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【フルーツのおはなし】樹熟(木熟)という贅沢


突然ですが、みなさんが「春」を感じる瞬間はどんな時でしょうか?
桜、あるいは梅の咲いた時?
電車の乗客が爆発的に増えて日々の満員電車が身動きすら取れない状況になった時?
いかにも着慣れていないスーツの若者がランチに出かけていく姿を見た時?

春の楽しみは桜だけじゃない!

わたしの場合の答えは「蒲郡(がまごおり)温室樹熟デコポン®の出荷が始まった時」です。
今日はこの樹熟デコポン®について書いていこうと思います。

木熟って?完熟?

そもそも「樹熟(木熟)」がなんなのかというと、書いた字のごとく「木で長く熟成させた」の意味です。

まずはその前にフルーツにはよく使われる「完熟」という言葉について話します。
完熟ってかいてあると絶対美味しい!!と思ってついつい手に取りたくなりますよね。
なんという魔法の言葉!!


「完熟」ってなんだ!


しかし実は青果業界では、追熟させる(=収穫後に寝かせておいて食べ頃まで待つ)フルーツ以外ではこの言葉を使えるフルーツが限られているのです。

完熟の定義が曖昧なため、業界では完熟=「自然落果」と解釈されます。
しかし市場流通の関係上、出荷~販売までの時間を考えて腐りや傷みにならないよう早い段階で収穫してしまったり、早くに収穫して蔵で酸を抜いて出荷する品目だったりすると完熟とはならないのですよね。

(宮崎マンゴーは「ネット収穫」といって実1つずつにネットをつけておき、熟して自然落果してネットに入った果実を収穫するのでこれは「完熟」と呼べるわけです。)

もはや「完熟」の代名詞ともいえる宮崎マンゴー

そんなわけで「完熟」という言葉が使えないので出てきたワードが「木熟」。
木で長く熟成させ、完熟の状態に近づけているという訳です。
当然この言葉が「魔法の言葉」であることから分かるように、完熟のほうがしっかり熟して味も良いことが多いです。

実際通常の栽培方法より1ヶ月以上長くならせていたりするので、本当に酸味が穏やかになり甘みにコクがあったりします。つまり美味しい。

(全然関係ないけど、完熟が美味しいって人はいつ学ぶんだろう…教えられた記憶がなくて…。もはや本能レベルで分かってるのかな…)

蒲郡だからこその味わい

そんな木熟なフルーツの中でもわたしが蒲郡温室樹熟デコポン®にときめいてしまうのは、やはり蒲郡ならではの味わいがあります。

愛知県内有数のみかん産地・蒲郡のデコポン®

愛知県蒲郡市はみかんを始めとする柑橘の名産地の1つです。
名産地ならではのこだわりが魅力なのですが、樹熟デコポン®はとにかくこだわりの塊!

①2月に検査して基準を満たしたものだけ残す

デコポン®はそもそも商標登録された名前で決まりがあります。
それは

★許可を受けたJAで出荷される
(日園連傘下のJA。もっと細かく言いようはありますが今回は分かりやすく省略)

★不知火(しらぬい)という品種の中でも糖度13度以上酸度1.0度以下のもの

つまり、めちゃくちゃざっくり言えば「甘くて酸味がほどよい品質のお墨付きがあるもの」という感じですかね。

蒲郡では2月に検査をし、その時点で糖度13度に満たないものは身を落としてしまいます。
実を減らすことでより残った実に栄養を行き渡らせて、そして完熟に近づける。
贅を尽くした極上の果実だと思いませんか?

そんな贅沢な温室で作られ、完熟に近づくほど糖度も上がっていき、コクのある甘さと言われるほどの最高!の味わいになります。

②3月までは木にならせる
より完熟した形でお届けするために出荷は4月から!通常は12-2月に収穫して、酸味が穏やかになる頃に出荷されるケースが多いのでいかに長くなっているかがわかると思います。

(でも収穫したての酸っぱい状態のも1度食べてみたい…!!)

③化粧箱には可愛い葉付きのデコポン♡
そして、化粧箱に入った樹熟デコポン®はなんと葉っぱ付きの可愛らしく華やかなビジュアルです。
この華やかさが春を感じさせてくれますね。

そんなわけで、長々と書いてしまいましたがこだわりをもって出荷されるデコポン®の美味しさはもう食べるしかないのです…!

この葉っぱが華やかで可愛い!

他の地域の木熟シリーズ

ちなみに蒲郡だけではなく他の地域でも「木熟」をブランド化している地域もあります。

例を挙げると、柑橘ではJA紀南が木熟シリーズを出していて、ネーブルオレンジなどは香りがとってもよく最高の味わいです。
(国産のオレンジの美味しさもぜひ味わって欲しいところですがこれはまた来シーズンにご紹介できれば…!)

和歌山の木熟301デコポン®
開花から301日樹上で熟成後に収穫。

りんごでも同様に完熟に近くなるまで長くならせる「樹上完熟」としている農家さんもいらっしゃいます。

「木が疲れる」「傷みや鳥獣害のリスクが高まる」というのもあり、あえてやらない選択をしている農家さんもいらっしゃる一方で、地域をあげて木熟栽培をブランド化をしているところもあったり。
それぞれの農家さんの方向性も違っていて、色々なフルーツの楽しみ方が出来るのでフルーツを知ることって更にワクワクが増えますよね…!

今だけの美味しさをお見逃しなく

とっても可愛らしい!デコポン!

長々と木熟果実並びに樹熟デコポン®の魅力を語ってしまいましたが、蒲郡樹熟デコポン®は旬も長くはありません。
見つけた時が買い時!ということで、このnoteが新しい出会いの1つになれば幸いです。


※ちなみに食べてほしすぎてSou.fのフルーツギフト詰め合わせには95%くらいの確率でこの時期は樹熟デコポン®が入ります(笑)
スーパーで探して買うのすらもはやめんどくさい!という方はぜひご購入をお待ちしております。
備考欄に「樹熟デコポン多めで」と書いていただければ、樹熟デコポン®様厚めの盛り合わせも承ります。(予算との戦いはありますが…!)

ではまたお会いしましょう♪



※完熟の定義はそれぞれの業界や慣習であるかと思われますが、本noteは青果業界としてのSou.f内の認識となります。

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