【ロゴ制作】3種類の色と、その順番の話
こんばんは、sosekiです。少し時間が空いてしまいました。
今日は久々にデザイナー目線の話。特に、印刷会社のデザイナーとして、意外と分かっている方が多くないお話をさせていただければと思います。
3つの色の話
PhotoshopやIllustratorを使用する方々なら聞いたことのあると思いますが、現在のコンピュータでデザインする世界には3種類の色の設定があることをご存知でしょうか?
ひとつは、RGBと呼ばれるものです。光の3原色で、Red、Green、Blueの3種類です。光を構成する色で、これらを混ぜることで無限大の色を表現できます。
次は、CMYKと呼ばれるものです。これはCyan(水色)、Magenta(ピンク色)、Yellow(黄色)、Keyplate(黒・Blackの略ではない)の4色のプロセスインクを用いて、吹き付けたり網点を重ねて、フルカラーを表現するものです。いわゆる印刷の技法で、たとえば家庭用プリンターのインクや、カラーコピー機(レーザープリンター)のトナーもこの4色が基本となっています。
最後はあまり聞いたことがない方もいるかもしれません。特色と呼ばれるものがあります。これも物理的な表現、すなわち印刷や塗装に用いられるもので、インクの種類です。上に挙げたCMYKは4色のインクを重ねたり混ぜるものですが、特色は「最初から完成された色」のことです。市販されているインクや、色を練り合わせて専用の色を作ることもあります。
特色についてもう少しわかりやすい例を挙げます。
たとえば、「蛍光カラー」というものがあります。とっても鮮やかですね。これを4色のプロセスカラーで表現することはできません。どれだけピンクや黄色を鮮やかにしたくとも限界があります。
別の例で、「銀色のインク」や「金色のインク」などメタリックカラーなども、4色のインクから表現することはできませんね。蛍光塗料などは特色の世界です。ペンキ=特色、とも解釈できます。
ロゴ制作時には3つの色を決める
タイトルの通り、ロゴマークなどを制作する際には、これら3つの色を設定する必要があります。
RGBは主にWeb用途のために決めます。Webの世界は光の3原色で構成されています。たとえばカラーコード#000000は、手前から#RRGGBBの3色で構成され、00が一番薄い状態(無点灯)、そこから16進数でFFが一番濃い状態(フル点灯)状態です。だから#000000は真っ暗なので、黒。#FFFFFFは一番明るい状態なので、白です。RGBは色を混ぜると白になります。
CMYKはもっぱら印刷用途の色設定です。それぞれ0〜100%の濃度で設定します。例えば、真っ赤な色は、M100%、Y100%です。絵具のピンクと黄色を混ぜてみてください。赤色になります。全部混ぜると物凄い濃い黒色になります。これをリッチブラックと言います。深みはでますが、紙の乾きが悪くなるので、黒はKを使うことが好まれます。
一番馴染みのない特色ですが、ペンキを使うようなシーンを想像いただくとわかりやすいです。例えば、壁に直接描くとき、看板などです。インクジェットなど印刷技法で表現できない媒体には特色を用います。また印刷においても、特色を使うことでインクの数を減らしてコストダウンすることもありいます。前述のように蛍光色やメタリックなども用途になります。
そろそろ本題へ。
ロゴを作るときの、色を決める順番は…?
これが今日伝えたかったことです。以下2つの点を押さえてください。
1、RGB→CMYKの順番に決めない
2、2色以上のグラデーションを出来るだけ使わない
まず1について。RGBは光がベースなので、非常に鮮やかな色を用いることができます。一方CMYKは特に鮮やかさには限界があります。よく、絵描きさんが鮮やかな絵を描かれて、それを同人誌などで印刷した際に全然違う色になったという話を目にしますが、CMYKでRGBの色域(色の表現幅)を再現することはできないのです。
逆は可能です。CMYKで設計しておけば、それをRGBで表現することは可能です。
ですから、ロゴマークなど汎用性が求められる図柄を作成するときは、CMYKで表現できる範囲内で設計することが好ましいのです。(印刷会社にいると、RGBで作られたロゴが入稿されてきて、後々文句を言われることが結構あるのです…)
続いて2のはなし。特色はペンキのように最初から決まった色なので、原則として「ベタ塗り」しかできません。グラデーションをペンキで描くのは相当難しいのは想像できるのではないでしょうか。単色のグラデーションであれば、網点を駆使して徐々に薄くするなどはできますが、2色以上のグラデーションを特色で表現するのは「相当難しい」ということです(実際にないわけではありません。いろいろあります)。
まとめ:
ロゴマークのような汎用性が求められる図柄を作成する際は、
1、まずCMYKでデザインをする
2、RGBの場合のカラーコードを決める(変換で概ねOK)
3、類似する特色を選ぶ or 作る
以上のような順番のながれだと、トラブルの少ない、かつ「あらゆる媒体でも統一感や安定感のある表現ができる」ようになります。
もちろん、現実にはグラデロゴもたくさんありますし、鮮やかなインクを用いた印刷技法も存在はしていますが、これも汎用性の問題で、汎用性が高いほどコストメリットも生じます。会社のロゴなら尚のこと大事なポイントです。
パソコンやウェブの普及、ドローイングソフトの充実化で、RGBだけで色の世界を決めがちなのですが、みなさんもデザインされる際にはぜひ、上記のようなことを考えながら設計してみてください。
補足
CMYKはDTPソフトで設定可能ですが、概ねのソフトではCMYK設定ができないケースがほとんどです。例えばWordなどのOfficeソフトはRGBしか設定ができません。WordやExcelで描画されたポスターを印刷会社が嫌うのは、色も理由の一つなのを付け加えておきます。
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