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走馬灯に出てくるであろう景色

お題「海での時間」ということで、過去の記憶を探ってみる。

海で過ごした時間。それは怖いこともあったけれども、そのほとんどがワクワクする楽しい時間だった。

そのなかで、もっともワクワクした経験。
それは、黒潮に身を任せたドリフトダイビングだ。

今でもあるかどうかは分からないが、和歌山では黒潮の本流が陸地に近づく時期にドリフトダイビング(中性浮力を保ちながら、船ごと流されるダイビングのこと)をすることができる。


前後左右は地形や魚の影すら見えず、一緒に潜った仲間しかいない。

下を見れば、奥底が想像つかないほどの濃紺。

上を見上げれば、それなりの深度に関わらず素直に差し込んでくる光。

圧倒的かつ澱みがまったく無い『水』のなか、自らの呼吸音すら希薄になっていく。


かれこれ20年以上前に見た景色だが、あぁ。これはきっと人生の最後に思い出す光景だな。と思った記憶がある。

僕は未だにあの景色を超えるものを見たことが無い。

僕の人生はあれ以上の感動を探し出す旅なのかもしれない。