未踏ジュニアの振り返り

この記事は, 未踏ジュニアアドベントカレンダーの記事です。

お久しぶりです、そうまめ(https://tokumaru.work/ja)です。マレーシアにあるオーストラリアのインターナショナルスクールに通っていたのですが、11月末に卒業しました。
2024年もあとわずかで終わりということもあり、今年自分がやってきたことなどをいろいろ振り返っています。

今日は今年の11月に終えた、未踏ジュニアというクリエータ支援プログラムについて、きっかけから経過までいろいろ雑に振り返りをしてみようと思います。未踏ジュニアについて知らない方は、Webサイトをご覧ください。

始まりは未踏ジュニアの成果報告会を見たこと

そもそも未踏ジュニアに応募したきっかけは、2年以上前に遡ります。2022年の11月、私はその日初めて会った友人と成果報告会を見に行きました。

独創的なアイデア、卓越した技術を持つ 17 歳以下の小中高生や高専生などを支援するプログラムです。未踏事業という、経産省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する 24 歳以下の若者を対象とした人材育成プログラムがあり、その未踏事業の修了生を中心に設立・運営されているのが未踏ジュニアです。2016年から未踏ジュニアが始まり、これまでに 860 件の応募をいただき、136 名のクリエータを支援・採択してきました。

https://jr.mitou.org/about - 未踏ジュニアとは

成果報告会では、未踏ジュニアに採択されたクリエイターたちが、自分の作ったものなどを発表していました。正直なところ、みんな難しいことを言っていた印象しかなく、「うわー、なんかすごい天才がたくさん集まってる、すごいなー。自分なんて…」と思っているだけでした。どのプロジェクトもとても小中高生が考えたとは思えないレベルで仕上がってい他ので、ただ驚くばかりでした。一緒に来ていた友人はかなりいろいろ理解していたようで、とても楽しそうに喋っているなぁと思っていました。適当な感想ではあるのですが、当時はその程度に思っていました。

初めて応募する

その後、高校2年生の頃に友人と一緒に未踏ジュニアに応募しました。当時はコードを書くスキルなんてなかったのですが、とりあえず応募してみようということで思いつきのアプリの案を提出しました。提出した案はあまりに雑で、実現可能性がないというのもあり、書類選考すら通らず落ちたという結果でした。その時は「まぁ、そんなもんか」と思っていました。
しかし、一緒に提出したその友人が採択され、プロジェクトを進めていく様子を見ていると、ああやって自分のやりたいことを突き進めている人がいるのに、自分は学校で中途半端に勉強しているだけで、このままやりたいことがあっても何も実現できないのでは?という焦る気持ちを感じるように。
実際、当時はたくさん作りたいものがあったのに、コードを書くスキルがないために作れないものがたくさんありました。しかし、自分にはあそこまでの高みは目指せないだろう、せめて周りに言われたように、大学とかにでも入れるように学校で勉強しておこう、と思っていました。

それからの一年

とはいえ私はオーストラリアのカリキュラムのインターナショナルスクールに通っていたので、本来はそこで学校の科目をたくさん勉強して、良い点数を取るべきです。中学1年生の冬からこの学校で学んでいたので、言語の習得が遅れている分、しっかりと学ぶ必要がありました。
しかし、注意が散漫で興味がないと集中できないことが多いと言われる自分は学校での勉強もあまり力が入らず、成績もオーストラリアの平均くらいになっていましたが、それ以上はあんまり学校の勉強はせず、いつもマイクラで遊んでいたりしている人間でした。また、この時期からなにかを作ることが好きになってきていた気がします。
英語は1日中使うので、普通に喋れるようになりましたが、その私が覚えた英語はコミュニケーションを行うための英語であり、学校のテストで出てくる学術的な英語ではありません。当然、英語の点数などもあまり良くなかったです。一応留学という名目で来ていたので、ちゃんと勉強しろと言われていました。

好きなことばっかり

そんなこんなで高校2年生はあまり勉強せず、自分の好きなことばっかりやっていました。みんなで作品作ったり、ウェブサイト作ったり、バイトで子供達に簡単なプログラミングを教えたり、いろいろな経験の蓄積に時間を費やしました。幸いにも親切な人が私の周りにはたくさんいて、いろいろな学びの機会がありました。当時はもうあまり成績とかについて考えずに好きなことをひたすらやっていました。周りからは散々言われていましたが、今となっては、ここでいろいろ学んでいた知識が結局役に立っているのかなぁ、と思います。
1年くらいいろいろ遊んで覚えたWeb制作の技術で、マイクラを使ったプログラミングの教材をホストするサイトなんかも作りました。(これが未踏ジュニアに採択されるプロジェクトの前身です)

流石に勉強しよう

しかし、進級前の最後の通知表は最悪でした。やっぱり勉強しないと成績って落ちるんだなと初めて思いました。流石に焦ったので、ウェブサイトとかを作るのはやめて、勉強を始めようと決心しました。
珍しいことにこれはちゃんとやっていて、成績はどんどん回復しました。やっぱり焦りって大事ですね。朝6時半に起きて、学校行って、4時に家帰って、勉強して、ご飯食べて、寝るという、めちゃめちゃやっているわけではないですが、ちゃんとやっている、という感じでした。その後、3、4ヶ月くらいでまともな成績になってきて、まあまあ海外大とかも狙えるくらいのレベルにはなっていたかと思います。

ぼくはけっしんした!

転機の訪れ

しかし、勉強しようと決心した自分にとんでもないメールが勉強している私の元へ来てしまいます。もし通ったら...そんなわけないよな、と、なんとなく応募した作りかけのプロジェクトが未踏ジュニアに採択されたのです。
確かに去年に応募したプロジェクトと違い、実際にある程度手をつけていたし、割と実用的なことを書いていたし、私が見ても、技術的にもなんとかなりそうには見える。また、自分がめちゃめちゃやりたい教育分野のプロジェクトだったというのもあり、それがメンターさんの目に止まったのだと思います。それが伝わったみたいで、採択された時には本当に嬉しかったです。

なぜ勉強しているのに応募したのか自分には良くわかりませんが、勉強している自分の脳裏にずっと残っていた「これで良いのか?」という疑問が働いたのだと思います。学校でやる勉強をやりたくない…という陰の自分が働いた可能性もありますが…笑(あるいは、自分が学びたいことが学校にたまたまなかった、とも言い換えても良いでしょう。)
一方で、自分にできるのだろうか?学校はどうしたらいいんだ?という不安も残っていました。高校3年生の最後の1年をこれに捧げて良いのか疑問にも思ったので、このまま進むかどうか、しばらく考えていました。

このAIを使用したwebサービスを使うと、IT分野に特化したAIがデータを用いて、質問に応じたスライドチュートリアルが、ユーザーのリクエストに応じて生成さます。
画像やテキストなどのフォーマットを用いて、作りたい仕組みやウェブサイト、学びたいことなどを入力するだけで、前提知識がなくてもすぐに学習が開始できるのが強みです。

初期の提案書

周りに押しつぶされそうになる

結局進むことを選んだ自分は、このアプリを作ることに専念しました。
「どうせ学校の勉強にもどってもずっと頭の隅に後悔が残ってしまう、周りにも助けてくれる人はいるし、自分のやりたいことに専念しよう。」
そう言い聞かせてひたすらプログラミングを勉強しました。周りの人はすでに自分でいろいろ作っていたり、技術もある一方で自分はこれが初めて作るアプリだったので、すごく不安でした。
もちろんどういうものを作りたいかはすでに決まっていたし、計画もあったわけですが、それは自分の身の丈に合っているのか?これで合っているのか?とず〜っと問い続けていました。さらに、学校の成績もみるみるうちに下がっているのが見えて、めちゃめちゃ怖かったです。

ただ、その一方で、未踏ジュニアでは推薦枠で学校に出願する制度などがあり、序盤は「これで何もできなかったら終わりだ」と思っていた自分も「多少成績がこれで下がっても、なんとかなるかもしれない」という若干投げやり…いや、ポジティブな思考になったので、その不安は解消されました。
なんとかなるかもしれないという思考はどうにもならない可能性もあるので、あまり良くない気もしますが、過度の不安で何もやらなくなるよりはマシです...

結果

そんなこんなで、1年間の探究と、未踏ジュニアを通した半年間の学習と創作というプロセスを経て、プログラムを終えスーパークリエータの認定を受けることができました。といっても、自分としてはこれがスタートラインであって、ここから自分や世界をどうやって変えていけるか?ということが大事じゃないかと思っています。また、別の話ではありますが、このソフトウェアでアプリ甲子園で優勝することもできました。今まで何かで1番になることなんてなかったので、とても嬉しいのですが、それよりも、そうやって自分のことを評価してくれる人がいることが一番、嬉しかったな。

発表した「TutoriaLLM」というソフトウェアはAIを使って子供達がプログラミングを学習したり、先生が教材作成などに使ったりすることができるセルフホスト型のアプリケーションです。

世界中の、いろんな人に助けてもらいながら作っているので、周りの人に見捨てられるまでは続けていこうと思っています。また、ソフトウェア自体はオープンソースですが、営利目的で使うことも想定して、将来的にそういう現場にアプリを投入して実際に続けていきたいなと思っています。

おわりに

ここだけの話、成績はめちゃめちゃ下がったりしているので、高校最後の1年をこうやって過ごしたことが正解かどうかは自分にはわかりません。ただ、幸いなことに、それらを評価してくれる人が周りにたくさんいてくれたおかげで、自分はたくさんのものを得ることができました。もちろん学校での勉強も大事ですが、こういう私みたいな人がいても世の中的には悪くないのではないでしょうか。やっても無駄だなと思ったことはありません。無駄に見えても役に立つことがある気がします。(効率が良いかは別として)

学校を終えた後、進路をどうするかはだいぶ悩みました。こうやっていろいろな世界を見たおかげで、昔は当たり前のように「大学に行くのかな」と考えていたのですが、それは自分にとって必要なのか?と疑問に感じることもあります(結果として、大学進学を考えていますが)。

未踏ジュニアでメンターをしていただいた西尾さんや皆さん、また、ユーザーテストなどをしていただいた方や、ソフトウェアの開発に貢献していただいた方など、様々な方のおかげでここまでできました。ありがとうございます!

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