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グレージュの彩り

幸せな気分になる曲。Sunday Morning Overcast。直訳すると、””日曜日の朝の曇り空””、となる。ぷかりと雲が浮かんだ空と、昨日咲いたばかりの花の上から、トレーシングペーパーをていねいに重ねたような曲だ。

クラシックギター界隈では有名な曲。この曲を弾いている人を、サークルの部室でぼんやりと眺めていたときが懐かしい。いつも同じ人が弾いているわけではなく、いろんな人が弾いていた。

一時期、自分でも音取りをしていたのだが、2ページ目で飽きてしまった。楽譜は、一応今でも手元にある。


Yorkの曲は誰が弾いてもYorkだ、なんてことを言う人もいるようで、確かにMoon TanやSun Burstはそんな気がしなくもない。(練習不足が分かりやすくて怖い曲。)

でも、Sunday Morning Overcastはそんなことはなくて、同じ楽譜でも人によって少しずつ違うのが面白い。(当たり前。)


開けっ放しのドアから吹き込んでくる風に当たりながら、なにをするわけでもなく過ごす時間が、いつまでも続くような気がしていたし、無意識でそう思っていたから、いつかは終わりが来るという考えを巡らせること自体がなかった。

でも、一度だけ、この時間がずっと続けばいいのに、と思ったことがある。この先同じようにこの曲を聴いて、今以上に幸せを感じることはないだろうな、と思った。例えるなら、丘のてっぺんに着いたときにはじめて、道の行き止まりが見えるような感覚だろうか。


一番お気に入りのフレーズは、1小節の間で、3回ポジション移動をするところ(伝われ)。3回目に、セーハできゅっとなった手首を見るのが好きだった。



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