「上司の承認」の責任範囲

てとらα SIさんの以下のツイート、全社会人があるあるなんじゃないかなって思うレベルで刺さりました。

私はしがない経理課の中の人なので、何度同じ指摘をしても繰り返される光景に申請担当者が可愛そうだな・・・と思いつつ差し戻しボタンを押下する日々を過ごしています。

ので、過去実際に自分がやっていた対策として
・ミスった本人(大概若手)にはフォローを入れる
・一ヶ月分のミスをまとめて定期的に社長に連絡を入れる
・あまり目立つようなら社長から各部長へ指導が入る

というフローを紹介してみました。

ただこれ、さも自分が有能みたいなリアクションを頂いたんですが全くそんなことなく、むしろその報告を認めてくれて、会社を引き締めてくれていた当時の社長の度量こそすばらしいって話です。事実転職した今の会社ではここまで徹底してできていません・・・

上司はどこまでみればいいのか

このtweetにぶら下がっている内容を見ていく中でちらほら見えてくるのが「上司の責任は趣旨や概略の確認であって、一言一句見ている暇がない」といった意見。私も一応監督側の立ち位置もしますので仰ることはよくわかります。

しかし、私は「一度承認印を押した以上、すべての責任を負う覚悟」が管理職に求められていると思っています。それはただ頭を下げるとか、無策に部下に注意をすることじゃなくて、一度起きてしまったミスに対して今後の再発防止策を定める手間をかける覚悟だと思っています。

ので、いちいち全てを見てられないのであれば可能な限りチェック項目を少なくするようなフォーマットを作って部内共有するとか、今回のミスはなぜ起こったのか追求していくのが上司の仕事じゃないでしょうか。

ので、予め会社として定められたルールがあって、それが公開されている以上、細かい点であっても監督義務や都度の軌道修正は上司の責任範囲ではないでしょうか。

経理はミス自体を指摘しているつもりはない

例えば日付の入力がごっそり抜けていて、担当者まで差し戻しするとしましょう。

経理としては月次決算の都合上、いつ発生した費用なのかは重要ですので必須で入力してもらう必要があります。結果担当者まで差し戻しをしますが、正直1度や2度こんな事があってもこっちも慣れっこなのでなんとも思いません。

しかし頻発するようなら話が別です。その要因を突き止めて、何を勘違いしているのか、あるいはその人の癖で抜けてしまうのであればチェック表なり何なり、行動特性を理解した上で適切な処置をする必要があると思います。しかしそれは直接接している上司でなければ無駄な対策や越権行為の指示など組織として変な動きになってしまいます。

特に部長級の方については、「よくわからんけどミスがあったら経理が言ってくるでしょ」といった姿勢を崩さず、結果こっち(の担当者)が疲弊しても知ったこっちゃないという意思表明だと受け取ります。

ので、再発防止策の策定と実行は承認者にあると思っていますし、すでに他部署をナメた態度を取っている人については仕方ありません。もっと上である社長へ直接報告することでうちの部下の負担を減らさせてもらいます。

書類を見てればわかる

こういうことをすると一部「○○という部下は本当に手間がかかるんだ、そっちから指摘してやってくれよ」なんてことを仰る方もいますが、本当にそうなのかは申請履歴を見てればわかります。

電子申請は差し戻し履歴が残るのでその頻度や内容で事業部でどんな指導をしているかは見えますし、紙の申請でも特定の人のミスが起こると反復学習による長期記憶で、「あぁ、また○○部の××さんか。」とすぐ気づいちゃいます。

実際何度も部内でやり取りがあって、なんとか経理までたどり着いたけど、それでもチェック漏れがあって・・・なんてケースは部の方たちにフォローの連絡を入れます。
先の社長への承認ミス履歴を提示する際も備考みたいな感じで部としての対応には問題ないと思います的な一文を入れてました。

媚びるなら部下

最後に。

尊敬する先輩が、「自分を挟んで部下と上司で揉めたら基本的に部下を助けろ。上司はいつかいなくなるけど部下はずっと一緒だ。本当に困ったときに助けてくれるのは部下だ。」と教えてくれたこと、今でも心に刻んでます。実際に何度も助けられました。

私は経理の仕事を通して、全体のルールの周知や改善を通して会社を良くしていきたいと考えています。
はっきり言ってあんまり得するポジションではないと思います。実際古参社員からすれば今まで指摘されていない問題をいちいち指摘する、面倒くさいやっかいなやつだと思われているでしょう。

それでも適当な組織運用をされて困るのは、右も左も分からない新人たちや、一部の声の大きな人たちに萎縮してモチベーションが下がっている若手です。
そんな人達のために、各種書類が回ってくる経理のポジションから助けになれば。そんな思いで今日も私は差戻のボタンを押下します。




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