話題というのは美容院の雑談のテッパンのような気がする。聡太くんがねこねこネットワークに派遣されてきた経緯なんぞを話すととてもウケてしまった。
 一方で髪をいじられながら、「聡太くんどうしてるかな……」と考えてしまって、長時間のお留守番は飼い主のメンタルによくないことがわかった。
 美容院はクソでっかいスーパーの中にあるのだが、ついでに同じ建物の百均でドアにつける鍵を買ってきた。なんのことはない赤ちゃんがドアを勝手に開けてイタズラしないようにするやつだ。聡太くんが勝手に開けていくドアの鍵のとっかかり部分を、うっかり勢いよくドアを開けた時にへし折ってしまったのである。
 店の中の時計を見るともう昼前になっていた。昔よくきたサーティワンアイスクリームのテナントがなくなっているのを切なく眺めながらクソでっかいスーパーを出た。
 家に帰ってくると聡太くんはまっすぐ出迎えにきた。キャットフードを与えたらうまいうまいと食べた。人間がおいしいパンを食べているときは、こぼしたパンくずを虎視眈々と狙っていた。平常運転である。

「ようけんをきかせてもらおう」


 猫にもレム睡眠とノンレム睡眠があるのだろうか。
 きのう人間が大河ドラマを観ていたとき、聡太くんはすでにおやつを食べたのもあって大人しく寝ていた。しかし、お腹がすうすうと上下している。本当に熟睡しているときはあまり動かないはずだ。母氏によると布団のなかで熟睡しているときは「い、生きてるか?」となるくらい静かなのだそうだ。
 おそらく人間が大河ドラマを観ている間は、レム睡眠だったのではないだろうか。きっとおいしいものの夢とか子猫のころの夢とかを観ていたのだ。そして人間が「大河観たしもう寝るかぁー」と動きだした途端、むくっと起きて運動会を始めた。
 元気があってたいへんよろしいと思う。でも夜はちゃんと寝ようね、とも思う。

しっぽくるん。


 しかし聡太くんに留守番させるのは可哀想だなあ、としみじみ思った。
 絵本「ねこはるすばん」の世界のように、人間がいない間だけ猫が遊びにいける世界があったらいいのになあ、と思う。そこで聡太くんは映画を観たり釣り堀に行ったり回らない寿司を食べたりするのである。なんなら人間のおでかけより楽しそうですらある。
 スマート首輪をつけるとか見守りカメラを設置するとかすればいいのだろうか。スマート首輪を断固拒否されたら一万円ほどぶっ飛ぶことになってしまうし、見守りカメラも死角に入られたら観ることができない。
 でも人間は定期的に美容院に行かねばならない。そして物価高で料金が上がっていてどっひぇーとなった。そういうわけでついでにクソでっかいスーパーの外売り場で花の苗を見ようという作戦は達成できなかったのだった。
 花の苗を見ていたらもっと帰宅が遅れて聡太くん腹ペコ激怒の可能性もあったので、とりあえず寄り道しないで帰ってよかった。聡太くんは人間が大好きだ。聡太くんを裏切ってはいけない。

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