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【ネタバレあり】ファイナルファンタジー16の感想を書く(良8:悪2 くらいの感想)

 唐突ですが、ここでファイナルファンタジー16の感想ブログです。
 Twitterなどではネタバレを避けたいので、こちらにつらつらと綴ります。

 思い切りネタバレを含むので、未プレイの人はブラウザバッグをよろしくな。クライヴ!

■まず私のスタンスとして

(c) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.


 両手を挙げて「大絶賛」とはいかないまでも、個人的にはものすごく楽しめました!
 元々がダークファンタジーの世界観が好きというのもあります。
 またアクションの爽快感もあり、ストーリーも陰鬱だけど希望はあるので(救いはないよ?)好印象でした。
 泥臭くてビターなお話が好きなんですよ。ええ。

 登場キャラもみんな好きになって感情移入しまくりでした。
 (ただしアナベラ、てめぇは許さねぇ)

 賛否両論あるのは頷けます。
 ストーリーの合う合わないもありますし、「アクションが普通……」「こんなのRPGじゃない……」「ムービーばかり……」と期待外れに思う方もいるでしょう。

が、それはそれ。

あなたに合わなかっただけで、私には合った。
以下はそういう話を書きます。

●クライヴの主人公感

(c) 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

 今回はストーリーメインのゲームなので、主人公であるクライヴの生き方で合う合わないが生じます。

 個人的にはクライヴが「弱さも罪も受け入れて、それでも前に進む」という泥くさくて青臭い精神の持ち主で、こういう主人公大好きなので共感できました。根が弱いところもいい。

 復讐が終わった後のやり直し人生としてシドの意志を継いで、「人が人として生きる場所」を護るために戦うクライヴくん。ヒロイック(英雄譚)な要素があり、中盤以降の「リーダー(シド)」なクライヴの背景とマッチしていたと思います。

 一方で「復讐はきっちりやる(やらせる)」「俺が生きるためにおまえは殺す」「青臭い理想のために世界を犠牲にする=大罪人シドの汚名をかぶる」という部分もダークヒーローさが出てよかったポイント。

 クライヴくんはボスに対してレスバしがちですが(笑)当たり障りのよい正論は語らないんすよね。「俺はこうする。おまえは間違ってる。だから○ね」で一貫してる。

 特にカンタンの復讐劇のあたり、普通なら「復讐を止める」方向にいくんですが「やれ」と背中を押すところがいい。自分も同じ動機で動いてたからね。
 カンタンはそのあとベアラーに頼られて指導者になるんですが、そのあたりもクライヴと同じです。だからこそ自分の名代として、三国同盟のキーマンとして選んだのでしょう。

・クライヴの死生観

(※以下はゲーム内には出ていない、話の裏を読もうとする勝手な解釈なのでご注意)

 クライヴが奔走するのは、自身が「人生の目的失ったけど、シドやジル、アジトの仲間が自分を人として扱ってくれるので”居場所”ができた。他の人にも居場所を作ろう」という前向きな感情……に見せかけた自殺願望です。

 「魔法を消して人とベアラーの差別をなくす」(石化したら使い捨てされるベアラーを救う手立てが魔法を消す。また神によるアカシア化を食い止めて人の自我も救う戦い)という役目を終えたあと死ぬつもりだったように思います。

 灰の大陸でジルが「自分も大切にしろ」と涙ながらに訴えますが「全部背負う」とシヴァの力を吸収してしまいます。
 力を失ったジル=人が生きる場所を護るために戦う=魔法という負の遺産をすべて背負ったうえでアルテマごと消滅する覚悟なわけですね。
 ジルのシーンまで迷っていたんですが、愛する人を見つけたことで「俺が守護らなきゃ」と逆に死ぬ覚悟を決めてしまう。
(そのあとジョシュアに怒られますがw)

 ヒーローものだとラスボス戦で「おまえを一人にはさせないぜ」と仲間が助けにくるのですが、戦えるのはクライヴだけなので見送ることしかできない。唯一、肩を貸せるジョシュアも最後の最後で力尽きる。そしてすべてを背負って散る……という孤高のダークヒーローが誕生するわけです。

……なるんだけど、そこはジョシュアと協力してダメージを二分しました……とか救いを入れてほしかったかなと思いました(究極魔法レイズがそこにあるじゃろ)

●ストーリー雑感

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・ベアラー=奴隷階級と、アナベラ&アルテマの優良種選民思想


 これはド直球でしたね。陰鬱とした世界観の原因になっています。
 序盤でこの世界観に拒絶反応がでるとそれ以降はプレイできないかも。
 この価値観は、最後までつきまといます(支配を否定して自由を手にするお話)

 個人的には序盤の修道院で石化するベアラーに祈りを捧げる司祭のお話でボロボロ泣きました。あそこで「ベアラー村を救わないと」「FF16に向き合おう」と感情移入しはじめたきっかけになりました。

 ベアラーも問題があって、支配されしすぎて自分の意思では動けない描写があったのはよかったです。
 現実は辛いけど手を取り合って生きていくんだ。それができるのは己自身しかいない、という青臭い理想をストレートに描いていてわかりやすかった。
 (マーサさんに「できないじゃない。生きるためにやるんだよ」と言われる)

 あとアルテマが「結局は一族の復活のため」に動いていたのもよかった。 
 あれで「カオスがどうたらこうたらでとにかく世界壊す。無とはウゴゴゴ……」とか言い出すと「はいはい滅亡滅亡」ってなりがちなので。
 「それはそれとして俺たちが生きるために○ねぇ!」となるのでカタルシスがある。

・恋愛まわり

 ジルとのラブストーリーはサブ寄りで、メインがジョシュアとの家族劇だったのもよかったです。発端が弟の敵討ちですからね。
 「”人”を救いたいと願うロズフィールド家の物語」(と私はとらえた)なので主軸はブレていない。
 灰の大陸でジルから力奪ったところで「これは孤高のヒーローの話なんやな」とプレイヤー的に覚悟決まりました。

・ガブとおじさん

 死亡フラグ立てまくるので逆に死ななかったね(笑)

 (ガブの生い立ちもあって)ガブがクライヴのアニキっぽい立ち振る舞いをしていたのもよかったです。
 おじさんは家族思いの本当にいい人で、あの人が出てきてからクライヴの人生に希望が見えてきた感ありますね。癒やし枠。
 ガブとおじさんのコンビ、大好きです。

・それはそれとして、薬売りの少女どうなったの……。

・完全に余談

 カメラワーク、演出、舞台装置、物語設定、カットのつなぎ方など、ゲーム・オブ・スローンズ参考にしたんだな、というところは多々見受けられました。特にシドのモーションは海外ドラマっぽいなーと(あくまで個人的な感想です)

 それとクライヴの設定が「なろう小説」っぽさもあるんで若い子の反応も気になる。

(奴隷兵に落ちた王子が、世界でただ一人全属性の魔法と召喚獣を扱えて最強無双する。幼馴染みの亡国のお姫さまと恋仲にあり、行く先々で事件を解決していくうちに国家の主賓レベルにまで認められる。サブクエは特に野盗や敵が「やっちまえ」→「なんでこんな強いんだー」を繰り返すので、最強無双っぽさが出るんですよね)

●エンディング考察

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 「こうして探求の旅は終わった」がクライヴの声(歴史書を書いたのがクライヴ)
 ハルポクラテスのサブクエで「戦いが終わったら剣を置いてペンを取ろう」「ジョシュアは歴史家になれる」のやり取りがある → クライヴがジョシュアの名前で「FINAL FANTASY」を書いて後世に残した。

ということで、クライヴ生存派です。というか、生きろ。

 フェニックスゲートの後みたいに、トルガルが見つけてくれると思っています。(トルガル、可愛いよね)

 考察がはかどるビターエンド、個人的には好きなので美味しかったです
 ただサブやってないと「えっ、バッドエンドじゃん」ってなるのでそこはフォローしてほしかったかな。
 わかりやすく再会するシーンとか、王家の石碑にクライヴとジルが共に眠る~と書いてあったりとか。

・魔法のなくなった世界

 (サブクエですが)ミドの発明で黒の一帯に汚染された水を濾過したり、黒の一帯に強い植物の苗を開発、ふいごで鍛冶ができるようになった……という描写があるんで「混乱するけど人は強く生きる」という希望のある終わり方かなと。
 エンディングのCパート、花に囲まれた平和な一軒家その象徴。

 そう……世界を救ったのはモルボルの根っこなんだよ!(えー)

●アクションとか

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 アクションは爽快感があって、ザコを蹴散らしてボスにちょっと苦戦するという良いバランス。
 デビルメイクライや無双シリーズがイメージに近いでしょう。

 バトルオートアクセサリーでアクションが苦手な人にも配慮していたのも好ポイント。お手軽に派手なバトルが楽しめます。
 アクションが上手い人は物足りなさがあるかもですが、そこは難易度設定ができるので頑張って2週目してくれい。
 リスキーモブと試練の場はエンドコンテンツなんで無視もできますからね(強い武器とか手に入れなくてもクリアはできる)

 あと個人的にパズル系の障害物がなかったのよかった。
 バトルとストーリーに集中できました。
 FF7Rのロボットアーム操作で30分詰んだ思い出があります(笑)


●BGMとグラフィック

 BGMもファンタジーな世界観を深めるいい音楽ばかり。
 各ボス戦のBGMは秀逸でした。
 過去作のオマージュとか、いいところで流れるFFメインテーマも盛り上げてくれる。

 グラフィックと演出は言わずもがな。
 FFシリーズはムービーを見てるだけと揶揄されることが多いですが、逆に「プレイできる映画」に振り切ったのもよかったです。
 召喚獣バトルは大画面で見たら圧巻でしょう(もはや怪獣映画)

 ムービーと戦闘、会話がシームレスにロードなしでつながるのも没入感がでてよかったと思います。テンション上げたままボス戦に入れる。


■個人的に感じたFF16のダメな点

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・ミドのエンタープライズ部品集めクエスト

 ミド登場までノンストップできているので、いきなり立ち止まってグダグダしはじめる悪印象がありました。「言われた材料を集めました」でカットできる部分だよね。
 (選択肢によってガブやジル、おじさんなどとの交流を深める話が入るのだが、そこも「急にどうした……」ってなるw)

・タイタン戦

 巨大化するのはいいんだけど、HP高すぎて途中でマンネリ化する(タイタンなのでタフなのはわかるけど)体内に入ったあとの戦闘もサックリ終わらせるくらいでよかったのでは?

・サブクエ

 キャラにまつわる良い話、ホラー、世界観を深める重要な設定を深掘り……など、内容はバラエティーに富んでてよかった
 が、ほとんどが「あれ取ってきて」「倒してきて」というお使いで若干食傷気味になる。
 あとラスト直前のサブクエラッシュ。もうちょっと発生時期をバラけさせてくださいw

 サブをやらないとメインストーリーを把握しきれないのも不親切かなと。
 クリア後にハルポクラテスが「ネタバレありで全部の情報を開示する」みたいなおまけがあってもよかったかも(サブクエやった人には既出の情報でも)

・クライヴの歩き

 Lボタン押し込みとかでダッシュさせろ!(声を大にして叫ぶ)
 ダンジョンは敵が出るので意識しないのですが、アジト内で移動するときにイライラする。植物園、遠いんですよ(笑)

・ダメではないけど……

 フィールドの建物や、モンスターの使い回し多かったのは「ふむー」と思いました。個人的に背景美術を眺めるのが趣味なので。
 中盤以降、目新しさがなくなるけど怒濤の展開が待ち受けるので……まあ普通の人はそこまで気にならないかな?

(ゲームディスク2枚→1枚に容量削減したらしいので、そのあたりも影響してそう)

・よく言われる一歩道

 ダンジョンが一本道なだけで、フィールドは自由に動けたのでそこまで窮屈さはなし。
 行けるところが限られているので探索する楽しみは皆無でしたが今回はそこを求めていない。オープンワールドじゃなくて「ジャンル:アクションRPG」だって言ってるだろ!

 個人的には、映像が豪華なベルトアクションゲームだと思って遊んでいました(ロックマンとかファイナルファイトと同じ系統。あとやっぱり無双シリーズですね)

■総評

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 とまあ語りたいことがたくさん溢れるくらいに、FF16は個人的にとても好きなゲームになりました。
 賛否両論あって当たり前なので「FFというビッグタイトルでエッジのある作品出してくれてありがとう!」という感じ。

 いままでのFFのようなロールプレイングゲームらしさ(パーティー組んで広大な世界を何時間もかけて冒険する)はありませんが、ダークファンタジーな世界観で濃厚なストーリー、ド派手な映像を集中して楽しみたい方にオススメです。


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 FF16のためにPS5買ってよかった、と個人的には思いました。
 大満足。


おまけ:会話ボイスは飛ばさない、サブクエ、リスキーモブ(強敵バトルチャレンジ)もやったうえで60時間でクリアしました。参考までに(修練場とトロフィーコンプはしていません)

内勤ライターとして、美少女ゲーム業界で15年以上働いてきた経験と、そこで得たノウハウを文章にまとめています。ゲーム業界特有の謎規則や技術解説、仕事に取り組む際の心構えなどもご紹介。応援してくださると定期的に記事が更新されます(人間だもの)