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自分らしいなりわい②|働きかたに悩む人へのアドバイス

自分の興味のあることをなりわいにして、生き生きと楽しそうに働く、スギちゃん(栗農家&料理人)、ぺぺさん(会社員&あまご養殖場見習い)、青山さん(ゆるやか文庫)の3名に、働くということについてインタビュー。

今の働きかたを変えたいけれど、踏み出せずに悩む人に、みなさんならば、どんなアドバイスをするのか聞いてみました。(聞き手:Mai(そとで、ここで)、場所:獅子越荘ロッジ)

できないことに遭遇したらどうする?

――前回は、出会った人に導かれながら、今に至る話を伺いました。今は自分の心に正直に仕事をされていますが、働く上で、こういう働き方はしないとか、これはやらないと決めていることはありますか。

ぺぺさん:まあ実は今、僕以外のスタッフはみんな、重機に乗って整備をしてる。で、お前だけ、インタビューを受けて何してんだって状態なんだけど……(笑)


いや僕も、重機には乗ることもあるんですよ。でも、やっぱり得意じゃないんですよ。そんな時、得意じゃないんですよって会社に言っちゃうんだよね。で、まあ、どう見ても得意じゃない感じだから会社も諦めがつくっていうか。あいつにやらすよりは、誰かアルバイトを雇った方がいいってことになるんで。それで言うと、得意なこともだけど、やっぱ苦手なことは、正直に苦手ですと言うと相手も分かりやすいですよね。もちろんチャレンジすることは大事なんだけどね。


スギちゃん:できないことをやらないっていうのと無理をしないということを心がけて、自分に負荷をかけすぎないようにしてます


青山さん:専門のことは専門家に頼むみたいな


ぺぺさん:話は変わるけど、自分でやった方が早いと思う物事を敢えて誰かにお願いするのもいいと思う。もちろん、それがいつもいい結果につながるとは限らないけど、面白いこともあるんだよね。たとえば、自分で丸を描いた方が思い通り描けるし、しかも早いじゃんってことも、敢えて誰かに丸を描いてくださいってお願いする。そっちの方が時間はかかるけど、楽しくなったりすることがあるんじゃないかな。

――自分だけでは見られない世界を見ることができるのは、誰かと働く醍醐味ですね。


ぺぺさん:そうですよね。自分は職人系には全く向いてないなと思っていて。なんかこう一人で突き詰める系はあんまりイメージが湧かない。それよりも誰かと何かやる系の方が、結果的に自分の思った感じにならなくても、まあそれもありかと思えるみたいなところがあるんだよね。


働きかたに悩む人へ



――今、自分の働きかたに悩む人に対して声をかけるとしたら、どんな言葉を選びますか?


スギちゃん:流れに身を任せる」がいいかな。だって、流れにただ身を投じていたら、Allright(食の方向に進む転機となった前職の会社)にたどり着いて、そうしたら石畳(愛媛県喜多郡内子町)にたどり着いていたわけ。そこから、パートナーとなるかずくんとの出会いがあり、結婚することになったから、家業の栗栽培と料理を組み合わせて、なりわいになりつつあるのかな。本当に流れに身を任せていたら、今にたどり着いている。


でもね、ただなんかね、ぼんやりとした願望みたいなのもあるんだよね。幼稚園ぐらいの時から、スターになりたいとか、アイドルになりたいみたいな、そういうのはずっとあるわけ。

ペペさん:今もあるの?


スギちゃん:いや、今はわからないけど、潜在意識にあるのかもしれない。だから結婚パーティーの時に花嫁自ら歌唱で登場したり、要所要所、なんとなくは叶えてきている。そういうことをやっちゃうタイプで、それが自分の持ち味だと気づいてはいるんだけど、まだうまく活かしきれていないのかも。でも流れに身を任せていたら、こういう私と一緒に楽しんでくれる仲間が周りに集まってきて、また自分のなりわいにつながってきているのかな。

あと、思いつきも大事かも。急に思いついて、沖縄の島に滞在してきび刈りの仕事をしたり、京都に住みたいと思って仲居をしたりとかしたのよ。だからなんでも、思いついたことを若い時に結構やったから、それがなかなかいい感じで、今、役に立っているっていうことも多い。いろんな思いつきを叶えるために、当時貯金とかぜんぜんなかったけど、何とかお金を掴み取って、散々ハチャメチャに、いろんなことを経験したな。それもよかったと思う。


青山さん:確かに、「くりまさ」(栗剥きの道具)が、商品化になった時も、思いついてから行動に移すスピード感がすごいなと思っていて。それは意識されているんですか?


スギちゃん:どうかな、意識してるのかな。そう言われると、昔からそういうタイプかも。思ってることを言わずにいられないみたいな感じ。すぐ言いたい、早く誰かと共有したい、形にしたい、そういう感じかもしれない。思いついたらすぐ行動しちゃうタイプかも。どうしようとか悩むことより、思いついたらやらずにはいられないことの方が勝つかな。くりまさは早く形にしたかったので、特に急いだね。



――サラリーマンのぺぺさんは、好きなことをしているというのとは少し違うのでしょうか?

ペペさん:いや、いつも、めっちゃ好きなことをしているんよ。ただ、最初は別に好きじゃないけど、やってるうちに好きになってきているかな。


だってスキーしたことないのにみたいなはじまりから、この冬で12シーズン目なの。5年目ぐらいから滑るのにようやく興味が湧いてきたんだよね。今では毎日滑ってる(笑)。好きになるのは得意かも。逆に言うと、嫌いっていう対象があんまりないとも言える。嫌いな人とかもない


スギちゃん:すごい!

青山さん:素晴らしい! 嫌いがないんですか? 苦手な人もいないんですか?


ペペさん:へー、こんな人もいるんだ。面白いじゃん! ってなるのよ。


――自分と考え方が違うことは面白いということですよね?

ペペさん:うん。そうなってくるとみんな違うじゃんみたいな話で、結局、面白いことがいっぱいみたいな。あの、僕は、めっちゃ考えてる時間も好きなタイプなんよ。


スギちゃん:えー、嘘? そういうふうに見えないけど。


青山さん:見えないですよ。


ぺぺさん:だって、僕、高校生の3年間、授業中とか放課後とか、ほとんど橋の下にいるような子だったからね。先生も来ないし、高校からちょっといい距離感なわけよ。


青山さん:え! じゃあ、もうその時から既にいろいろ考えていたってことですか?


ぺぺさん:うーん、というかね、なんか解決策がわからなかった。


スギちゃん:なんかもやもやしたことがあるのかな。それで橋の下で、いろいろ悶々と、どういうことを考えていたの?


ぺぺさん:音楽をやりたかったとか、当時はいろいろあったんだろうけど、今となってはほとんど忘れた(笑)。ただ、逃げ込む場所を見つけるのが得意だったのかも。今思えば、ちょっと勇気出して足を踏み出せば、いろんな世界に近づけたのかもしれないけど、当時はできなかったというか、はじめかたすらわからなかった感じ。


スギちゃん:そっか。


ぺぺさん:でもね、それはまあ、今だから言えるのかもしれないけど、めっちゃいい時間だったなと感じてる。


スギちゃん:こうやって話していると見えてくるんだろうね。人と比べたりしたことないから。自分の性質とか、橋の下にいることとか。


ぺぺさん:とは言え、自分としては暗黒の高校生活と呼んでるんだけど(笑)


スギちゃん:それは嫌だっていうイメージ? あの記憶はちょっと嫌なイメージというよりはなんか淡々とみたいな?


ぺぺさん:その大人になったらね、そもそも高校って行かなくてもよかったんだとか、いろいろ選択できたのかとかって思えるけど、その時はわからなかった。だけど、自分の中では発酵させる的な、その3年間の高校のあれは発酵時間だったって、今は前向きに捉えられるようになった感じ。


スギちゃん:すごい。それはいいね。機が熟したみたいな。



安定ってなんだろう


青山さん:働きかたが多様になった今の時代も、同じように悩んでいる人っていますかね?


スギちゃん:どうだろう。今の10代とか20代とか、若い人。


ぺぺさん:僕、めっちゃ安定志向やけどなあ。


青山さん:今の子たちもそれを求めますかね?


ぺぺさん:我が家はめっちゃ安定感を求めてる。綱渡りに例えるとすると、ブレずに上手に渡りきることは当然ながら安定感があると言えるし、一方でフラフラして今にも落ちそうなんだけどなんだかんだ落ちないで渡りきるってのも、結果的には安定感ある状態と言えるんじゃないかなって思ってて、我が家はどっちかというと、ふらふらしている方の安定感(笑)

ぺぺさんのそとの愉しみ「スケートボード」。安定感のある滑りで颯爽と駆け抜ける


スギちゃん:何をもって安定とするかだよね。お金があれば安定なのか、仕事が充実してたら安定なのか、心が満たされてたら安定なのかとか、人によって違うかもしれないね



導かれるように、今、ここにいて、自分らしいなりわいを持つ三人ですが、みなさんの中にも悶々と悩んだ時間がありました。そんな時、思い立ったら行動して前に進むことも、じっくりと考えて自分の中で発酵させる時間を持つのもどちらも大事。

今のままで良いのか不安になることもあるかもしれませんが、固定観念を疑って、自分が何の安定を求めているのか、何が満たされれば幸せなのか、自分自身と対話してみると良いのかもしれません。 次回は、仕事とは何かを問います。


Coordinator Mai Oyamada
Writer Mami Niida
Photo Ko-ki Karasudani


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