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#1 社労士資格を考えたきっかけ


1、会社の資産って何かな?

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5年ほど前、起業し10年が経った頃ふと思ったのです。

会社の資産と言える「人材」が僕の会社にはいないのではないか? と。

今まで、優秀な人材、ステキなスタッフに恵まれて会社を運営してこれたことは確かです。それは自信を持って言えます!
しかしながら、飲食業というのは、優秀であればあるほど独立する業界でもあります。

僕は26歳の時、脱サラし、全くの未経験から飲食業をはじめました。そんな背景からなのか、僕の会社には創業当初より勢いのある独立希望者が多く集まってきました。
3年から5年を修行期間とし、独立していく。そして、また新たな人材が入社しまた独立を目指して頑張る。そんな流れがなんとなく出来上がっていきました。

良くも悪くも「専門学校」化していました。


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それをシステムに、
フランチャイズ化やのれん分け制度、
独立支援制度を設ける会社も多いと思います。
けど、僕はそれがなんとなく嫌でした。

夢を持って僕の会社の門を叩いてくる人に
自分の夢を載せ替えたり、
自分のシステムの中に加えたりするのは、
なんとなく「ケツの穴の小さいやつのやること」って思ってました。

それは今でも間違っていたとは思わないし、
今、たくさんの卒業メンバーが「経営者」の同志として集まり助けあえる関係でいることを誇らしくも思っています。

ただ、会社の資産となる「人材」が定着していないことを、その副作用として片付けてはいけないのではないかと、ふと思ったのです。

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2、シンプルに、うちの会社で働きたい理由、働きたくない理由はなんだろう?


素直に
Q1:
うちの会社で働きたいと思っている人はどんな動機か?

逆に、
Q2:
うちの会社で働きたいと思わない人はどんな動機か?

それを考えてみました。

Q1> (想像する第1位)
A :独立するために様々なことを学ぶことができる環境

Q2> (想像する第1位)
A :飲食業は好きでも、拘束時間が長くて、土日休めない。仕事終わりの時間が遅く、友達や恋人、家族との時間が取れない。

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シンプルに、こうしました。

Q1に対して、応えられていることを誇ろう!

Q2に対して、応えられていないことを改善しよう!

さてここからが問題です。

実際に、土日休み、完全週休二日、勤務時間の短縮、固定残業代制度の廃止、営業時間の変更、それらを一から作り直し、その上で会社の業績を維持し、むしろ成長させるスキームを考えるというチャレンジの始まりです。こうなってくると、僕はけっこう燃えるタイプです。


3、「棚卸し」と「整理整頓」が事業改善のコツ

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まずは、改善の必要性がある項目の棚卸しです。

・完全週休二日制の導入
=(やっぱ、土日休みかなー?)
・勤務時間の短縮
=(何時までの営業なら友達と呑みにいけるかなー?)
・固定残業制の廃止
=(人件費どのくらい増えるのかなー?)

これが実現できれば、飲食店ではまず探すのは難しい、
かなり魅力的な職場としてキラリと光るお店ができます。

平日〜18:00までの営業、土日休業で、会社(飲食店)の業績を右肩にあげていくためにはどうすれば良いか?をひたすら考えました。棚卸しした課題を整理整頓していくイメージです。

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僕の出した答えはこうです。

1、今の「カフェ業態」「個人向けデリバリー業態」を捨ててでも、「企業へのケータリング事業」に一気に舵をとる。
>>ケータリング単価を上げ、平日のみの効率的な営業時間で時間単価利益を最大化する。

2、人件費の増加を含め、労務管理を徹底的にキレイにする覚悟をする。
>>労働条件を整備し、魅力的な職場環境を作ることで、優秀な人材が定着し、結果、効率性・生産性を向上させる。


4、助成金をフル活用する

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労務管理を徹底的にキレイにすることで、
独立志望者に限らず、
長期間安定して働くことを希望する人にとって
飲食業界でもキラリと光る職場を作ろう!

そう思い、いろいろと改善を図ると、
これはこれは会社の負担は確かに大きい、、、。

なんとなくグレーに進めてきた労務管理に
目を向けると見たくない「お金」の問題に気付き、
蓋をしてしまう「経営者」は多いでしょう。


だからこそ、ここに正面から向き合えば、
きらりと光ることができるはず!

できることからやってみるを実践しよう!

当時の規模では作成義務のなかった「就業規則」を
自力で作成し、添削を受けるために労働局や
ハローワークへ通う日々。

そんな時、
窓口の方が様々な助成金や補助金について
紹介してくれました。

「ほうほう!」

「そうだ、これをフル活用することで、
労務管理の整備に必要なコスト負担を支えよう!!」

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5、社労士がまあり好きではなくて

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雇用に関する助成金を活用する場合の基本は、
前提となる労務管理の整備が必要となります。
「就業規則」「労働契約書」「36協定」などなど、
社労士へ依頼するのが一般的ですが、
とにかく全て自分で作成し、
労働局でリーガルチェックを受けるを繰り返しました。

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なぜなら、僕は社労士に
いいイメージがありませんでした。

必要以上に労働者側に軸足を置き
経営を知ろうともせず
経営者の耳の痛い話ばかりをする
社会保険労務士にはうんざりでした。

僕が目指したい労使間の関係は、
会社の成長を目標に
経営者と労働者が同じベクトルを向いて
邁進できる
透明性と合意性に富んだ労働環境です。


6、社労士の独占業務!!

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営業時間を変更。土日完全休業とし、
企業向けのケータリング事業に変換したお店は、
業績も着実に結果を出すことができました。

営業時間が平日の朝方〜夕方となったことで、
女性を中心にパートアルバイトさんの雇用も増え、
正社員の労働時間にだけに依存せず、バランスの良い労働時間を配分できるようになりました。

個人的には、
本当に主婦の方のスキルの高さに
驚きと感謝を感じています。
気遣い、スタッフへのマネージメント、
衛生管理などなど飲食事業に必要な特性を
持ち合わせている方が非常に多いです。


事業モデルの変革と
労働環境の整備を行ったことで、
会社は資産といえる「人材」を
確保していくことができました。


「働き方改革」という言葉をよく耳にしますが、
労働環境の整備や福利厚生の整備など、
一見、経営者にとって「利益」に直結した話に聞こえないものも、急がば回れで実は近道だったりするのではないでしょうか?

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また、
起業後10年というタイミングは、
個人的に、飲食店のコンサル業務をお願いされることが多くなってきたタイミングでもありました。

真剣にクライアント先のことを考えるのですが
どうしてもいつも引っかかることがあります。

僕もそうであったように、
事業として人を雇用して飲食事業をやる以上、
結局、「人」の問題にみなさんぶつかるのです。

その解決策は大きく2つあると思っています。

1つは「教育」。
しかし、果たしてコンサルティングという限られた立ち位置で、「教育」を行い、他社の「人」の問題を解決することは可能なのでしょうか?社員に対して、血を通わせながらでも難しいのに、、、。

もう一つは、
「労務環境の整備」です。
僕は、
会社の成長を目標に
経営者と労働者が同じベクトルを向いて
がんばりたいと思える労務環境ができれば、
「人」の問題を解決しうる
と思っています。

そんなお話をしながら
共感いただける会社さんのコンサルティングをさせていただいていました。そんなある日、自分の会社同様に「就業規則」を作ろうと労働局に行ったとき、窓口の方にこう言われました。

『菅原さん社労士の資格はお持ちでスカ?自社の就業規則を作ることについては問題ありませんが、他社の作成となると社労士の独占業務となりますので』


そ、そうなんすね、、、
恥ずかしながらまったく知りませんでしたw

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そこから、社労士の資格勉強を始めたのですが
これがもうとっても大変、、、

社労士の方嫌いとか言ってすいませんでした!相当大変っすこの資格。。。

結果、取得まで2年かかり昨年やっと合格することができました。

令和2年度 社会保険労務士試験
受験者数:49250人
合格者数:2237人
合格率:6.4%


自分の会社で実践してきたことをベースに
経営者目線から労働基準法を読み解き
労務管理の改善を経営改革につなげていく
そんな理想とする仕事ができるように
これからも日々精進していきたいと思っています。


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