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「寄付を集めることでは、団体の危機を救えなかった」#ファンドレイジングスクール卒業から1年経った振り返り

今週末、グループメンターとして参加させいただいている今年度のファンドレイジングスクールの集大成となる自団体の発表があった。

1年前、自分も同じ立場にあり、昨年立てた計画を実践することができたのか。できたこと、できなかったこと、学びをどう団体運営で活かすこととができたのか、ファンドレイジングスクールを卒業して1年間を振り返ってみたい。

👇スクールでの学びは、こちらの対談記事へ

ちなみに、僕が働くEarth Companyの詳細はこちら

1年間で実践できたこと・できなかったこと

僕がファンドレイジングを進める中で、ステークホルダーは大きく3つあるので、それぞれ振り返ってみる。


インパクト・ヒーロー(チェンジメーカー支援)
2022年4月に、425,000人のロヒンギャ難民にリサイクル石けんを届けるためのクラウドファディングを実施。石けん製造機3台の購入費用に204人から431万円のご寄付が集まったとともに、別途働く女性20人分の1年分の費用375万円のご寄付をいただく。インパクトヒーロ3年間の支援の中の最初の半年間で806万円を集めることができ、スピード感のある支援を届けられた。

また、新しく寄付してくださった方に、より団体のことを知ってもらうためのコミュニケーションを取ることで、若干名ではあるもののマンスリーサポーターになっていただくこともできた。

応援者・寄付者
アースカンパニーを応援してくださっている人へのコミュニケーションでは、夏と冬に毎月のご寄付してくださるEart Loversの皆さん向けの対面イベントを実施する事ができ、直接活動をご報告ができた。一方で、対面イベントに参加できなかった方への報告ももっとしていきたいという所存。

Earth Company(自団体)
振り返る中で、自団体への寄付を集めるという点において、全くと行っていいほど貢献できなかった。そもそも自分のポジションが自団体のファンドレイジングを行う担当でないこと、自分のインパクトヒーロー支援の事業を効率化/業務委譲することでその分の時間を捻出するところまでいかなかった(これは結構厳しい)、団体としてリソースをかけてファンドレイジングを実施するプランとその実行まで団体の意思決定を推し進められなかった、などなどいろいろある。

ファンドレイジングスクールの集大成でつくった計画を、実行できて成果を残せたのか、と聞かれれば、できなかたった、というのが正直な答えだ。


「僕はファンドレイジングで団体を救えなかった」

と、いうのは言い過ぎだけど、それに似た感覚を覚えている。これまでインターンの3年間を含めて、5年間Earth Companyに関わって、ファンドレイジングに全力を費やしてきた。クラウドファンディングも5回、マンスリーサポーターキャンペーンも2回実施し、目標金額と人数を達成してきた。寄付キャンペーンを通じて、インパクトヒーローが必要としている支援を届けることができたし、Earth Companyをお金を出して応援してくれる人を増やすことができた。寄付者・応援者のみなさんには、感謝の気持ちでいっぱいだ。

一方、団体の足元を見た時に、運営資金に余裕が出てくる予測がなかなか立っていかなかった。その中で、団体としてリソースを投入して成長してきたのが、「研修事業を通じた収益事業の成長」だった。

研修事業では、学校向けと企業向けの大きく2つに分かれていて、それぞれ学校・企業チームの営業・プロダクト開発・実施というチームと、全体を統括する営業マネージャー、事業を統括するディレクターがいる。学校向けでいうと、以前、収入の柱だったバリ島渡航型研修の売上がパンデミックでゼロになったところから、コロナ禍でオンラインプログラムの開発・営業・実施にシフトして、生き延びてきた。この夏からようやく海外渡航が復活したことで、オンライン型と渡航型の両輪で走らせることができるようになり、ありがたいことに導入校も増え、研修事業が伸びてきた。

こと、「持続的な運営費の確保」をゴールとした時に、団体としてまず営利事業である研修事業に人を採用し、投下リソースを増やす意思決定をした結果が出てきているということである。

ということで、どんどん伸びていく研修事業が嬉しい一方で、自分のファンドレイジングの力では、そこまで持っていくことができなかった、ということに対して、率直に悔しさを感じてもいる。それは、自分がファンドレイジングという手法に固執してたからかもしれないし、その学びを自分が実践しきれていない実力不足を感じているからかもしれない。

寄付を否定される悔しさ

「善意に頼るファンドレイジングは、もう終わりだ」と、クラウドファンディングのプラットフォームで働いていた友人が言っていた。そして、社会の風潮として、「寄付に頼っているNGOはサステナブルじゃない」「寄付をしても人権費になるだけ」「寄付は意味ない」というのを感じる。

それが、率直に悔しい。寄付じゃなくて、インパクト投資。NGOじゃなくて、インパクトスタートアップ。そんな風潮も悔しい。

が、それが寄付に運営を頼るNGOの現実と限界なのかもしれない

NGOで働いているという度に「お給料もらってるの?」という質問にも、もう飽き飽きしている。そして、NPOでは、30歳代になって待遇が低く、家庭を養っていくのが厳しいという理由で「退職」みたいな記事にもうんざり。

僕はNPO・NGOが待遇が低い問題は、寄付を集めている側の団体が自分たちの実現したい未来に対して、寄付者・応援者を集めきれていない、もしくは、寄付に頼らない事業モデルを作れていない、という団体側の問題として捉えている。寄付市場の問題、セクターの問題、事業が拡大するほど費用がかかる構造的な問題、はあるけど、それを差し置いても非営利的なモデルで取り組んでいる以上、運営費の確保は必須であり、そこから目をそむけてはいけないと思う。

待遇が低いのは、NPOの構造的な問題と、組織の事業モデルの2つの掛け合わせだと思うが、そこをどう乗り越えていくのか、というのがまさに広義のファンドレイジングだ。

寄付が持続的でない、という指摘は間違っている。いただいた寄付で課題解決を行う事業をまわして、その結果を寄付者の方とコミュニケーションをとり報告して、さらに事業の拡大のための寄付をいただく、というそこまで寄付者の方が納得感・満足感のある事業とコミュニケーションをできていれば、寄付は安定的にいただくことができるはず。

寄付が集まらないのは、団体の事業が応援者がお金を出してまで応援したいと思ってもらえる事業を作れていないからだし、単発の寄付で終わってしまっているのは、コミュニケーションが足りていない・届いていないからで、寄付者の問題ではなく、団体の力不足。


ファンドレイジングで創りたい未来

ここまで、寄付に頼るNPO/NGOの限界という話をしてきたけれど、僕は率直にファンドレイジングが好きだし、寄付は社会を変えていくドライバーになると信じている。だからこそ、いただいた寄付は1円でも多く、受益者のもとに届けたい。

多くの(事業型の)NPOがめざす目指すところは、自団体の運営費を100%事業収益と助成金でカバーするモデルだ。

僕は、ファンドレイジングで自団体の運営費を捻出するほどのプロジェクトを立ち上げることはできなかった。中間支援という団体の性質上、難しいチャレンジだった。でも、収益事業で運営費をカバーすることができたら、全く新しいフェーズに入ると思う。

個人的に抱えている想いとして、「なぜファンドレイジングをするのか?」というと、海外の課題を「インパクト・ヒーロー(Earth Companyが支援する海外の社会起業家・チェンジメーカー)」を通じて、一人でも多くの人に知ってもらいたいし、インパクト・ヒーローを応援する仲間になってもらいたい、からだ。それが、自分のやりたいことであり、団体での役割として、全うしたいとも思っている。

「どこかの国の誰かが困っている」という課題への距離感と、「やっても意味ない」という無力感を打破して、一歩でも近づけることで、課題解決の一部になってもらいたいし、少しでもよりよい未来を実現する仲間になってもらいたい。

ということを本気で思えているから、ファンドレイジングは僕にとって天職なのかもしれない。ファンドレイジングスクールの卒業から1年が立つけれど、学びを実践するのは、まだまだこれからだ。


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