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リケジョ&ワーママから見た霞が関の魅力と未来

はじめまして。ソトナカプロジェクトメンバーに最近ジョインした北角 理麻(きたずみ りま)です。理系大学院卒で、3歳の娘を育てながら、現在、経済産業省で働いています。
他のソトナカメンバーに続いて、リケジョ&ワーママの視点から、飛び込んだときの戸惑いや、入省4年目の今、見えている霞が関の風景をお伝えしたいと思います。

今回のnoteを通じてお伝えしたいのは、国家公務員への転職の敷居は思うほど高くなく 、様々な経歴をお持ちの方にも門戸は広いということです。民間への転職と同じように国家公務員がキャリアの一選択肢となることで、官民間の人材流動が活性化していくことを願っています。
また、研究室にいる就活中の大学院生や、民間の研究職で次のステップをなんとなく考え出したような方々にも、届いたらいいなと思いながら書いています。

院卒リケジョが国家公務員にたどり着いた経緯 ~気づいたら霞が関に~

大学・大学院では分子生物学を専攻し、マウスの性差のメカニズムを研究していました。製薬企業等の研究職に就くのが王道という世界でしたが、研究の世界には向いてないなと思った私は、外資系医療機器メーカーに就職しました。マーケティング部門とR&D部門で、営業部隊を後方支援する立場で働きました。

大学時代にお世話になった、研究室にて

次第に、企業や研究者を支援することで医療の発展そのものを促進するような仕事がしたいという思いが芽生え、当時設立されて間もない医療系の独立行政法人に転職し、国際事業部でアジアの国々との連携推進のための企画業務に携わりました。

インドへの海外出張時に同僚と

そこで初めて「国の仕事」に触れ、民間企業との違いに衝撃を受けました。政府の戦略に基づいて、10年、20年先の日本を見据えながら、研究開発力の向上や研究開発の事業化に向けた様々な事業が走っており、ステークホルダーも複数の省庁、政府機関、研究機関、企業と多岐にわたっていました。「今年は、日本支社で前年比〇%の売り上げアップを目指そう!」というビジネスの世界とは、仕事のゴールとモチベーション、物事が動く組織の複雑さ、スケールの大きさ等が大きく異なると感じました。

「政策」に基づいて、様々な事が進んでいく世界を目の当たりにし、自分もこの世界の中で国の経済の発展、医療の発展に寄与したいという思いが芽生え、経産省の経験者採用試験を受けて、今に至ります。

入省後、ワーママとして働く今 ~まだまだ伸びしろだらけ~

入省後は、生物科学産業課に配属され、今はアジア新産業共創政策室(ADX室)という部署で、「アジアデジタルトランスフォーメーション(ADX)」を推進しています。

ADXを推進するスタートアップとのウェブ会議の様子

前職の独法では、アカデミアの世界で、異国間の研究者の連携促進とイノベーション創造のために様々支援を実施していましたが、ビジネスの世界にも大いに通ずるものがあり、今担当している日本・アジアの企業間の連携を促進する政策を考える上で、前職の経験や感覚がいきていると思います。

ソトナカのメンバーもすでに触れていますが、優秀で頭の切れる上司、同僚に囲まれて驚くというのは私も同じです。他省庁、企業、業界団体等様々なステークホルダーの意向をくみ取り最適解を突き詰めるという仕事柄、その思考力と調整力は、「詰め職人」、「思考の魔術師」だと個人的に感じています。

経済産業省の同僚と

また、ワーママとしても働きやすく、今の上司(男性)も朝夕の保育園の送り迎えなど育児もしながら働いているので、子育ての苦労や喜びを共感しながら仕事をしています。両立しながら奮闘しているのは一人じゃないんだという安心感と、子育てしながらでも高いパフォーマンスが出せるんだ(自分もまだまだがんばれるはず!)、という前向きな希望を感じています。
 
一方で、中途で、かつ労働時間の制限を抱えての職場への定着は非常に苦労しました。知っているのが当たり前という感じで「委託調査を回して」「審議会、研究会を回して」「論点をあげて」と仕事が降ってくるのですが、仕事の体系やツールがまるでわからず、周りを見ながらこわごわと手探りでなんとかこなしてきた感じでした。このあたり、コンサルなどで国の仕事に接したことがないような、霞が関的感覚ゼロの職員へのケアがあったらいいなと感じています。

キャリアとしての国家公務員という選択 

「一度公務員になったら、なんの専門性も身につかず、民間の人材市場での価値がなくなるのではないか」とよく聞きますが、そんなことはないと私は思います。
確かに、霞が関の仕事は一般に「調整業務」などふわっとしたジョブディスクリプションで表記されますが、要素を因数分解すると、必要なスキルは様々です。業界の現状と課題を言語化・整理して、その課題解決の枠組みを構築する一連の流れは、企業が消費者や企業のニーズを理解し、新しい製品・サービスを考案してビジネスとして形にする流れと同じで、課題発見・解決能力、説明力、巻き込み力などの多様なスキルが習得できると思います。
国、政府の中を知っているという経験と合わせると、むしろ唯一無二の価値をもった人材になりえるのではないでしょうか。

おわりに

独法時代に、海外の政府機関や大使館などの方々とお付き合いする中で、彼らのキャリアの多様性に驚きました。アカデミア、企業、官公庁を行き来しながらキャリアを形成していくのが珍しくなく、PhDやMBA持ちの官僚や政府関係者が多くいたように感じました。

独法時代、様々な国から集まった多様なキャリアバックグラウンドを持つ方との会議

日本においても、霞が関人材が多様化し、より柔軟なキャリア形成が進んでいくといいなと願っていますし、そんな未来に向けて、ソトナカプロジェクトが大きなうねりをこれから作り出してけるのではないかとわくわくしています。
 

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