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舞台刀剣乱舞心伝つけたり奇譚の走馬灯感想@現地編

良かった。ものすごく。
期待し過ぎていたし、
「期待し過ぎているな」という不安もあった。
なのにその期待は裏切られないどころか期待以上だった。
正直なところもうこんなチケット手配の厳しい舞台をこれ以上好きになりたくない💦

ていうかこれ、チケット代が倍でも見合うな……
と感じてしまった。
お願いだから値段あげないでほしいけど(貧乏だから)競争率が下がるならいっそ倍にしてくれてもいい、かもしれない。
3万でも行く、これなら……
いや、値上げしないで欲しいけど。切実に……
他を貶める意図はないが、
今作は紛れもなく2.5次元舞台の最高峰なのだと感じた。

ストーリーの解釈については前回の「配信編」に書いた解釈でおおむね自分の中で納得がいっていると感じた。
せっかく現地に行ったので、
この記事では配信と現地で感じた違いをあげてみたいと思う。
また「初日と最終週の違い」を感じることも多かったので、それについても触れていきたい。

刀剣男士が好きすぎて


本当に恥ずかしいがガチで刀剣男士が好きすぎて、
10メートルくらい先の舞台上に彼らが現れた時点で「息ができない」みたいになった。
ヤバい、これから2時間息できなかったら死んでまう
と不安になったが、
人は2時間くらいなら息をしなくても大丈夫らしい。
てか「息できな〜い」とか言ってもどこかしらでしているようだ。人って。
なんか……日常生活でこんなに人をじろじろ見るのって普通だったら失礼だと思うのだが、
演劇であれば上演中は舞台の役者を見るしかなく、
こうして他人のことをじろじろ見てもいい場が演劇、って改めて不思議だな……とか思った。
もう本当に刀剣男士が好きなので、
彼らが前にいると息ができない気がして苦しいし、
じろじろ見るのも失礼な気がするし緊張するから早くどっかへ行ってほしくもあり、
でも当然好きだからいつまでも見ていたくもあり……
という混乱を終始抱えての観劇となり、
結局最後まで刀剣男士の存在感には慣れなかった。
刀剣男士が好きすぎて。かっこよすぎた

中盤のメリーゴーランド殺陣の演出意図が現地でやっとわかった

「刀剣乱舞」という字義の通り、
殺陣のシーンが多いかつ長尺なことで知られる本シリーズ。
ミュージカルなら歌唱しているはずのシーンを
すべて「殺陣」に代替しているのではないかと感じるほどだ。
配信のスイッチング映像でもその躍動感は伝わってきたと思っていたが、
現地ではえっ!こんなに動いてるの!?というくらいよりアクロバティックに動いているように感じられた。
配信で見た時より2割増くらい彼らの動きが大きく感じた。
特に中盤の回る舞台装置に乗っかって六振りが次々に出てくるシーンは「飛び出す絵本」みたいだったというか。
回転する四角い舞台装置の面が変わるたびに、
刀剣男士が一振りぽーんと飛び出してくるのが大変面白かった。
これはスイッチング映像になってしまうと「飛び出す絵本感」として感じられないので、
現地で見てようやく意図が理解できた。良かった。

劇場に好かれている


シアターミラノ座とは新宿に去年できたばかりの新築の劇場だ。

突然だが、なんか、こう、「建物」と「人間」の相性ってあると思うのだ。
例えば引っ越しの内見に行った時、
理由はうまく言えないけど「なんかイヤな感じの部屋」とか「なんか好きな部屋」ってある。
内見に限らず、
近いのになんか行かないコンビニ、とか
迷って足を踏み入れたなんかイヤな感じがする路地とか
チェーン店なのになんか気に入って行きがちな店舗とか。
それと同じか定かでないが、
「劇場」という建物と「上演される演目」も無関係ではないと考えている。
例えばすごく内面的で、静かで暗い内容の演目だったら小劇場でやるのがいい。そんなのをさいたまスーパーアリーナでやったら繊細さが失われてしまう。音も響くし
とはいえ、私はそんなに演劇の感性が尖りまくっているわけではないから、「演目はいいがハコが悪い」みたいに不満に思って帰ったことはない。
でも、例えばシアターオーブで外国のカンパニーを招致した時は「とりあえず感」というのはあるように思う。カンパニーと劇場が馴染んでいないというか。
でも、今回はなんか、建物としての「ミラノ座」が、
このカンパニーやこの演目のことを気に入っているように感じた。
若い役者ばかりのカンパニーの側も、
歌舞伎町にあるバキバキの新築のこの劇場を信頼して好き勝手に暴れまわっているように感じた。
例えば銀座にある「歌舞伎座」は歌舞伎が好きで、上演される全ての歌舞伎を愛しく見守っていると思うが、
同じように歌舞伎町の「ミラノ座」も、この刀剣乱舞(と今回のカンパニー)のことが好きなのではないかと。
そういう不思議な「相性の良さ」を感じた。

「新選組」の霊が観に来ていた


まだオカルト話を続けるが、
劇中二回くらい、
演者でもなく客席からでもない何らか存在の気配を感じた瞬間があった。
まるでそれは、新選組の霊が、この劇場に来ているみたいだった。
まあ「新選組の霊」が来ていたか?なんてことは分からないが、
舞台上の役者と、客席とが一体となって、
150年前に生きたとある人物たちに、一同みんなで想いを馳せた。
そういう一体感が、「新選組の霊」の降臨を感じさせたのかもしれなかった。
そのくらいの「面白い演劇」から一歩踏み込んだスピリチュアルな何かが、
劇場にほとばしるのを感じた。

俳優の良かったところ

砂川脩弥さんの発声の良さ

いきなり関係ない話をして恐縮だが、
私は高校生のころCHEMISTRYの堂珍嘉邦がすごい好きで、結婚の報を聞いた時はなぜか1週間くらい元気が出なかった。
孫六兼元演じる砂川脩弥さんは当時の堂珍嘉邦を彷彿とさせるとてつもない美形だ。
それだけでなく、ゲームキャラ孫六兼元の長い黒髪、黒い服といったデザインが非常に似合っていることからSNSでも初日から話題になっていた。
砂川さん演じる「孫六兼元」はゲーム内でも最近実装されたばかりのキャラクターで、
メディアミックスではまだほとんど掘り下げられておらず、
既存のキャラクターを理解し咀嚼し(自身の内側に)「降ろして」演じるというより、
イチから創造していくタイプの役作りだったのではないかと推察する。
それがすごいハマっていたことも話題になっていて、
そういう「ガワ」の良さは配信だけ見てもなるほど、と納得していたワケだが、
現地ではそれにプラスして、演劇的かつ技術的な意味での発声の良さが際立っていると感じた。
明瞭な声が腹からまっすぐ出ていて、非常に聞き取りやすかった。
弱小演劇部出身とはいえ一度は舞台に立った事がある者として、単純に羨ましいなと思った。そういう学校に行ってたりしたのかな?
帰ってきてから気になってネットでいろいろ調べ、
美容についてのインタビューに答えている記事を拝見したのだが、
ご本人の驚くべき美貌に対して、使ってる基礎化粧品がプチプラで(ロートの極潤とかメラノccとかのサンドラッグで売ってるやつ)、
ものすごく頭のいい人が「学校の教科書をキチンと勉強すれば、東大にも入れるんだよ」と言っているような感じだった。

もっと加州清光になってた

わたしが刀剣乱舞にハマったのは、ミュージカル刀剣乱舞で佐藤流司演じる加州清光のあまりの愛らしさに心を奪われたことがきっかけだ。
それが私が刀剣乱舞に沼る、
ひいては2.5次元に沼る原体験になった。
そういう「原体験」をもたらしたキャラクター加州清光を、他の役者が演じる……。
それも、元祖である佐藤流司が、今年のつい3月に「自分とキャラクターとの境界が曖昧になってきた〜」と本人が言うくらい「らしい」加州清光をこの世に顕現させていた。その直後にだ。
それで私としても、このステの加州清光をラーメン屋の店主のごとく頭にタオルを巻いて腕組みし、眉間にシワを寄せながら見守ることにしたのだった。もう、ちょっとのことじゃ感動しませんぜ!こちとら解釈固まってるんで!ほな!ってな感じで。
結果としては、もう、初日から参りました、というか、文句のない仕上がりだった。
ていうかそもそも、もう前作の天伝の時から松田凌の加州清光に文句ありませ〜ん!最高で〜す!!みたいになっていたのだが(チョロい)、
今回配信を見て、ものすごーく重箱の隅をつつくようなことを言えば、あまりに賢くて有能な役者が演じているためか、まだワンテンポ「こういう時、加州清光だったらどう反応するだろう」と逡巡しているような間が、一瞬あるようにも感じられた。
しかし2週間後に観劇した時にはもうそれもなくなっており、
遠目に見ても、服のシワの一つに至るまで加州清光だった。
360°どっからどう見ても加州清光。
…なんだけど、ここからさらに、目に見えない部分、まるで骨髄までもが、加州清光になっているような……こんなことってある???
加州清光の「愛嬌」に関する解釈も、ステとミュでは違っている。
たとえば、ミュの加州清光は客席からの好意を無尽蔵に欲しがる。客席をさんざ煽ったあげく自分に向けられた歓声や視線を根こそぎ刈り取っていこうとする貪欲さがある、ファムファタルという感じだ。
一方でステの加州清光は客席の方を見もしない。
というか、あくまで加州清光として「沖田くん」と「今の主」から愛されてるのか?ということにしか興味がない。その「脇目も振らない」感じが一途で、いじらしい。客席の「沖田くん」でも「今の主」でもない自分は、そうして加州清光の関心から完全に締め出されるからこそ、余計に加州清光のことが好きになるし気になってしまう、みたいな……
キモくなりましたが加州清光が好きなんですわ、私……
どちらもたまらなくかわいいのです。
松田凌さんに至ってはこの作品の後も大仕事が続いており(ニューヨークで進撃の巨人のリヴァイをやるという。調べたらその前に東京リベンジャーズのマイキーをやるらしい。売れ過ぎてるだろ)こんなに一体化しちゃって大丈夫だろうか?といういらぬ心配もしてしまった。
偉大な役者なので大丈夫ということなのであろう。なんということだ
あまりに良くて観劇後1週間もたったのに衝動が抑えられず駿河屋に駆け込みプレミア価格のついた松田加州のブロマイドを迷わず買わせていただいた。

池田理代子作画の長曽祢虎徹

こちらもミュと比較して申し訳ないのだが、
ミュで伊万里有演じる長曽祢虎徹はものすごくかっこいい。
私がルックスが好きな男士の上位に入る。
なのでこれ以上の長曽祢虎徹なんてあり得るのか?と思っていたワケだが、
この心伝ではすごい耽美なルックスの長曽祢虎徹が、少女マンガで多用されるキラキラしたスクリーントーンを背負って現れているように、私には見えた。綺麗すぎる……
私は推し(梅津瑞樹さんです)を初めて見た時、
彼の周りにプリクラのスタンプで使えるみたいな「キラキラ」が浮かんで見えた(幻覚です)が、
なんとこの長曽祢虎徹にもあの「キラキラ」が見えた。
え、何?私この人のこと好きなの?笑
私が長曽祢虎徹のがどれほどタイプかとかいう話はどうでもいいのだが、
ホントに今回が初めての刀剣男士なの?っていうくらい殺陣が綺麗だった。
殺陣、というかアクション全体が。
動きが派手、なのかなぁ……?
混戦を極める舞台上でパッと目を引く、光る動きができる人でもあった。
松田岳さん、何者なんだろう……
それと、私もあまり「虎徹」周辺の逸話には詳しくないのだが、
武家の出身じゃないけど、武士になろうとした近藤勇と、
虎徹が打ったんじゃないけど、虎徹の名のつけられた長曽祢虎徹とで相似関係にあること。
そしてその二人(二人?)が互いを「本物」であるとするエピソードは素晴らしかった。

植田圭輔すごすぎる

かなりキャリアのある有名な俳優だが、
やはり「ヘタリア」で「日本」をやるような役者が演じてくれるということで始めから安心しきっていたが、予想していたよりもずっと良かった。
華やかで実力ある俳優陣を土台から固めるような安定感があった。安定だけに……
もし、植田圭輔の安定がいなかったら、
塩味のしないラーメン、カレー粉の入っていないカレーみたいになっていたと思う。
そういう「当たり前」の土台となる雰囲気を出してくれて、なおかつ味をキュッとしめるような役割も果たしていたと思う。
ミュの方で大和守安定を演じている鳥越裕貴と公私ともに交流がある、というのも運命的だ。
いつか刀剣男士を演じてほしいと思っていた俳優だったが、その実力はこちらの予想をはるかに上回っていた。

もちろん他の俳優陣ものすごく良かった。

愛の物語

何かやり甲斐を感じられるものに打ち込みたい、というのは人類の根本的な欲求ではないだろうか。
刀剣乱舞はもともと「愛」が根底のテーマになっているコンテンツだが、
今作ではそれがさらに強調されていて、観るものも清々しい気持ちになれたし、演じている役者からもやる気と、カンパニーの団結を感じられる、本当にいい舞台だった。
終わってしまうのが本当にさみしいが、
49公演、休演なく駆け抜けられたことには心からおめでとう、という気持ちだ。
2ヶ月のあいだ、毎日SNSの更新をしてくれたこと、キャスト陣で新選組ゆかりの地を巡る旅行に行った報告をしてくれたこと、全てが愛おしかった。
私にとって特別好きな舞台になってしまったが、
自分の感性に自信が持てなくなっては心伝を絶賛するポストを見つけてせっせといいねをしている観劇後だ。

はぁ〜終わっちまったな……
としんみりしようと思ったら、
次回作の発表があり、なんと推しが主演だった(梅津瑞樹さんです)
オイ!!!!!!!!!!
また息ができなくなるじゃねーか!!(チケットの当落見る時と推しが舞台に現れた時に息が止まりそうだし、そもそも新作発表された時にびっくりして息止まった)
無呼吸症候群を発症した損害賠償で訴えたいよ、もう(大好きです)

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