白髪のキモチ
「〜〜さんさー、もっとちゃんと仕事してくれない?」
「はい……すいません……できるだけやっているんですが……」
「君のできると、普通のできるがズレてんの!ホントにちょっと勘弁してもらいたいかな」
「……はい」
僕はもうすぐ定年の窓際族だ。
あとから入社した上司に、言葉のムチでケツを叩かれている。
僕も、こんなふうになりたかったわけじゃない。若いころは誰よりも業績を伸ばすためにバリバリ働いて、会社に貢献してきた。
この会社に40年来尽くしてきたけど、そろそろ潮時なのかもしれない。
さっき偉そうに話しかけてきた上司も、むかしは「〜〜さん!どうしたら〜〜さんみたいになれますか?」って、雨上がりの蒸せ返るような匂いがする赤提灯でキラキラした眼差しを俺に向けてきたっけ
もちろん、上司としての資質がなかった俺が一番悪い。だけど……だけど、君にそこまで偉そうにされるほど、俺は落ちぶれちゃいないと思う。
いつかわかると思うけど、今の君は過去の俺なんだ。“老兵は死なず去り行くのみ”。きっといつか、いつか君も後悔すると思う。それだけは忘れないでいてほしい。
黒髪のとなりにいる白髪のキモチ
ライター・フリーランスは孤独です。私は1人で悩んでいる人のためにnoteで情報発信しています。サポートいただけたけた収入は、更なる有益情報を発信するための原資とします。賛同していただけたらうれしいです。