見出し画像

水力発電の弱電まわり

VVVFインバータや充電制御装置などは自作したものです。

VVVFインバータのスイッチング素子は白物家電などに使われる小型のIGBTモジュールです。大型のモジュールは入手困難ですが、容量を妥協すれば安く販売されている小型のIGBTモジュール(IPM)を使用できます。

回路図エディタで回路図を書くのはもちろんですが、基板パターン用のCADを持っていないので無理矢理回路図エディタでパターン図も書きます。

専用の基板を作ると高くつくので、その辺に売っている2.54mmのBサイズ片面ユニバーサル基板に実装します。

ベクトル制御系のソフトウェアを動かすにはそこそこ処理能力の高いCPUが必要です。DSP機能があり、単精度浮動小数点演算器も搭載しているRX62T(Renesas)を選定しました。せっかくなのでベクトル制御系は全て浮動小数点演算で行います。

RX62Tのチップは足ピッチ0.5mmのLFQFPパッケージなので、2.54mmピッチの変換基板に乗せます。0.5mmピッチのハンダ付けは機械がないので、根性を以って手ハンダで実装しました。

設計時に意識したのはハードウェアのフェイルセーフです。例えば、充電制御装置に於いてパワーモジュールタイプのDC/DCコンバータを使用し出力電圧と電流を制御していますが、この出力制御のための外付け回路を少し工夫することで、制御用電源喪失時にパワーモジュールが暴走しないようにしています。

配線ミスや過負荷、その他要因で3.3V系制御用電源が喪失した場合、CPUは動かないのでソフトウェアによる機能安全的な対処は不可能です。ハードウェアによる制御の場合、能動素子が動作している状態を抑制因子として使うのは危険です。そこで、トランジスタを一つ加えて動作を反転させることで、能動素子が動作している状態を促進因子とし、能動素子が動作していない通常の状態が抑制状態(最低出力)となるようにしました。これにより制御用電源が喪失した場合でもバッテリーが爆発したりする危険性を低減できます。トランジスタ素子そのものの故障モードは破壊の仕方によりショートであったりオープンであったり特定できませんが、往往にしてそのような故障は素子一つとか二つとかの小規模で限られた範囲に生じているはずなので、そのような場合はソフトウェアで機能安全的に対処します。

ソフトウェア面では、バグなどによりCPUが暴走した際に安全に停止できるようにウォッチドッグタイマの使用は必須ですが、ソフトウェア実装ではウォッチドッグタイマのカウンタリセット処理の位置は慎重に検討する必要があります(某モノレールで起きたVVVFインバータが原因の事故の教訓)。

#発電 #蓄電 #インバータ #DIY #IGBT #RXマイコン #電子工作 #フェイルセーフ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?