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Sound Horizonの考察・調査記事まとめ

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ニンニ リズが書いた、Sound Horizonの楽曲や世界観に関する考察や調査記録記事のまとめ。
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2023年9月の記事一覧

【SH考察:060】ロレーヌは貴族時代には葡萄酒生産と無関係だった説

Sound Horizonの中では、ロレーヌの人生は『歓びと哀しみの葡萄酒』と『エルの天秤』で描かれており、この2曲の繋がりはかなりわかりやすい。 通説?や曲を素直に受け取った印象として、ロレーヌが愛した男は葡萄畑に携わり、彼の死後彼女が貴族から逃げ出して後を継いだように見える。 が、実はそれは成り立たないのでは? と思った。 今回はその理由と、矛盾がないように解釈するとどうなるかをまとめた。 対象5th Story Romanより『歓びと哀しみの葡萄酒』 考察ロレー

【SH考察:059】ミシェルは吸血鬼かサキュバスか

Sound Horizonの登場人物の中で、その片鱗を見せるだけでどこか恐ろしく感じさせる存在。殺戮の舞台女優、Michèle Malebranche。 彼女については、もはや人ではないのでは?という説を語る人もいる。 今回はその中でも吸血鬼説とサキュバス説を検証する。 対象Pico Magic Reloadedより『檻の中の遊戯』『檻の中の花』 考察ミシェルは人外なのか ミシェルが人ならざる者だと思われている理由はいくつかある。 ひとつはこちらでも触れたが、「右手に

【SH考察:058】『11文字の伝言』と『星屑の革紐』は対応している説

Sound Horizonの『11文字の伝言』について、私はひとつ前の記事で曲中の死んで往く母親がイヴェールの母ではない可能性に触れた。 では誰の母親かというと、『星屑の革紐』のエトワールの母親の可能性は無いだろうか? 今回はその可能性と考えた理由をまとめた。 対象5th Story Romanより『星屑の革紐』『11文字の伝言』 考察読まなくても全く問題ないが、もしよろしければひとつ前のこの記事とセットでどうぞ。 2曲の共通点 『星屑の革紐』のエトワールは母親を亡

【SH考察:057】『11文字の伝言』と『冬の伝言』は対応してないのでは?

Sound Horizonの2009年の生誕祭で、『冬の伝言』はとても感動的な演出に思えた。まるで直前の『11文字の伝言』の母親へのアンサーソングかのようだった。 しかし、歌詞をよく見るとこの2つの曲は対応関係にない。 そこで今回は、そう判断した理由と、イヴェールが母親だと思った相手が誰なのかについてまとめた。 対象5th Story Romanより『11文字の伝言』 ライブ限定曲『冬の伝言』 考察伝言を遺した母 名前も年齢も容姿も不明。生きていた時代も家庭環境も不

【SH考察:056】『呪われし宝石』の現実的価値とミシェルとの関連性

Sound Horizonの『呪われし宝石』、赤色で、かつ『殺戮の女王』という不穏な名を持つダイヤモンドだ。 このダイヤモンドが現実でどれくらいの価値がありそうか、そしてその所有者の一人がミシェルである可能性があるかを検討してみた。 対象5th Story Romanより『呪われし宝石』 考察『殺戮の女王』  見た目の特徴 30ctという非常に大きな赤色のダイヤモンドだ。 金剛石とはダイヤモンドのこと。 ダイヤモンドといえば無色透明なものが一般的によく流通しており、目

【SH考察:055】イターニアの歴史と宗教観への疑問

Sound Horizonにおけるイターニア。現実のイタリアに相当するだろう。 このイターニアについて述べている曲は少ないが、歴史観・宗教観を考える上では結構重要な位置にあるように感じる。 その理由をまとめた。 対象1st Story Renewal Chronicle 2ndより『沈んだ歌姫』 考察先に言おう、まとまってない この件、実は先日X(旧twitter)でこのつぶやきから始まる一連の話を投稿したところ、思ったより反応をいただいてびっくりした。 (弱小アカウン

【SH考察:054】Yieldの数式「3-1+1-2」の意味

Sound HorizonのElysionに登場する『Yield』では、曲中に「3-1+1-2」という数式が登場する。 これは登場人物の登場と退場を意味していそうだが、どの数字が誰を表しているのかは諸説あるため、成り立ちそうな説を検証した。 対象4th Story Elysion~楽園幻想物語組曲~より『Yield』 考察3-1+1-2 問題の数式が登場するのは終盤。 この「3」「1」「2」はそれぞれ人数を表し、プラスマイナスはその人物の登場と退場を表していると言える