そらQラジオ0203

そらQラジオ【text】第11回(2020年2月3日):ローカルキャリアの実践者 その1

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。第11・12回は島根県雲南市で雲南ソーシャルチャレンジバレー【企業チャレンジ】事務局CAREER FOR Local Careerで働き、ローカルキャリアの実践者である宇野由里絵さんにインタビュー。前半は宇野さんがどのように雲南市にたどり着いたのか等を伺います。(田:田鹿 宇:宇野さん)

要点メモ
・東京のOLからもっと現場に入りたいと、島根へ移住
・島根は地域活性を地で取り組んできた
・地域での暮らしは「生産者になれる感覚」

都会のOLからもっと現場に入りたいと、島根へ移住

田:宇野さんの経歴を教えてもらってよいですか?
宇:岐阜県岐阜市出身で県内高校を卒業後、名古屋大学へ進学しました。大学卒業後は、三菱UFJ銀行でファイナンシャルプランナーという仕事を5年ほどしていました。その後、リクルートに転職し進学事業本部で進学に関する情報を高校生に届ける仕事をしていました。年間50校位の高校で進路講演会の講師などをしていました。仕事をしていると、先生と生徒が求めるものの違いに違和感を感じていて、もっと現場に入って進路の事やキャリア教育に関わることができれば良いなと探していたら、たまたま島根県でそういう事をやってる方から、島根ならできるよ!一緒にやる?と声をかけて貰って、島根県に移住したことが私のローカルキャリアのスタートですね。

先生と生徒が求めるものギャップにもどかしさを感じていた

田:高校生向け講演活動について、先生と生徒が希望するもののギャップとは、例えばどんなものでしたか?
宇:高校生は世の中にどんな仕事があるのか、どういう世界がこの先に広がっているのかを考える機会があまりなく、選択肢って周りで働いている大人ぐらいしか知らないじゃないですか。それを学校の偏差値やネームバリューに関係なく、自分がやりたい事やなりたい事から考える機会を提供したいなと思っていました。実際生徒にそういう話をすると、今まで夢を見つけろと言われて苦しかったけど、自分で視野を広げながら探していくことでいいんだという事に気づけて心が楽になりましたという声が返ってきました。しかし実際に先生とは、やっぱりこのタイミングまでに志望学部を見つけなきゃとか、法学部に行きたいって言った時に学力的に難しいけど同じ大学の経済だったらいけるから経済にしない?という進路指導をするとか、「学部にこだわりすぎない方が良いってメッセージを出して下さい」という言われて、何のためにこの仕事をしてるんだろうなというもどかしさがありました。
田:なるほど。たしかに特に進路指導の先生だと、有名な大学に何人合格!というのが来年の生徒数に繋がってくるので、個人としてはそう思っていなくても言わざるを得ないという事ですね。そして宇野さんもそれを考慮しなければないないということですね。
宇:今思うと苦しかったな~と。

教育の魅力を高める「島根留学」の仕事に携わる

宇:そんなとき、ある方が、島根県で新しく仕事をするから一緒にやらないかって誘われました。教育の魅力化ということで、地域と一緒にどういう子どもたちを育てていきたいかを学校と地域と一緒に作っていく県側(教育委員会)のサポートをしていました。具体的には「 島根留学」という事業です。高校3年間を地域の学校で過ごそうというものです。島根県は公立高校に寮が併設されてる割合が全国1位なんです。
田:おお~そうなんですか。
宇:60%以上の高校に寮が併設されています。昔から地元の子も寮に入って高校に通うため、寮が多いんですが、少子高齢化の波に乗って寮も軒並み空いてきました。そこを県外から地域の学校で学びたいという生徒の居住スペースとして提供し、学びの場を開いていくことで、学校も色んな人達が入ってきて刺激されます。地域のにぎわいにも繋がるということです。

地域活性を地で取り組んできた島根県

田:島根県って地方創生界隈では海士町や津和野などが有名ですし、松江にはIT企業が集まってきていたり。島根県ならではの特徴とかってありますか?
宇:危機感を感じている人が多いことだとは思います。地方創生の文脈でいくと島根県は大正時代から、高度経済成長を含んでも、唯一、人口が減り続けている県と言われています。 ふるさと島根定住財団という移住定住を進める財団ももう20年以上やっているので、日本で地方創生と言われる前から、地域活性を地で取り組んでいたのが島根県だなという気はしますね。

地域での暮らしは「生産者になれる感覚」

田:名古屋の大学に行き東京でバリバリ働き、そこからいきなり島根ってなると割とギャップがあると思うんですけど、今の生活は満足してますか?
宇:全然満足してますね。元々東京で働いていた時から週末は色んな地域を回るのを趣味にしていて、リクルートで担当していたのも東京の学校と福島県の学校と両方担当していたので、なんかどこかにローカルと都市を繋ぐみたいなところは、仕事上でもプライベートでも持っていたので、島根に来てローカルに来てしまったという感覚よりは、たまたま引っ越した先がローカルだったっという感覚が強いです。地域の方が自分も生産者になれる感じがするので好きです
田: 生産者というのは?
宇:私は顔の見える誰かが作った食材を自分で調理して友達と一緒に食べるとかですね。都会だと誰かかが作った料理を食べる消費という感覚に近いですけど、地域だと顔の見える誰かが作った素材を自分で再生産することでみんなで楽しく暮らせる感覚があるので、生産者になれる感覚かなと思います。

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