「寄付規制法案(仮)」の勉強会・意見交換会で話された内容をまとめました

本日、11/9(水)に日本NPOセンターなどが主催する寄付規制法案(仮)の勉強会・意見交換会に参加した。昨日開催が決まり、今朝案内が来たことからも、緊急開催っぷりが伝わってくる。それでも、200人の人が集まったことが、本トピックに関する関心の高さの現れだろう。

本noteでは、イベントに参加して、イベントレポートという形で簡単に会の内容を共有したい。(なお、本noteの執筆は非公式で個人によるものであり、内容の漏れや誤字脱字はご容赦いただきたい。)

背景:旧統一教会の事件を受け、悪質な寄付の被害者救済法を整備する動きが今国会で進んでいる。被害者を救いつつ、悪質な寄付を制限する法案を議論中。それを受けて、検討されている新法が、NPOの寄付活動に影響を与える可能性が多いにあることがわかってきた。

イベント:「寄付規制法案(仮)」を考える~経緯と現状
日時:2022年11月9日(水)
形式:Zoom
参加人数:200名(同時最多接続)
共催:
・認定特定非営利活動法人日本NPOセンター
・特定非営利活動法人セイエン
・特定非営利活動法人国際協力NGOセンター
・特定非営利活動法人新公益連盟
・認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会


<メモ>
スピーカー①セイエン 関口さん

  • 新法の対象となる範囲が、宗教法人だけなのか、それもと寄付を集めるすべての団体なのか?隠していたわけではないだろうが、はっきり明記されていなかった。そんな中、先月末NPOも対象である可能性がある、ということがわかった

  • 被害者救済と、寄付の制限は全く別の話。今回の法案が通ってしまうと、NPOを含む寄付を集めているすべての団体が影響を受ける可能性がある

  • 「宗教法人だけを規制するのは、公平性に問題がある(政府高官)」(読売新聞)ということから、宗教法人法の改正ではなく、新法が必要だと判断された

  • 法案の論点:(本イベントでは詳細は触れず)

    • マインドコントロールの定義

    • 寄付の上限制限をどうするか

  • 11/8 岸田首相の発言

    • 寄付一般について、悪質な勧誘行為を禁止する

    • 悪質な勧誘行為に基づく寄付についての取り消しや損害賠償請求を可能にする

    • →一律に適応されると、NPOの寄付集めに大きな影響を与える。

  • 11/9 消費者庁に法律検討室を設置(NPOを管轄する内閣府は入っておらず)

  • 11/14までに政府が制定する法案の概要を共有する流れ


★寄付を規制する新報を一律適応するには、日本の寄付の多様性を考えると、浅はか!

  • そもそも、どの法律に基づいて「寄付」を定義するか、という議論がされていない

    • 形態:クラファンも投げ銭もお布施も、全部制限するのか

    • 主体:非営利団体といっても、色々ある

    • 寄付対象・手段:寄付の仕方も色々。ボランティアも時間の寄付っちゃい寄付とも言えちゃう

  • 宗教法人というくくり方は、真面目にやってる宗教法人が可愛そうだから、広げて寄付を集めている主体全部に拡げている。これに対して、議論が飛躍しているという指摘

  • 論点

    • そもそもなぜNPO法人も対象なのか?

    • NPO法人を規制する立法事実(エビデンス)はあるのか?


スピーカー②弁護士 菅野さん(「霊感商法等の悪質商法への対策検討会に参加)

検討会の内容

  • もともと議論されていた対象は宗教法人のみだった。それ以外の団体の献金・寄付に関する問題の指摘はなかった。

  • これまでは宗教法人の、契約とも献金とも言えない事案を規制する話だった

  • よって、宗教法人法の改定という方向で議論が進んでいた。一方で、宗教法人法を個別具体的に制限するのが難しいという空気はあった

新法の野党案

  • 課題:法案の対象を広げすぎ、効果が厳しすぎる

    • 団体個人とはず、あらゆるものが対象に

    • 違反をした時に、返金だけでなく刑事罰も可能に

新法の与党案

  • 宗教法人のみをターゲットにしたくない。宗教法人が悪いのではなく、違法なことをしている団体が悪い

  • ぶっちゃけ公明党に配慮する自民党の影響も大きい

今後のアクション2つ(by 菅野さん)

  • 今国会でなにかやる、という風潮がわるい。急がずに来年の通常国会で丁寧に定義するべき

  • 内容について、宗教法人法を論拠に進めるべき。それができないなら、新しい法案の対象は、宗教法人のみ制限される内容に、ピンポイントで対処できるようにするというやり方もあるのではないか

    • 一方で、宗教法人だけに限定せず、非営利団体全体で受け止めていくべき、という意見も参加者からあり。


その他の議論:公益認定法第17条

  • 寄付の定義なし・罰則なし。ふわっとしている法案

  • そもそもNPOの市民活動を考えると、セクターでガイドライン策定などセルフガバメントを聞かせていくべき


クロージング:日本ファンドレイジング協会 鵜尾さん

  • まずは、本件がしっかりと時間をかけて議論をしてもらうように働きかける必要がある

  • 規制によって、寄付が制限され、NPOの寄付活動が制限され、結果受益者に支援が届かなくなることが一番の懸念。

  • ガバナンス・条項を自律的・自主的に機能する形でNPO/公益法人は作られている。自分たちでどういう制限をかけていけるか

  • 丁寧な議論・丁寧な検討を働きかけていく

  • まずはNPOの中で共通の理解のベースを作っていくのが大切なので、こういう会は非常に重要


筆者コメント:
本国会は、ねじれにねじれ、これまでの通例通りに動いていないとのことで、異例な状況下で進んでいると。そもそもこの流れを全くキャッチしていなかったので、これまでの経緯と現在の状況をつかむことができた。まずは、議論を急がずに、本国会での制定に尽力してもらわないように、尽力しないといけない。

▼これまでの流れ

以上です。

適宜、必要に応じてアップデートしていきます。


島田颯(@miya512a


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?