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ぼやき|夜食を働いた懺悔


 タイトル通り、わたしは今罪悪感よりも勝った充足感の中で深夜に耽っている。だが、こいつが徹夜明けになった途端、胸やけと胃もたれで「ああやっちまった…」という後悔に様変わりすることは重々経験済みだ。明日は久々に事務所へ出向く予定があるというのに、深夜テンションとセブイレの灯りというのは混ぜたら危険そのものなのである。

 みなさんは夜食、または過食というドツボにハマったご経験はおありだろうか。わたしはもれなくその類いの人間で、普段は食が細いねと言われるタチではあるが、なにが切っ掛けなのか分からないがバカみたいに爆食してしまう時期が訪れる。たとえを出すならば、でっかいパンを5つほど、総菜パンを3~4つ、そして白米3合とアイスを幾つか。そして牛乳つき。…おデブさんまっしぐらなカロリー爆弾コースも甚だしいこと限りなしである。

 だが、こういうチートデイというものは時折挟んでもいいのではないかとポジティブにとらえている。とらえようと努力している。後悔するのは目に見えているので、充足感に満ち満ちている今だけでも「美味しくて幸せだった」とおなかいっぱいを目いっぱい味わっておきたいからだ。悔いなき選択を…そう、もしかすると明日、今日の命なのかもしれないのだし、遺言が「セブイレのホットチリサンドウィッチが食べたかった。」なんて内容だったらば、流したくても流せない涙があるかもしれないだろう。だから、食べたい時に食べられるだけ食べておく。もちろん、金銭が許す限りではあるが…。
 かくいうわたしは自炊が好きだ。といっても大した料理を作れる器用さは持ち合わせていない。アラビアータが食べたいと発起した際に取り掛かった自分の作業といえば、まずシリコンスチーマーでペンネをハーブソルトでレンチンする。吹きこぼれる。もう一度レンチン。吹きこぼれる。キレる。諦める。そしてお湯を切って、あらかじめレンチンしておいた見切り品のきのこ50円をぶち込んで、なぜか冷蔵庫に眠っていたHEINZのケチャップでまじぇまじぇ。ブラックペッパーとほんの少しのレモン汁で味を調えて完成。我ながら美味い。が、人に振る舞えるかと言われれば自己満のアラビアータなので、人様がいらっしゃる食卓にはとても並べられない。

 自炊が好きと言う割には、家庭の環境もあってか「THE・家のごはん」が得意なわたしは専ら和食を中心に調理をしている。といっても日本料理や料亭などで並ぶような豪勢なものではなく、野菜室に眠ったお野菜たちをぶつ切りにして、お肉があれば出汁取代わりにぶちこんで、甘辛く煮込むだけ。ただそれだけの料理である。とんでもない電磁波を発する人間でない限り、自称料理下手な人間でも誰だって出来る家庭料理だ。だが、こいつが何よりも美味くて、なによりも安心する。これに白米、味噌汁がつけば、わたしの食卓は100%完成というわけである。

 近頃はありがたくも、おしゃれなカフェに連れて行ってもらえる機会も多くなった。見た事のない料理や、オリジナリティあふれる創作料理に触れるたび、料理人のアイデアや料理に対する熱情、愛情というものには常々脱帽しているものだ。だが、そういった店が多く出店しているせいか、出入りも多い時勢となった。ここのオムライス好きだったんだけどなあというカフェも、ここの定食屋さんは小さい時から好きだったのになあという店も、軒並み無作為に店を畳む傾向にあるようだ。その代わり新しい頭角をあらわす店も多々あれど、どうやらわたしの好みに合致する店となかなか出会えないというのもネックである。正直、台湾カステラのどこが魅力的なのかてんで分からんという罰当たりな世間知らずなもので、ふわふわのパンケーキを食べても「ホットケーキミックスのぺったんこパンケーキがうまいな」と思ってしまう始末である。もうそろそろ、わたしは孤独のグルメならぬ食べ歩きというものから足を洗うのが賢明かもしれない。

 日本人はパンを好む人、白米を好む人、どちらも好む人といるだろうが、自分の場合どちらも好きという部類にカテゴライズされるため、1日中パンでもいいし、1日中白米でもいい、なんならば1日麺類でもいいという人間である。それらの食の好み、趣向というのは各家庭の個性ともいえるのではないのだろうか。事実、我が家族は今流行りのふわとろオムライスに対して「しっかり火ぃ通し」と嫌な顔をするタチである。かくいうわたしも、出来ればもう少し火を通してくださいと頭を下げたいところが、正直な感想だ。
 そうとなれば、家庭の味、ないしおふくろの味というもので食の選り好みが別れてくるのではないだろうかと思う。例を挙げるならば、わたしの場合「おかんの」が筆頭につく料理がたくさん用意されている。それは勿論、「おとんの」が筆頭につく粉ものも用意されているわけで、どういった事なのか分からないが、おかんの料理は似たものがあれど、おとんの料理に関しては他所では見かけた事が一度たりともありゃしないのだ。これぞまさしく創作料理…、なのだろうか。

 さて、この重たい腹を抱えたまま眠ると朝痛い目を見るので、ボチボチ執筆と修正を兼ねながら作業をしていきたいと思う。もしかすると満腹ゆえに寝落ちをしてしまうかもしれないが、一度寝落ちをしてUSBを折りかけた過去を踏まえているため、それだけはどうにか避けたいところである。

 それでは皆様、よい夜をお過ごしください。