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なにがいるの…

あるオフィスからの帰り道。
2週間限定で通ったプロジェクトの最終日。

この町に来るのは、しばらくないかなと思って、せっかくなので寄り道をしてみた。

国道沿い。信号待ち。雪が降ってきた。

ふと目に留まった看板の裏。

「います」

の3文字。そのメッセージに
あっという間に私の妄想は刺激された。

「います」「どこに」「なにが」という感じで、「います」「雑草の下に」「地底人」なんて。

そんなことないかと現実的に考えてみる。例えば「水道工事しています」の「います」だけ残った。と結論する。

こういう看板を見ると感じることがある。
私たちは、限られた時間と空間に触れた情報で判断することしかできない。そんな空しさを。

それはやがて「すべて期間限定」と言う事実に至って真実など何ひとつないような気がして不安になってくる。

でも「すべて期間限定」という事実を前提に物事や人に接することが出来たら、
すべてに優しくなることができるかもしれない。

★★

クリスマスが近いせいか、
そんな優しい気持ちでいると、
地下鉄の入口の段差につまづいた。

★★★

気を取り直して地下鉄に乗り込む。
前に座った老婆。
その手に私の目が釘付けになった。

その老婆、爪にびっしり土が入っている。

「地底…じ…ん?」

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