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高気圧ドーンでも揺れる日

ここ最近、全国的に天気がいい日が続いています。

出社して、天気を取ると天気図はこう。

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どーん!

西から低気圧と前線が来ていますが、全国のほとんどは高気圧の中に入っていて、この日の運航には問題ありません。それにしても1036hpaの高気圧ですって。とんでもねえな。

高気圧ドーン!

高気圧の日は、空気全体に重石が乗ったような感じで、風も強いのは吹きませんし、空全体がまさにドーンと落ち着いた感じになります。基本的に天気がいいのはそのためです。

高気圧の配置によっては、べったりとした雲が空一面を埋め尽くして何日も動かなくなるときもありますし、高気圧の日の朝夕は霧が出やすくなることもありますから、高気圧、即、快晴とは言えませんが、基本的には「高気圧=天気が良い」と理解していいと思います。

先程も言いましたが、高気圧の日は強い風は吹かないのでタービュランスなんかあるわけ、、

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あれ?

なんだこれは。いくつもシビアタービュランスの報告があるぞ?

ちなみに、これは「SIGMET:シグメット」といいます。飛行機の運航に支障をきたすもののうち、特に強烈なものが予想されたり、実際に報告された場合に発布される「警報」です。

ちょっと色をつけてわかりやすくしてみます。

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カイコウラとクック海峡の上空にある、オレンジの小さな丸で囲まれたところが、実際にシビアタービュランス、つまり、一時的に操縦に支障をきたすほどの激しい揺れの報告が入ったところ。そして、東海岸沿いに伸びるピンクの網掛けの部分が、シビアタービュランスの予報が出ているところです。

高気圧の日は、空気が安定していると言いました。ですから、強烈な悪天は発生しづらく、シグメットは出ないことが多いのですが、今回は様子が違います。いったいどういうことでしょうか。

地上天気図は

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この天気をとったのは当日の夕方。先ほどのシグメットの網掛け部分は当日夕方(220346 UTC=22日16時46分 NZDT)から夜にかけての予報なので、上の天気図で言えばちょうど上段の間ぐらいでしょう。

どちらにしても、東海岸沿いには前線はなく、次の日の夜中になってやっと西海岸に停滞前線が変化したトラフが接岸するだけです。東海岸に悪天を起こす要素は見えませんが、実際にはシビアタービュランスが予報され、レポートもされています。

雲画像は

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あー、なんかそれっぽいの出てますね。怪しい雲が。地震の前兆でしょうか。笑

ちなみに、左が赤外画像で白いほど高度が高いことを示し、右が可視画像で白いほど雲が分厚いことを示します。可視画像では雲の形や質感もよく観察しますが、この画像では赤外で白く、可視で薄め。つまり、積乱雲のような上下に高い雲ではなく、巻積雲のような、単純に「高いところ」にある雲がライン状に出ていることを示しています。

それもそのはずで、高気圧があるところに、積乱雲が発生することは原理的に不可能です。冒頭に言った通り、高気圧は空気を安定させてどっしりさせますが、積乱雲の発生には逆に空気が不安定になり、対流することが必要になるからです。

ですからこれは、高気圧のてっぺん付近に空気の境目があって、その境目に沿って雲が発生していると考えると、現況と理屈が一致します。

■シグメットの高度は

先ほどのシグメットをもう一度見てみましょう。

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