いま再注目のフロアプレス -アスリート、格闘家に愛される理由とは?-
突然ですが、みなさんベンチプレスの和名(日本名)はご存知ですか?
いわゆるウェイトトレーニングは西洋由来の文化。現代だとカタカナ英語というか和名で呼ばれるものは懸垂やクランチやシットアップを総称した通称“フッキン″くらいでしょうか?
答えは「寝差し」
寝転がって重量を差す(挙げる)。
もはや当たり前のようにベンチプレス台というものが存在するので疑問に思うことや不便に感じる事も少ないかと思いますが、バーベルしかないトレーニング環境も多々ありました。(私も最近その環境に置かれた事もあり見直すキッカケとなりました)
ベンチ台がなければフロアプレス?
そんな時は床に寝転がってベンチプレスを行うのです。これをフロアプレスと呼びます。
日本のウェイトトレーニングの始祖と呼ぶべき若木竹丸先生が執筆した「怪力法並肉体改造体力増進法」という日本初のトレーニング書で紹介しています。
ちなみにこの本古書でも高値で取引されています。メルカリでもAmazonでも高額!
若木先生、70キロ弱の身体で230キロほどのバーベルを寝差ししたという逸話があります。まさに怪力。
フロアプレスは淘汰されたのか?
現在あまり見ない種目ということは淘汰されるべき理由があったのではないか?
トレーニングも痒いところに手が届くよう進化しています。マシンもそうだし、ジムのサービスもそう。昔は背中でも部位によってはフリーウェイトで刺激するにはテクニックが必要だったものも、マシンを仕様通りに扱えば簡単に効かせられるようになっています。便利な世の中。
ですが、それにより失われていく要素も少なからずあります。
それもあって、ケトルベルなどが最近見直されたりしています。似た形状であればダンベルの方が遥かに扱いやすい。でもその扱いにくさにこそメリットが存在するわけです。
フロアプレスをやってみよう
フロアプレスは単純に可動域の狭いベンチプレスではありません。
筋肥大で考えた時、筋肉を最大限にストレッチして収縮させる大きなレンジが効果的です。そのあたりではベンチプレスに旗が上がるでしょう。
ただ競技動作に落とし込む上でフロアプレスは効果的な選択となります。
股関節の伸展方向への筋力発揮をしつつ上肢は前方向にプッシュする動作を行える有効な種目です。
股関節の出力を活かす事が競技力向上に役立つのです。こちらは竹浦さんのYouTubeをご覧ください。
フロアプレスは上肢の種目ではない
一見上半身を刺激するエクササイズですが、フロアプレスはポイントを抑えることで下肢にも強烈な刺激が入ります。
尻を引き締めて踵で踏ん張ります。
だらんと脚を投げ出すのではなくしっかりテンションをかけましょう。
その上で腰椎の伸展は抑えるようにコントロールします。
こうすると臀筋やハムが短縮位で負荷がかかってきます。比較的ストレッチ種目やミッドレンジ種目が多い臀部やハム。スクワットもデッドリフトも収縮位では負荷が抜けてしまいます。この辺りを補完する事もできるかもしれません。
このテンションを出しつつプレスを行います。
股関節伸展と肩関節屈曲、肘伸展の連動、これは実際のプッシュ動作の補強として非常に効果的です。
アスリート、特に格闘家にはやる価値のある種目です。打撃系にも組み技の選手にも有効です。海外のベンチプレッサーなども補助種目として取り入れたりしています。
フロアプレスのセッティング
シンプルにバーベルを床に置いたところからでも行えます。
身体が相当分厚くなければ周径の大きいプレートを付けていれば下敷きにならずに済むはずです。
スタートポジションがやりにくいですよね。あるならパワーラックを用いてJフックを使うのが楽です。もしくはパートナーに持ち上げてもらいましょう。
ソロ活かつラックない場合はバーベルの下に入り込むのもよいですし、バーベルをお腹の上に乗せてブリッジする形でセットするのも割と楽です。
フロアプレスはバーベルをどこまで下ろすか?
肘が付く位置まで下ろしましょう。勢いよく肘をつけると痛いかもなのでジョイントマット(使用が許させる&あるなら)を使うのも一つの手です。
重量設定
ベンチプレスの70%くらいの重量からスタートしてみましょう。
ダンベルフロアプレス
バーベルフロアプレスはスペースがないとなかなか取り組めないかもしれませんが、ダンベルフロアプレスならダンベルと床さえあれば可能です。
非常に手軽な種目です。ホームトレーニーの味方でもあります。
可動の自由度が高く肘のスタビリティを高める効果もあります。ボトムで動作を止めるとより一層効果が高まります。
デメリットはバーベルと比べて重量を扱いにくい、スタートポジションが面倒な点があげられます。
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