掌編「きみのカエリヲ待つ」
「やはり何処にもいませんっ!」
「何故だ!?あんなに優等生で、ずっと親しく、これまで持ちつ持たれつやってきたじゃないかっ!本当に何処にもいないのか?!」
「本当です。しかも、国中から姿を消しつつあります」
「くっ・・なんてことだ・・よりにもよって、こんな大事な時に――」
世間にその噂が流れ始めたのは、時をずっと遡った、雪化粧の街にキャンドルが灯る頃だった。当初はまさかここまで事態が逼迫するとは誰も予想していなかった。しかし事態はみるみる悪化して、多くの国民は、家の冷蔵庫の