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漫画 ヘルプマン!から見る介護

  2巻は在宅での認知症介護を取り上げている。

  主人公は、介護者家族。主介護者のお嫁さんが家事と介護を頑張っていたが、体調を崩し入院したことで、一気に家族親族の関係がごたごたしていく。

 しまいには、「このままじいさんがいなくなれば」と追い込まれる介護者。家で、家族が認知症介護をする苦労が、うかがえる。


 そこで登場するのが、ヘルプマンの百太郎。

 百太郎の登場で、一気に主人公が、「じいさん」に代わる。

 この『視点の変化』が介護には重要だろう。

 認知症介護に苦しむ家族。理解不能な言動をする認知症老人。視点を介護者にすると、それは自分事と考えたら不安と恐怖を感じる話で終わってしまうだろう。

 しかし、百太郎はじいさん本人に焦点を当て、視点を被介護者のじいさんの気持ちになって関わり始める。そうすると、理解不能だと思っていた言動が、やさしさからの行動であることがわかったり、不快な気持ちを言葉では伝えられないが故の行動であることが分かった。

 「家族を困らせる、頭のおかしくなったじいさん」が、困って苦しんでいる、今までと変わらないじいさんだということに家族も気が付く。


 家族の「地獄の介護生活」という苦労話にならず、認知症になっても親孝行ができた家族の話になった。


 この視点を変えるのが、専門職の本来の役割だ。

 素人介護職のなんと多い事か。

 介護の仕事をしていても、家族と同じことしかできない。

 家族が頑張っていることを当たり前に思い、家族の代わりに同じことをただする。どこに専門性があるのか。

 家族が困ることを一緒になって「本当、大変ですよね」と、同調して終わる。「認知症症状がひどいので、うち(事業所)では対応できません。」「病院(精神科)に行ってみてもらったほうがいいですよ。」と平気で言う介護事業所。

 困っている家族、本人を


 前にも言ったが、17年前に刊行された本である。今も現状はあまり変わっていない。


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