正座の少年(チェコ/プラハ)no.1

 石畳が広がるその広場に、茣蓙を広げた一人の日本人がいた。その男の周りに現地の人、観光客が集まりだした。

 2019年6月19日、チェコ、プラハ。暑さは大丈夫だと言いながらも日差しの強さには敵わない。街の人たちは筒状のケーキに溢れるほどのソフトクリームを乗せたスイーツを手に持ちながら歩いている。

歩行者天国に店を広げる人たちも日差しを避ける傘をさしている。橋の上で陽気な音楽が流れるていると言うのに、街並みと音楽のマッチングを楽しみたくとも、暑さと音楽がマッチングしなければ体でリズムを感じることは難しい。
 現地のパフォーマのおかげもあり、罰金もされずに、また人の集まる場所を確保し、遠目に様子を伺いつつも人が集まりだした。時刻は17時。白夜の街にほど近いこの街もまた、眠ることを忘れて、時間とともに涼しくなる広場に人が減ることはない。

 そんな人の集まる広場で、1組の家族がいた。兄弟は眼鏡をしていて、日本の学校にいたら真面目そうな雰囲気の子たちだ。そんな真面目そうな二人が同じようなテンションで、食い気味に、道で書を書く男の前に座り込んだ。


 教科書通りなんかいらない、そうわかっていても義務教育期間で習った書道の教科書に書道をする正しい姿勢は三種類だった。学校机に姿勢良く座る写真と、地べたに座り正座をして書くスタイル、そして、低い机を前にして正座で机に向かう形だ。そんなことをふと思い出しながら目の前にいる書のプロフェッショナルは胡座をかいている。それだけならきっと気にならなかったのだと思う。
 好奇心、感性への刺激、異文化全てを尊敬の眼差しという言葉で表すそんな前のめりの兄弟は無意識に、一心に正座で男の真正面に座り込む。正しいが全てではない。

でも、この違和感というものを楽しむ為に、義務教育で学び校則に縛られ、その解放があるのではないかと、プラハという地で書道という彼らにとっての異文化を通し、少年に教えてもらったようだった。

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