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思考メモ:「少子化対策」に見る時代の周回

サムネは呪術廻戦第45話「変身」より

どうも、それなニキです。
今回は思考のメモなので軽めにしています(当社比)。
ネタ被りしてたらすみません。

考えが変わったりしたら更新しに来ます。


「少子化対策」の抱える問題点の整理

少子化対策の議論はここ数十年の間ずっと活発であり、特に岸田政権の「異次元の少子化対策」については記憶に新しいと思います。
それに伴った議論も非常に多岐にわたり、この記事ですべて網羅することは困難を極めます。

しかし、こうした議論にもある程度傾向を見出すことができ、

  1. 若い世代の行動を意図的に制御・誘導することによって少子化解決を図るタイプ

  2. 誘導せずとも問題は自然に解消する、ないし気にしなくても大丈夫というタイプ

の2つに分かれると個人的には見ています。
(分類の方法からして全パターンを原理的に網羅できてしまうのは許してクレメンス…)

このうち、2番については
「少子化しても自動化技術があるし大丈夫」
「少子化はそもそもリベラリズム的に正しいのでヨシ」
といった例をあげることができますが、こうした主張は

「いずれ少子化傾向がきっと解消されるに違いない」
「少子化の結果人類が滅亡しても問題ない」
のいづれかを暗黙のうちに前提としており、
前者は積極的な解消策を放棄していることを考慮すると過剰な楽観主義感が否めず、
後者はそもそもゴールとして受け入れられる人がどれほどいるのか、SDGsはどこへ行ったのかなどこちらも問題を多数抱えています。

少なくとも少子化を解消することをゴールにするならば2番の主張はナシとなるでしょう。

そこで残った1番ということになりますが、こっちはこっちで問題を多く抱えています。
まず第一に、リベラリズムの本質と非常に相性が悪いと言わざるを得ません。再生産というのは、現代社会において最も自由が重視される領域であり、過去にも「正しい社会」のために一定の制限や強制力を発揮しようという議論はあったものの、少なくとも私の知る限りにおいて成功例はありません。
(例えば人種や身体的特徴、遺伝をもって人を差別することは基本的に許容されていませんが、こと再生産の文脈においてはこれが受容されています。
こういうと恋愛観のこじれた野郎の戯言とも聞こえますが、精子バンクなどでも同様の現象が噴出しているあたり、笑ってばかりではいられません)
自由より社会維持に重点をおく保守派ですら失敗してきたこの「再生産への部分的介入」を、仮にも自由を掲げて活動している、現代言論界隈にて最大勢力のリベラリズムが達成するというのは、はっきり言って不可能に近いと考えてよいでしょう。
第二に、現代におけるこういった主張は、やはり保守派ではなくリベラル派
が世論を先導する都合上、強制力が低下しており、最終的には当事者たる若者の意思決定に依存している点です。若者が突然「社会の維持のために、自由を部分的に放棄して再生産に協力しよう」などとお利口なことを言い出せば良いのかもしれませんが、既に我々は自由主義の影響下で教育を受けてきており、ましてやこの世代を追うごとに自由化の傾向が強まっていくここ数百年の流れからしても厳しいと言わざるを得ないでしょう。

こういった議論への対策を含めてか、「我々の主張では強制感なく少子化を解消できる」という類の議論も時折見かけますが、少子化という傾向について操作を意図的に加えようとする意図が当事者若者にバレてしまっては強制感が発生しますし、それが見抜けないほど我々の世代はバカではありません。その点を過小評価しすぎでしょう。パターナリズムの影を感じざるを得ません。

ほかにもいろいろ言いたいことはあるものの、一旦ここで止めておきます。

世代の循環の中での少子化議論

上記で整理してきた少子化対策議論の問題点ですが、こうした問題は何も少子化対策に限った話ではありません。
「かつての保守派から自由と権威を勝ち取ったものの、社会を維持する立場に回って結局かつての保守派と同じ過ちを犯さなければならないリベラル派」というのは割とよく見る現象なので、今更目新しさは無いようにすら思われます。

例えば論点整理で出てきた「社会維持のために再生産に協力しない若者」に義憤を覚える方は、かつて(今も)自分が「昭和的な家族観保存・継承のための活動に協力しない・反対する若者」だったことを忘れていますし、「少子化の結果人類が滅亡しても問題ない」と考える方は自身が環境問題解決を訴える際に使ったロジックとの整合性を見直してみることを推奨します。

いずれにせよ、一つ明らかなのは、この議論もおそらく下の世代が勝つということ、すなわち少子化問題の実効的な解決はなされないということです。
(上の世代に対して世論形成や議論で圧倒するためのノウハウは、皮肉にも一回り上の世代によって山ほど蓄積されています。)

それを踏まえてどうするのか

はっきり言って静観が最適解でしょう。
少子化解決策を必死に議論したとて、有効打(若者を含めた社会の大部分で合意を形成して実効的な対策を講じる)が実施される可能性は極めて低いわけですから、少子化はこれ以降も加速し、下手すると人類衰退・滅亡コースも現実的になる、くらいの想定で動いたほうがいいかもしれません。

自分としては、地球上の文明を継承するのは別に人類じゃなくてもいいかなぁくらいに思っているので、かなり楽観視はしています。
少子化による労働力不足という背景はAIの普及促進には圧倒的に追い風なので、むしろ都合がいいし、面白い未来になりそうだとちょっとワクワクしています。

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今回はスキップします。



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