そらQラジオ

そらQラジオ【text】第5回(2020年1月24日 ):兼業副業に関する交通費支援について その5②

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。第1週目の4人のインタビューを終えて感じたことを、パーソナリティの永山と田鹿が語ります。(永:永山 田:田鹿)(ラジオでは、第5回の後半部分にあたります)

要点メモ
・地域に関わる価値を感じ、自らコスト・リスクを取って入っていく人が、これからの地域に本当に求められる
・地域で活躍するためのハードルは「交通費」ではない。地域での”ポジション”が重要
・都市部の人材に、地域側がどうアプローチするかが本質的課題

地方が税金漬けにならないために…

永:第5回の南田さんのお話では、兼業副業を進めるためには首都圏と地方のコーディネーターが必要だと。今回の交通費補助を使ってみようという地方企業と、地方に行ってみようという首都圏人材が出てきたときに、今度は両者のコーディネートを官で進める”官製コーディネーター”みたいなものを増やしていくことなると、余計に大きい政府になる。長期的に見ると、財政的な課題が積み増されていくことにもなりうると感じた。たじー(田鹿)は、4人インタビューして、どう?この制度は問題あり?
田:問題のない政策はない。薬に副作用があるように。で、副作用のために薬を打つ。本件でいうと、この制度を使う人・企業のためのコーディネーターを募集します、となり、そこにまた補助金が出て、地方が税金漬けに…という構図にならないといいな。結局は地域が自ら稼いでやっていけることが大切か。
永:今回の制度は、しっかりとした方向性を持ってる地方は地元企業が首都圏人材を受け入れるブースターとして使うのもありだし、自分たちだけで回せるところは制度を使わずにがんがんやっていくってのもありでしょうね。
田:僕が日南市マーケティング専門官という、行政から委託を受けたコーディネーター的立場として感じるのは、うまくやっている地方には、制度を積極的に使えという国からの圧力があるということ。国は、ここに使ってもらえば、自分たちの実績になるだろうと目星をつけている。誰が悪いとかでなく、構造としてそうなっている。全体の構造を理解して、障害になっているところにアプローチすることもちゃんとやっていかないといけない。

地域に必要なのは、本質的な価値のために自分でリスクをとって関わる人

永:移住ドラフト会議を公的な補助を受けずにやってきたのは大事なことだったなと、4人聞いて改めて思った。ドラフト会議は、参加してくれる企業や個人それぞれが、価値があると思ってくれることが大前提。補助をもらうことによって、本質的価値以外のところに魅力を感じて参加する人が増えて、クオリティが下がることはあり得ると思う。例えば、「安く九州行けるなら制度使ってみよう」というスタンスの人と、自分でリスク取って行く人では、パフォーマンスが違うのではないか。コストをかけてでもメリットがあるし、コストを回収するだけの力がある、今本当に地域に必要なのはそういうレイヤーの人たちで、その人達と一緒に何をするかを考える必要がある。

地方で活動するのに必要なのは、補助金ではなく”ポジション”

田:今回の制度はそういう人と地方の出会いを分散させてしまうのか。
永:補助金というあり方ではなかったかもしれない。お金より、居場所とか、その活動に対する立場とかが大事なことってある。実際には定住できなくても、その地域に”机”ー物理的なオフィスではなく”ポジション”―を持とうと思う人が活躍できる仕組みづくり。
田:国が制度を作ろうとするとできることって3つしかないと思う。お金を出す、ルールを変える、権威付けをする。”ポジション”は、権威付けみたいな、「この人は認められた人だから一緒にがんばっていきましょう」という空気感をつくるってかんじですね。
永:鹿児島に帰ってきて、テンラボをつくって今年で9年目。最初にハードルと感じたのは「誰に会いに行ったらいいのか」だった。首都圏の人が地方で活動するときに、まず何から始めたらいいか、誰に会いに行ったらいいか、果たして会ってくれるのか…そういうところのケアのほうが、補助金よりも有効な気がする
田:僕も実体験として感じます。日南市マーケティング専門官って、市役所の名刺を持っていて、会ってくれる人は多い。でも、僕の知見としては民間寄りなので、会った企業の人からは「役所の人と思って会ってみると、同じような目線で話ができてよかった」とか言ってもらえる。こういう”ポジション”の機能があるだけで動き出すプロジェクトはあるんだなというのは実感としてあります。

都市部の人材に、地域側がどうアプローチするかが本質的課題

永:遠方にいながらその部署の名刺を持ってちゃんと動いて収益を上げるみたいに、都市に住む個人が地方自治体や民間企業とフラットに対話できる道筋を作る。その最大のハードルは交通費じゃないよね。
田:バリュー出せる人に、交通費の1万や2万で意思決定が揺らぐ人はいないですよね。
永:本質的!その、1万2万で意思決定が揺らがない人にどうアプローチするか、どうやって居場所と役割をセットしていくかの方が本質的で、それはまだ、受け入れ側である自治体や企業にゆだねられているんだ。次週からのそらQラジオでは、地域側がどう都市とつながるかを切り口にしていこうか?
田:そうですね。受け入れ側の体制ができていないのはめちゃ大きな問題。今回の制度は、地方企業が制度を知って、やってみて、自分たちもこういうやり方があるんだと変わっていくきかけづくりになればいいなというのが期待ですね。

1週間聞いていただき、ありがとうございました。また来週をお楽しみに。そらいけ!九州!


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