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回旋動作を考える Part2

「回旋動作を考える」前回に引き続いてPart2です。

なんのための回旋か

なんのために回旋を作るのか?

パワー、可動域を生み出すためです。ではその回旋はどう作るのでしょうか。

目的によって回旋軸も変わるわけです。

例えば、野球のバッターなどでは顔を残して後ろ脚重心で回すし、ボクサーのパンチなんかは前脚軸で回旋するわけです。シチュエーションは様々ですが、回旋に関わる動作や部位に分けて回旋動作を考えていきたいと思います。

「安定」=「固定」ではない

可動と安定

スタビリティとモビリティ

こちらは誤解されているケースも。「安定」を「ガチガチに固める」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

実は、「安定」=「固定」ではありません。

適切な筋力発揮が必要。力み過ぎはダメといわれる所以はここにあります。

適切なタイミングで適切な筋力発揮が重要。スポーツにおけるコツのひとつがSSC(=ストレッチ・ショートニング・サイクル)

筋肉はゴムのようなものなので急激に伸ばすと素早く縮みます。このSSCを体幹部で生じさせると爆発力が生まれます。

ストレッチして可動域を拡げてトレーニングで筋肉を付ければパフォーマンスが高まるわけではありません。力を出すタイミングも重要ですし、最大筋力を発揮することが最大のパフォーマンスとはなりません。

運動のセンス

競技に必要な諸々の要素を学ぶために実技練習が大切です。フィジカル軽視も間違いですが、過度なフィジカル信仰も間違い。

センスがあればその中で身体操作におけるスキルも養えます。ただ、そうではない人もいます。というか、そうではない人の方が多いでしょう。そんな人はスキルを抽出してアプローチするといいでしょう。

センスのある人もスランプに陥る時はあります。そんな時、動作を分析、言語化だったり、数値化できていると原因が認識しやすかったりします。指標があれば立ち戻る事も簡単とは言いませんが少しはやりやすくなるでしょう。

胸椎を稼働させる

回旋において非常に重要な胸椎。この稼働について学習しましょう。そのために必要なステップが下記です。

step1

まずは可動域を作ります。回旋動作においては、負荷を掛け、股関節や胸椎の連動を養うことが重要。その前に、まずは胸椎を動かす必要があります。

でも、体幹部って動くの?

意識的に動かしたことがない人もいるでしょう。実際は、誰にでもあるし可動するのです。胸椎は体幹部の回旋の肝となる部位です。

じゃあまずは回旋のストレッチから?

いいえ、屈曲と伸展から行います。胸郭の可動性が低下すると肩のインピンジなどのトラブルも生じやすくなります。

アッパーバックエクステンション

フォームローラーを使います。なかったらクッション等でも代用可能。
肩甲骨の下角の真下くらいにかませましょう。目線も体幹部の動きと連動させます。

step2

腕と胸郭のコネクションは大切。大胸筋と上背部を緩めましょう。

大胸筋のストレッチ

手を残して胸からカラダを捻っていきましょう。胸を張るのがコツ。

上背部のストレッチ

広背筋と肩甲骨周辺の筋群をストレッチします。

ワールドグレイテストストレッチ

ベストと言われるウォームアップのひとつです。複合的に全身にアプローチできます。

step3

スパイナルローテーション(仰向け)

胸椎のモビリティを確認しましょう。回旋方向に向いた方が頸部への負担は減ります。頚椎の回旋も行う場合は顔を残して動作を行うのもいいでしょう。

step4

スパイナルローテーション(立位)

カラダを捻ります。腹斜筋の働きを感じれると思います。

step5

肩に棒を担いで回旋

ダイナミックに回旋します。全身を同じ方向に回さす残してやること。分離しつつ力まずに行いましょう。効果的なストレッチです。

しかし、腰椎で代償する間違いも多く見られます。腰椎回りは安定させて胸郭を稼働させたい。そのためのアプローチとして体幹部の前面で支持する感覚を持つ事は重要です。

まずはプランク。感覚を掴めたらバーベルスクワットやデッドリフトなどで体幹部を強化していくのがいいでしょう。

漸増的にベースの筋力を伸ばすことも大事です。エンジンを大きくする。
そして身体操作、ドライビングテクニックを向上させるのです。どちらが欠けても成り立ちません。

可動性の向上=パフォーマンス向上となり得るか?

動けばいいわけではない

そもそも全く動かないと(胸椎の回旋から)仕事量が発生しないので運動エネルギーを他で作ることになります。

なので可動性は必要。

しかし、可動性が高ければパフォーマンスが上がるかというとそこまで単純な話ではありません。可動性が高まると可動性に合わせたコントロールする技術も必要になるためです。

フォームの感覚といったものも今の筋力や柔軟性やらで構成されているわけです。

体組成の数値で見るとプラスになった肉体改造であっても、体重の変動で感覚が変わる経験のある選手も少なく無いでしょう。

腹回りがシェイプされたら可動性は向上する可能性があります。シットアップなんか分かりやすいでしょう。肥満傾向のある方は腹部の脂肪が障害となりフルレンジで行う事は難しいのです。

止めるための固さ

柔軟性が向上したらそれに合わせてフォームも変化します。フォーム変化をさせなくても、感覚は変化するので調整は必要です。

理想のフォームや向上させたい要素が明確なら伸ばすべき要素は分かりやすいでしょう。このあたりはまた別の機会に。

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